下部尿路疾患は膀胱から尿道の病気や症状
猫に多い尿路結石や膀胱炎などの総称
猫の下部尿路疾患とは、猫の尿道から膀胱までで起こる症状や病気の総称で、猫が発症しやすい尿路結石症(ストルバイト尿路結石、シュウ酸カルシウム結石症)や突発性膀胱炎なども含まれます。
下部尿路疾患の「尿路」とは体外に排泄されるまでに尿が通る場所をまとめた呼び方です。腎臓でつくられた尿が、尿管を通り膀胱に溜められ、尿路を通って排泄されるまでの部位を指します。下部尿路はその中でも体外に排泄される直前に通る膀胱や尿道部分を言います。
下部尿路疾患の療法食や対策フードでは、英語表記で「F.L.U.T.D(Feline lower urinary tract disease)」と記載されていることが多いです。
猫の下部尿路疾患の原因
下部尿路疾患は、下記のように様々な原因があると言われています。
- 飲水量の不足
- 運動不足
- 肥満
- 栄養バランスの偏った食事
- 気候の変化
- ストレス
下部尿路疾患の原因でよく言われるのが飲水量の不足です。水を飲まないとトイレに行く回数が減り、膀胱から尿道で尿が停滞(うっ滞)して結石の元となる結晶ができやすくなります。肥満や運動不足、環境の変化、ストレスなどでもトイレに行く回数が減ることがあるので、下部尿路疾患の原因になります。
特に猫に発症の多い突発性膀胱炎はストレスが原因である可能性が高いと考えられています。
また、マグネシウムやカルシウムなど結石を構成する成分の多い食事や、尿pH値が極端に傾くような栄養バランスが偏った食事が原因とも考えられています。
猫の下部尿路疾患(F.L.U.T.D)の症状と治療法
症状
下部尿路疾患にかかると、何度もトイレに行くようになり、血尿が見られることもあります。また尿量が減り、トイレ以外の場所に粗相をするなどのトラブルが見られる場合も。
また猫は痛がる様子を隠してしまうのでわかりにくいかもしれませんが、触れ合いの中で下腹部を触られるのを嫌がるそぶりが見られることがあります。
- 排尿困難
- 頻尿
- 血尿
- 粗相
- 腹痛
治療法
下部尿路疾患の治療法は病気の種類や原因によって異なりますが、突発性膀胱炎やストルバイト結石症の場合は基本的に手術が必要ないので、炎症や痛みを抑える薬を投与して治療します。また、投薬と合わせてトリプトファンが配合されたストレスケア療法食やpH調整の専用療法食を与えることが多いです。
シュウ酸カルシウム結石症は一度できると溶けることがないため、手術で結石を除去する必要があります。
猫下部尿路疾患の予防には水分摂取とストレスケアが重要!
飲水量を増やす環境づくり
水飲み場を一カ所ではなく複数の場所に設置したり、猫がよく通る場所に水飲み場を設置する等の対策があります。
水を飲む量が増えれば、排尿回数も増え、膀胱や尿道で停滞する時間も短くなるので、膀胱や尿道で結石が生成されにくくなります。猫はめんどくさがりなので、猫が安心して不便なく水が飲める環境を作ることが大切です。
ウェットフードで水分摂取
ウェットフードを使って猫の水分摂取量を増やす方法もあります。ドライフードは水分10%程度ですが、ウェットフードは80~90%が水分なので、効率良く猫に水分補給させることができます。
猫はもともと積極的に水をがぶがぶ飲む性質の動物ではなく、どんなに工夫しても水分が必要量に届かない場合もあるので、猫の飲水量ではなく食事自体の水分量を増やす方法はおすすめです。
また、普段ドライフードを食べている猫でも、おやつや副食にウェットフードや水分量が多いものを与えることで排尿量や排尿回数を増やすことができます。手作り食も水分量は多くなるので猫の水分補給には効果的です。
猫のストレスがたまらない環境作り
治療や療法食で対策しても、猫のストレスの根本的な原因を取り除かなければ、膀胱炎や尿路結石が再発してしまう可能性は高くなります。
食事や人の出入り、家具、人が気付きにくい音や匂い、温度や湿度の変化などに配慮して猫が快適に過ごせる環境作りを目指しましょう。
栄養バランスの整った食事
また、尿路結石はマグネシウム(ストルバイト結石:リン酸アンモニウム結石)やカルシウム(シュウ酸カルシウム結石)などから作られます。
ミネラル分の多い人の食べ物や栄養バランスが偏ったキャットフードを与えているなら、適切な栄養バランスの総合栄養食や尿路の健康維持を目的としたサポート食に変更するのがおすすめです。
まとめ
- 猫が最もかかりやすい疾患の一つ
- 尿路結石や膀胱炎が代表的
- 予防には水分補給とストレスケアが大切
- ミネラル分が多過ぎない食事を与える