猫の検査方法。時間や費用、検査項目、診断できる病気を解説!検査前は絶食?

猫 検査
鈴木さん
猫が病気やケガをした時は、どんな検査があって費用はどの位かかるんでしょうか?
猫田

愛猫の万が一のときに備えて、動物病院における検査内容を知りたいと考える飼い主さんも少なくないと思います。

この記事では、猫における検査の種類や検査時間、費用などをお伝えしたいと思います。

猫の一般的な検査方法

動物病院では、猫が何らかの診断や治療を受ける場合、想定される病気によって様々な臨床検査が行われます。

全ての症例において検査を実施するわけではありませんが、獣医師が詳細な臨床検査を必要と判断した場合には、一般的に以下の検査項目を実施します。

血液検査

血液検査では、血液に含まれる物質やその値から、腎不全や糖尿病、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、ホルモン異常、膵炎、貧血、脱水など、様々な病気や疾患を確かめられます。

猫の後ろ足や首の後ろ側に注射針を刺し、太い血管から採血を行います。

血液検査指標
RBC(赤血球数)貧血や脱水
PCV(血球容積比、ヘマトクリット値)赤血球の割合
脱水や貧血
HGB(ヘモグロビン量)貧血
PLT(血小板数)凝固不全や出血
WBC(白血球数)感染症や白血病
ALT(GPT)肝障害
AST(GOT)肝臓・腎臓・心臓などさまざまな疾患
ALP(アルカリフォスファターゼ)肝臓や胆のう、胆管など
TP(総タンパク質)血中のタンパク質の総量、脱水や肝臓・腎臓疾患
ALB(アルブミン)血液の浸透圧調節、脱水や肝臓・腎臓疾患
BUN(血中尿素窒素)脱水や腎臓疾患
CRE(クレアチニン)腎臓疾患
NH₃(アンモニア)肝機能の低下、門脈シャントなどを検出
T-Bil(総ビリルビン)肝機能障害や血管内溶血で上昇、黄疸の原因
T-Cho(総コレステロール)肝臓・腎臓疾患、甲状腺・副腎疾患で上昇
TG(トリグリセライド)血中の中性脂肪、食事に関連して上昇
GLU(グルコース)血糖値
Na,K,CL(ナトリウム、カリウム、クロール)血中の電解質バランスを測定

レントゲン・X線検査

レントゲン検査はX線という電磁波を用いた検査方法で、腫瘍や骨折、肺炎や肺水腫、消化管内の異物、膀胱・腎臓の状態など、体の様々な部位を調べられます。

撮影は猫の腹部・胸部・骨格・口腔などですが、特に呼吸器疾患における異常の検出に有用です。

超音波・エコー検査

超音波・エコー検査は、高周波の音波を当てて跳ね返ってきた音をリアルタイムで画像化する検査で、心臓や臓器の動きを映像として詳細に確認することができます。

痛みがなく、麻酔なしでできるため、ストレスをかけずリラックスした状態でできるので非常に便利ですが、獣医師さんにある程度の技術が必要となります。

尿検査

尿検査はpH値やビリルビリン、尿糖、尿たんぱくの値を調べられる検査で、尿路結石や細菌感染、腎臓疾患などを発見できます。

採尿は、自宅採尿と動物病院で行う方法の2つがあり、自宅採尿の場合は尿を専用グッズやトレイなどを使って液体の状態で採り、動物病院での採尿の場合はカテーテルを尿道に挿入するか、膀胱に注射針を直接指して採るかの方法になります。

キットを利用した検査

血液や唾液、鼻汁などを用いて院内で簡単にできる検査キットもあり、感染症(FeLV、FIV、猫パルボウイルス感染症)、膵炎、ジアルジア症など、検体を入れて迅速に判定ができるため、ベッドサイドでの診断に役立ちます。

猫の検査時間

検査時間は約30~60分程度

一般的に、院内における検査の時間は30~60分程度です。

血液検査は10~20分、レントゲン検査は5~10分、エコー検査は内容にもよりますが10~15分、キットは簡易的なものなので10~20分程度となります。詳細な検査が必要な場合や、動物病院に馴れていなくて暴れてしまう場合は、さらに時間を要します。

また、感染症検査など外注検査が必要になると、検査結果が出るまでに1週間程度かかります。

猫の検査費用

3,000円~1万円が一般的

猫の検査費用は、動物病院や検査の内容によって異なりますが、以下では一例をお伝えします。

血液一般検査3,000~10,000円
レントゲン検査3,000~5,000円/枚
エコー検査3,000~5,000円/箇所(腹部、胸部)
感染症検査3,000~10,000円
検体キット3,000~5,000円
腎臓病の検査10,000円前後
膀胱炎の検査5,000~10,000円前後
アレルギーの検査10,000円~

なお、上記とは別に診察代や再診料、時間外料金や技術料(採血代など)がかかる場合があります。詳しくはかかりつけの動物病院にお問い合わせください。

【病気・症状別】猫の検査方法

感染症

猫の感染症にはさまざまあり、外猫を家で飼うようになったときや風邪をひいたとき、下痢をしているときなどは感染症の検査を行うことが多いです。

感染症の検査は、上記でお伝えしたキットの検査の他にも、外注検査(外の検査センター)に提出し、より詳細に調べることも可能です。

検査ができる項目の一例は以下の通りです。

  • パルボウイルス感染症(汎白血球減少症)
  • バベシア症
  • レプトスピラ症
  • 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
  • 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
  • 猫伝染性腹膜炎(FIP)
  • 猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス、カリシウイルス)
  • トキソプラズマ感染症
  • ヘモバルトネラ症(マイコプラズマ・ヘモフェリス感染)

腎臓病

腎臓病の検査は、BUNやCREを含む血液検査、尿検査、エコー検査が必須となります。

尿検査では、比重やpH、タンパク尿の有無などを測定し、エコー検査で腎臓の形態や流出経路に異常がないかを調べます。

最近では、早期に腎臓病の診断ができるSDMA(対称性ジメチルアルギニン)が測定されることもあります。

膀胱炎

膀胱炎の検査では、尿検査を行います。尿沈渣では尿中の細胞成分、血尿の有無などを見て診断します。

膀胱炎では細菌や貪食像のある白血球(細菌を食べている白血球)が見られることが一般的で、結石(ストラバイト、シュウ酸カルシウムなど)のかけらである結晶が見られる場合もあります。

ただ、猫の膀胱炎で頻発する原因不明の「特発性膀胱炎」においては、結石症や細菌感染が見られないという特徴があります。

アレルギー

猫のアレルギーは主に下記の3つ(4つ)に分類されます。

  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎(環境が原因)
  • 食物アレルギー 

猫のアレルギーはハウスダストなどの環境抗原やノミが原因となることは少なく、主に食事が原因となります。

食物アレルギーの場合には、血液検査や糞便検査、画像検査に加えて、除去食試験と食物負荷試験を行い診断します。

猫が検査を受ける前は絶食がいい

猫の検査は絶食で行うのがいいとされています。

食事をとって測定すると、BUNやTGといった検査項目が上昇することがあります。また、レントゲン検査やエコー検査では食事が残っていると内部構造が詳細に見られず、正確な検査結果が得られないことがあるため、検査前は食べ物は与えないようにしましょう。

ただし、状況によっては絶食しない方がいいこともあるため、無理に何時間も飲まず食わずの状況を作る必要はありません。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。