「猫にチョコレートを食べさせてはいけない」というのは、猫と一緒に生活するうえで知っておかなければならない知識です。
この記事では、チョコレート中毒の症状や対処法などをご紹介します。
チョコレート中毒とは?
チョコレートに含まれる「テオブロミン」と「カフェイン」が猫にとって有害の成分で、摂取することでチョコレート中毒を引き起こします。
テオブロミンとカフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドです。テオブロミンはチョコレートやココアの苦み成分で、血管拡張作用や利尿作用、興奮作用があり、これらの作用はカフェインよりテオブロミンの方が強いといわれています。
人の場合はテオブロミンをすばやく分解・排出することができますが、猫はテオブロミンをうまく分解・排出することができず体内に長時間とどまってしまいます。
どれくらい食べると危険?
テオブロミンのLD50(動物に投与したときに50%が死亡する量)は、猫の体重1kgあたり200~250mgとされています。
チョコレートを食べて最初の症状があらわれるのは、猫の体重1kgあたりテオブロミン量20mgです。テオブロミン量40~50mgで重度の症状があらわれ、60mgで命に関わります。
下表は、チョコレート50g(板チョコ1枚分)に含まれるテオブロミン量です。
チョコレートに含まれるテオブロミンとカフェイン量は、チョコレートのカカオ含有率によって大きく異なります。高カカオのチョコレートは一般的なミルクチョコレートよりもテオブロミンとカフェインの含有量が多いため、十分な注意が必要です。
またホワイトチョコレートはカカオの脂肪分のみ使われているためテオブロミンは含まれていません。しかしホワイトチョコレートは脂肪分が多いので、健康のリスクを考えると与えるのはおすすめできません。
参考:高カカオをうたったチョコレート|独立行政法人 国人生活センター
参考:与えてはいけな食べ物チョコレート|日本獣医生命科学大学
チョコレート中毒の症状
前述でご紹介した通り、チョコレートをひとかけら食べただけでは致命的な症状はあらわれません。しかし人と同じように、お酒に強い人もいれば一口飲んだだけでフラフラになる人もいます。猫も個体差によってチョコレート中毒への耐性には大きな差があります。
チョコレートを食べて1~4時間で、初期症状があらわれます。
- 下痢や嘔吐
- 体温が上がる
- 落ち着きがない
- トイレの失敗
症状が進行すると重篤な症状が出始め、最悪の場合は命に関わります。
- 呼吸が早くなる
- 痙攣
- 不整脈
- 昏睡
チョコレートを食べてしまったら…
猫の様子を確認する
猫がチョコレートを食べたことが分かったら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。そのとき、その場の状況や猫の様子を観察してメモに残すと、獣医師さんの治療の情報源となります。
- 猫の様子(痙攣、嘔吐、下痢などがあるか)
- 成分が分かるような外袋
- 食べた時間、食べた量
- 猫の様子を写真・動画に撮る
家で吐かせることはNG!すぐに動物病院へ
猫がチョコレートを食べてしまった場合、成分が消化・吸収される前に吐かせなければなりません。しかし飼い主さんの手で吐かせようとすると、誤嚥(吐いたものが肺に入る)や胃腸障害などを引き起こす恐れがあります。
チョコレート中毒にならない対策
猫とチョコレートを接触させないためには、極端な話「チョコレートを家に持ち来ない」ということです。
猫は犬と違って高いところでも軽々と上り下りができ、狭い隙間でも入り込むことができます。猫は味を判別する味蕾細胞が少なく、とくに甘味に関しては感じづらいといわれているため、チョコレートの甘い味を求めて食べたがる猫は非常に少ないです。しかしチョコレートの包み紙のカサカサした音に反応したり、小さいボールとして遊ぶことがあり、そのときに口に含んでしまうケースがあります。
チョコレートを家に持ち来ないのが一番の対策になりますが、家でチョコレートを保管するときは猫の手の届く範囲にチョコレートを置かないようにしましょう。猫の力で開かないようなタッパーに入れたり、扉付きの棚の中にしまうのがベストです。
発生しやすい時期は?
ヨーロッパやイギリスでは、クリスマスやイースターの時期にチョコレート中毒の報告が多いといわれています。この時期はチョコレートを使ったお菓子が増えたり、家でお菓子を作ったりするため、猫が接触しやすいためでしょう。
日本ではクリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなどのイベントの時期だけでなく、冬の時期になるとチョコレートのお菓子やケーキの需要が高くなるため、十分な注意が必要です。
まとめ
- カカオに含まれるテオブロミンは苦味成分で、猫にとってじゃ有害成分
- チョコレートは高カカオのものほどテオブロミンが多く含まれている
- チョコレートを食べて数時間で症状があらわれ、最悪の場合は命に関わる
- チョコレートを食べたら吐かせようとせず、すぐに動物病院へ
- 冬の時期やイベントが重なる時期は、十分に注意する