キャットフードの原材料:保存料
細菌の繁殖による腐敗やカビを防ぐ
保存料とは、腐敗や細菌の増殖、食中毒などの危険を防ぐために配合される添加物です。
特に加工食品で使用されることが多く、キャットフードでは主にドライフードやおやつなど、密閉性の低い袋の商品や開封後もしばらく保存される製品に使用されます。小分けになって完全密封される缶詰やパウチ等のウェットフードは、未開封であれば細菌増殖や腐敗の必要がないため、保存料が使用されることは基本的にありません。
保存料と酸化防止剤との違い
酸化防止剤と保存料は働きが明確に異なりますが、どちらもドライキャットフードにとっては重要です。
酸化防止剤は、毒性の強い過酸化脂質を発生させたり栄養源の損失(ビタミン低下など)の原因となる「酸化」という化学反応を防ぐために配合される添加物です。食べ物の酸化は、ため、代わりに酸化して他の成分の酸化を防ぐ酸化防止剤の働きは非常に重要です。ただ酸化防止剤には保存料のような細菌の繁殖を抑制したり、カビや腐敗を防ぐ働きはありません。反対に保存料にも酸化防止剤のような酸化を防止する効果はありません。
キャットフードに使われる保存料
キャットフードに使用される保存料は、基本的に食品添加物に登録されている保存料が使用されます(農林水産省)。
- 安息香酸ナトリウム(指定)
- ソルビン酸カリウム(指定)
- パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)(指定)
- 亜硫酸ナトリウム(指定)
- ピロ亜硫酸カリウム(指定)
- ピロ亜硫酸ナトリウム(指定)
- プロピオン酸(指定)
- プロピオン酸カルシウム(指定)
- プロピオン酸ナトリウム(指定)
- ナイシン(指定)
- 二酸化硫黄(指定)
- デヒドロ酢酸ナトリウム(指定)
- カワラヨモギ抽出物(既存)
- ツヤプリシン(既存)
- ペクチン(既存)
- ε-ポリリシン(既存)
(指定)とは指定添加物に登録されている添加物のことで別名「合成添加物」と呼ばれています。(既存)とは既存添加物に登録されている添加物のことで別名「天然添加物」と呼ばれます。
キャットフードで避けたい合成保存料
安息香酸・安息香酸ナトリウム
犬猫用歯磨き粉にも含まれる安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)は食品添加物に登録されているものの、ビタミンCなどの酸と一緒に摂取すると白血病のリスクや発がん性のある猛毒「ベンゼン」が生成されることから避けたい危険な保存料として認識されています。
また、猫にとって安息香酸ナトリウムは特に危険と考えられていて、日本医薬品添加剤協会によるデータによると、2.39%の安息香酸を含む餌を摂取した28匹のネコに神経過敏、興奮、平衡および視覚喪失などの中毒症状や痙攣が生じたとのことです。
このことから毎日の主食として与えられる総合栄養食のキャットフードへの使用はほとんど見られませんが、ペットフード安全法などによる規制なども特にありませんので注意したい成分です。
ソルビン酸・ソルビン酸カリウム
ソルビン酸・ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)は様々な細菌に対して幅広く効果を発揮するため、保存料として最もよく用いられる添加物です。ペット関連商品ではロイヤルカナン等のキャットフードの他ペット用シャンプー等にも使用されています。
ソルビン酸カリウムの投与では発がん性や毒性は確認されていませんが、ソルビン酸については肝臓肥大、成長抑制、染色体異常などを引き起こす毒性や発がん性が危険視されています。
ある実験でラットにソルビン酸(油若しくは水溶液)を皮下で反復投与したところ悪性腫瘍が生じたという研究があります。
ソルビン酸もソルビン酸カリウムもEU内では保存料としての使用が認可された食品添加物ですが、食品には上限値や最大限度など成分基準がが細かく設定されています。しかしペットフード安全法にはソルビン酸やソルビン酸カリウムの上限値は設定されていません。
合成保存料を使用しないキャットフードも多い
保存性を高めることは大切ですが、メーカーによっては発がん性や毒性が危険視されている合成保存料を使用しないキャットフードも多いです。
合成保存料を使用せずに1年以上の賞味期限が保てるドライキャットフードも多くあります。そういったキャットフードでは、合成保存料に頼らず、天然保存料やハーブ等の原材料に含まれる防腐・抗菌作用を利用してキャットフードの保存性を高めています。
キャットフードの保存料まとめ
細菌の繁殖や腐敗を防ぐことはキャットフードにおいて非常に重要ですが、環境や他成分との組み合わせで発がん性や毒性のリスクがある保存料をわざわざ使用しなくていいならそれに越したことはないというのが当サイトの見解です。