キャットフードのグルタミン酸ナトリウム(MSG)。嗜好性を上げる合成調味料の猫への危険性

キャットフード 添加物 グルタミン酸ナトリウム
鈴木さん
キャットフードの合成調味料にはどんなものが使われているんですか?猫には危険はないんですか?
猫田

合成調味料にもいろいろありますが、主にキャットフードでは「グルタミン酸ナトリウム」というアミノ酸系調味料がよく使用されています。

安全性は確認されているものの、過剰摂取は猫の体に様々な問題が生じる可能性があります。

キャットフードの合成調味料:グルタミン酸ナトリウム(MSG)

第6の味覚「うま味」を構成する成分

キャットフード グルタミン酸ナトリウム

グルタミン酸ナトリウム(MSG:Mono Sodium Glutamate)は、第6の味覚「うま味」を構成するアミノ酸で、「味の素」や「だしの素」などにも主成分として配合されています。

グルタミン酸は、自然由来の昆布やチーズ、野菜などにも含まれていますが、食品やキャットフードに添加物として配合されるのは、化学合成によって水酸化ナトリウムと合成されたグルタミン酸ナトリウム(指定添加物)です。原材料名欄には「調味料(アミノ酸等)」や「MSG」と表記されます。

グルタミン酸ナトリウム(MSG)の原材料と製造方法

かつては石油由来、現在は植物由来

グルタミン酸ナトリウム(MSG)は、一昔前までは石油由来成分のアクリロニトリルなどが使用されてきましたが、その後グルタミン酸をつくりだす菌(グルタミン酸生成菌)が発見されたことで、石油由来のものよりさらに費用を安く、安全なグルタミン酸を製造できるようになりました

現在、食品のうま味調味料に使用されるグルタミン酸ナトリウム(MSG)は、下記のような炭水化物(糖質)が豊富に含まれる農作物が原料となっています。

  • トウモロコシ
  • サトウキビ
  • キャッサバ(タピオカ)
  • サトウダイコン
  • 小麦 など

発酵菌がグルタミン酸ナトリウムを生成

グルタミン酸ナトリウム(MSG)は「発酵法」という方法で生成されており、作物の抽出物に発酵菌を加えると、発酵菌は作物を餌にしてグルタミン酸を作り出します。グルタミン酸は利用しやすいようナトリウムと反応させて結晶化し、粒状のうま味調味料に乾燥して製品として販売されます。

グルタミン酸は植物由来ではありますが、ナトリウムと化学合成して製造されるため、指定添加物(合成添加物)に登録されています。

猫におけるグルタミン酸ナトリウム(MSG)の効果や働き

より美味しく、嗜好性や食いつきアップ

グルタミン酸ナトリウム(MSG)はより美味しさを感じさせ、嗜好性や食いつきを向上させる働きがあります。うま味調味料として有名な「味の素」の原材料名欄を見ると、なんと全成分の90%以上がグルタミン酸ナトリウムで構成されています。ほとんどがグルタミン酸ナトリウムということで、グルタミン酸は旨味をつくる上で外せない重要な成分であることがよく分かります。

また、猫は犬や人と比べて味覚を感じる味蕾の数が少なく、甘味や塩味はあまり感じることができませんが、アミノ酸への受容は非常に高く、人でも感じることができない旨味成分を猫は敏感に感じ取ることができます。

このためグルタミン酸ナトリウム(MSG)などの旨味成分は、特に猫に対してキャットフードの嗜好性アップの貢献度も高いと考えられます。

記憶や学習に必要な神経伝達物質

グルタミン酸は、猫も含め哺乳動物の中枢神経系の「興奮性伝達」を担っています。主要な神経伝達物質として体に必要不可欠で、猫にとっても生活の中で記憶や学習を行うためになくてはならない物質です。

神経興奮を抑えリラックス効果のある「GABA」を生成

また、グルタミン酸を経由して生成される「GABA」という物質には、神経伝達を抑制する働きがあり、神経の興奮を抑えて緊張を緩和し、リラックス効果があります。

「GABA」が配合のサプリメントも販売されており、ストレスが原因で起こる犬や猫の問題行動の改善にも効果があると考えられています。

猫におけるグルタミン酸ナトリウム(MSG)の危険性、デメリット

基本的に安全試験はすべてクリアしている

グルタミン酸ナトリウムは食品添加物、飼料添加物にも登録され、世界で広く利用されています。国連(FAO/WHO)やFDA(米国食品医薬品局)、EUなどの国際機関からも安全性が認められ、国際がん研究機関(IARC)からも発がん性はなしという評価を受けており、遺伝毒性も確認されていません。

偏頭痛、病的な肥満や高インスリン血症、脂肪肝、緑内障などの原因に

グルタミン酸ナトリウムは一定の安全性が認められているものの、摂取量によっては体に様々な悪影響が出る可能性があるということが示唆されています。

偏頭痛や体のしびれ、病的な肥満、高インスリン血症、脂肪肝、緑内障などの原因と考えられています。

グルタミン酸ナトリウムは、醤油や味噌など他の調味料に比べて、しょっぱい、辛いといった味が少なく、味覚から過剰摂取であることが判断できません。このため食品でもキャットフードでもナトリウムや塩分相当量が高くなりやすいため、注意しなければなりません。

神経興奮毒性でアルツハイマーや筋萎縮性側索硬化症を引き起こす

キャットフード グルタミン酸ナトリウム引用元:記憶や学習に必須なグルタミン酸の神経伝達-KOMPAS 慶應義塾大学病院

他方、グルタミン酸の神経刺激が過剰におこると神経細胞が興奮しすぎることで刺激に耐えられなくなり、自ら死ぬことを選ぶことが知られています。これはグルタミン酸の神経興奮毒性と呼ばれ、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症といった神経変性疾患の原因になっていると考えられています(右)。

また、グルタミン酸の神経伝達は記憶や学習に必須である一方、過剰な活性は神経細胞の死を引き起こすことが分かっています。神経興奮毒性によって、神経変性疾患を引き起こす可能性が報告されているので、摂取量には注意しなければなりません。

まとめ

  • 主要な旨味成分で猫の嗜好性や食いつきを高める
  • 猫の記憶や学習に必要な神経伝達物質
  • 安全試験はクリア、食品添加物としても世界中で使用
  • 過剰摂取は体調不良や神経変性疾患、肥満など様々な体の異常を引き起こす
猫田

グルタミン酸ナトリウム(MSG)は猫の嗜好性や食いつきを高めるので、売上や評判などを考えても配合したいと考えるのも自然かもしれません。またそれは企業側のメリットだけでなく、猫にとっても「美味しい」と感じられるフードであることは素晴らしいことです。

ただ、摂取時の体への影響や心配は拭えず、またキャットフードへの使用量も明確な上限値は設けられていません。このため、なるべくなら自然由来のもので美味しさを作り出せるフードが望ましい、というのが当サイトの見解です。

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2019年8月12日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。