キャットフードの砂肝。高たんぱくで低カロリー!鉄分とビタミンB12で貧血予防!下処理の方法も

キャットフードの砂肝。高たんぱくで低カロリー!鉄分とビタミンB12で貧血予防も!下処理の方法も

キャットフードの原材料:砂肝(gizzard)

砂肝とは鶏の砂嚢(さのう)とよばれる鳥類の胃の一部で、そのほとんどが筋肉で構成されています。鳥類は歯が存在しないため、食べ物を噛むという行為の代わりに砂嚢を使って食べ物を細かくして消化しています。石や砂が溜まりやすいので砂肝とよばれています

砂肝はほとんどが筋肉で構成されているので、コリコリとした食感が特徴的です。非常に硬そうな見た目をしていますが食べてみると意外にもサクッと噛みきることができ、味もあっさりしています。

焼き鳥屋さんの定番だったりスーパーの鶏肉コーナーにも並べられていて、なおかつお手頃なので買う方も多いのではないでしょうか。

実は、猫は砂肝を食べても大丈夫です!

砂肝が原材料のキャットフード、おやつ

砂肝には猫に害となる成分が含まれていないので、さまざまなキャットフードやおやつの原材料として使用されています。

砂肝が原材料のキャットフード、おやつ
  • イティ/エアドライ チキン&サーモンディナー
  • 九州ペットフード株式会社/AFURERU無添加国産鶏砂肝&ささみ極細
  • 友人/新鮮砂肝ふわふわ猫用

砂肝の栄養素とメリット

下表は、砂肝100gあたりの栄養素です。

エネルギー86kcal
たんぱく質18.3g
脂質1.8g
鉄分2.5mg
ビタミンK28μg
ビタミンB121.7μg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

高たんぱく・低カロリー・低脂質

砂肝には、たんぱく質が豊富に含まれています。人や犬のような雑食動物は炭水化物をエネルギー源としていますが、猫は肉食動物なのでたんぱく質をエネルギー源とします。

また、砂肝は高たんぱくでありながら低カロリー・低脂質という特徴を持ちます。高たんぱく食材の鶏むね肉(皮なし)と比べると5gほど少ないですが、カロリーや脂質は鶏むね肉よりも少ない数値です。そのため、運動量の多い子やダイエット中の子にもおすすめの食べ物です。

鉄分

鉄分は赤血球のヘモグロビンに含まれ、酸素の運搬やエネルギーの代謝など、健康維持に欠かせない働きを持っています。鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。

  • ヘム鉄:動物性食品(肉や魚)に多く含まれ、吸収率が高い
  • 非ヘム鉄:植物性食品(野菜や大豆)に多く含まれ、吸収率が低い

猫は体内で鉄分を合成できないので食べ物から鉄分を摂取することが必要となりますが、鉄分は体内ですでにある鉄分を再利用することができるので、欠乏することはほとんどありません。しかし、普段のキャットフードへの食いつきが悪い子や消化機能が低下しているシニア猫は、必要な鉄分量が不足するかもしれません。

鉄分を補給するには、吸収率が高い肉類や魚類を食べるのがおすすめです。

ビタミンK

砂肝に含まれるビタミンKは、肉類の中でもトップクラスの含有量です。

ビタミンKは「止血のビタミン」とよばれ、血液を凝固する働きを持ちます。出血をすると、たんぱく質の一種である凝固因子が傷口付近の血を固めて止血することができますが、ビタミンKはこの凝固因子を作るために必要なビタミンです。ビタミンKが不足すると血液凝固作用が働かず、出血したときに血が止まらなくなったり、骨形成障害などが生じる恐れがあります。

とくに猫は、ツナやサケを摂取するとビタミンKが欠乏しやすいといわれています。

ビタミンB12

ビタミンB12は動物性食品のみに含まれます。たんぱく質の合成、赤血球の形成、神経機能の正常化などの働きを持ちます。また鉄分のヘモグロビン合成をサポートし、貧血を予防します。

体内でビタミンB12を合成することができないので、食べ物から摂取する必要があります。

砂肝のおすすめの与え方!購入から食べるまで

①まずは砂肝の下処理

砂肝はスーパーでお手頃に買うことができますが、食べるには下処理をしなければなりません。

ほとんどの場合スーパーで売られているのは生の砂肝ですが、生の砂肝には「銀皮」とよばれる青白い色の薄い膜が付いています。銀皮は食べることができる部分ですが、他の身の部分と比べると非常に硬いため、猫に与えるときは銀皮を包丁でそぎ落としましょう。

②味付けせず、しっかりと加熱

人が食べる分には塩味やタレを付けて焼きますが、猫には味付けは必要ありません。また、砂肝は他の肉類と比べて中に火が通りにくいです。中に火が通るまで、しっかりと茹でるや焼くなどの加熱調理をしてください。

砂肝は焼くと香ばしさが際立ちます。美味しい香りにつられておねだりする子も多いでしょう。

また、砂肝は茹でると柔らかくなり、ゆで汁にも香りがあるので、食べ物への食いつきが悪い子には食欲の促進が期待できます。消化機能が低下しているシニア猫には、キャットフードにゆで汁を入れてふやかしてあげましょう。喉への負担も減り、体も温まります。

③小さくカットする

砂肝は歯ごたえがあるので小さくカットしたり、薄くスライスしてあげましょう。猫は口が小さく、アゴが弱い動物です。とくに歯周病がある猫や、噛む力が衰えているシニア猫には十分に注意しましょう。丸飲みする可能性もあるので、小さくカットすることで喉や胃腸への負担を減らすことができます。

カットしたときに、きちんと中まで火が通っているかの確認も大切です。生の部分がある場合はもう一度加熱することで、食中毒などの危険を避けることができます。

④少量ずつ与える

加熱した砂肝は、粗熱がとれるまで冷ましましょう。猫に与えるときはキャットフードにトッピングするか、たまのご褒美として与えましょう。頻度は1~2週間に1回程度で、一日の適正総カロリーの5%がおすすめです。

砂肝を与えるときの注意点

生では与えない

砂肝は鶏肉なので、生の砂肝には食中毒の原因となるサルモネラ菌などが付いている恐れがあります。猫に砂肝を与えるときは必ず加熱しましょう。

砂肝の匂いが苦手な子もいる

砂肝は内臓なので、いくら加熱調理しても苦味や匂いが苦手な子もいます。猫に砂肝を初めて与えるときは少量からスタートし、食べたあとは様子を見ましょう。それ以上欲しがらない場合は無理に与える必要はありません。

まとめ

  • 砂肝は高たんぱく・低カロリー・低脂質
  • 豊富な鉄分とビタミンB12は貧血予防に効果的
  • 砂肝の銀皮は取り除き、中までしっかりと火を通す

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信できること、多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターに。飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。