キャットフードの酸化防止剤とは?仕組みと役割、安全な酸化防止剤と避けたい酸化防止剤

キャットフードの酸化防止剤とは

酸化を防ぐ添加物

酸化防止剤はキャットフードの酸化を防ぐために加えられる添加物の一つです。

酸化とは「ある物質が酸素と化合する」ことで、たとえばリンゴが茶色っぽく変色する、鉄が錆びる、など私達の身近なところで日常的に起こっています。

酸化するとそのものはダメージを受け劣化し、食べ物としては好ましくない状態になります。

酸化防止剤の役目

抗酸化作用

酸化防止剤は、キャットフードの成分の身代わりになって酸化される「抗酸化作用」によって、キャットフードの成分を酸化から守ります。

ただ酸化防止剤が身代わりとして酸化されつくすと、キャットフードも酸化され始めるので、酸化防止剤で防げるのにも限りがあります。

酸化による変化と危険性

風味や味、栄養価が損なわれる

キャットフードの成分が酸化すると、風味や味が損なわれ、栄養価も低下します。

嗜好性が低くなるので食いつきも悪くなり、また本来摂取できるはずだった栄養価が失われて総合栄養食の役目を果たせなくなります。

有毒な過酸化脂質を生む

また風味や味だけでなく、体にとって様々な悪影響があることもわかっています。特に酸化しやすい脂質はキャットフードにも10~20%程度含まれている

  • 細胞の劣化
  • 動脈硬化
  • 消化器障害
  • 癌細胞の発生

キャットフードの脂質が酸化すると「過酸化脂質」という物質に変化し、上記のような病気や障害の原因となります。また、過酸化脂質は活性酸素やフリーラジカルを作り、さらに過酸化脂質を発生させてしまいます。

避けたい酸化防止剤

BHA(化学合成)

BHA(ブチルヒドロキシアニソール:Butylated hydroxyanisole)は、合成酸化防止剤の一つです。

化学合成によってつくられた指定添加物で、油脂やバター、魚介製品や医薬品などにも利用されています。

ラットによる事件で発がん性が指摘されたことがありましたが、使用量が非常に多かったことと、むしろ低容量のBHAはすでにある発癌性物質の抑制に効果があるという報告もある。摂取量を守ればそこまで危険というわけではないと考えられている

ペットフード安全法(「愛玩動物用飼料の成分規格などに関する省令」第3号)では、1gあたり150μg以下にするようBHAの含有量に制限が設けられています。

BHT(化学合成)

BHT(ジブチルヒドロキシトルエン:dibutylhydroxytoluene)は合成酸化防止剤の一つです。

化学合成によってつくられた指定添加物で、化粧品やボディソープ、医薬品、ゴムや石油製品など幅広く利用されています。

BHTは遺伝子情報に変化を引き起こす「変異原性」は認められており、奇形を生じさせる疑いを指摘されています。アメリカでは乳幼児食品への使用が禁止されています。発がん性は確認されていませんが、1970年代頃からは食品にはほとんど使用されなくなってきています。

またペットフード安全法では、BHAと同様、1gあたり150μg以下にするよう制限が設けられています。

没食子酸プロピル(化学合成)

没食子酸プロピル(Propyl gallate)は、BHAやBHTよりも強力な抗酸化作用をもつ合成酸化防止剤です。

こちらも化学合成によってつくられた指定添加物で、バターや油脂類などの食品に利用されています。

没食子酸プロピルは、染色体異常と変異原性が認められていますが、BHTやBHAのように法律で使用量の制限が設けられているわけではありません。

エトキシキン(化学合成)

エトキシキン(Ethoxyquin)は、合成酸化防止剤の一つで、酸化防止剤の他にも、リンゴや梨の焼け防止剤、殺菌剤などとしても海外では利用されています。

エトキシキンは、染色体異常の誘発や発癌性の可能性などが指摘されているため、日本国内の食品へはエトキシキンが使用禁止となっています。

ですが飼料用添加物には登録されているため、飼料に分類されるペットフードにはエトキシキンが使用されることがあります。

安全性が高いと言われる酸化防止剤

トコフェロール(ビタミンE)

トコフェロールは、合成と天然どちらもある酸化防止剤で、キャットフードでは非常によく使われる酸化防止剤です。ビタミンEは多く摂取しても中毒性は少ないため、特に青魚の脂や魚油が多く含まれる製品では、イエローファット(黄色脂肪症)を防ぐ目的でよく添加されます。

トコフェロールはビタミンEであり、植物の光合成によって合成されるビタミンEは基本的には自然由来になります。ただ種類によって、dl-α-トコフェロールは化学合成によってつくられる酸化防止剤で合成型ビタミンEとなります。

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2019年7月30日

ローズマリー抽出物(自然由来)

ローズマリー抽出物は、ローズマリーから抽出される自然由来の酸化防止剤です。合成酸化防止剤を使用しないキャットフードではローズマリーがよく使用されます。

ローズマリーはハーブの一種であり、古くから食されてきた実績があります。安全な酸化防止剤として選択しているキャットフードメーカーも多いかと思います。

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2019年7月26日

緑茶(自然由来)

緑茶は、緑茶または緑茶から抽出したエキスで、自然由来の酸化防止剤として使用されることがあります。

緑茶は、カテキンが豊富で、抗酸化作用、活性酸素消去作用、他にも消臭効果、抗アレルギー、血糖値の調節などの作用があります。また、精神安定作用による突発性膀胱炎の予防なども期待されています。

ただ緑茶にはカフェインや、シュウ酸カルシウム結石症の原因となるシュウ酸も多く含まれるので、配合量が多ければ多いほど良いというわけではありません。

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2019年11月20日

クエン酸(自然由来)

クエン酸は酸味の強い柑橘類に多く含まれる自然由来の酸化防止剤です。かなり強い酸性のため、酸化防止剤の他にもpH調整剤としても利用されています。

副作用も特に確認されていない安全性の高い酸化防止剤で、キャットフード以外にも、消臭・トイレグッズなどの猫用品に使用されています。

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2020年1月28日

L-アスコルビン酸(ビタミンC)

L-アスコルビン酸はグルコースから生成されるビタミンCで、合成酸化防止剤の一つです。食品では栄養添加物や酸化防止剤として利用されています。

人間の場合ですが、L-アスコルビン酸で行った試験では発癌性や遺伝毒性などはなく、安全性に問題はないと判断されています。

キャットフードの酸化防止剤まとめ

猫田
以上、酸化による危険性と酸化防止剤の役目、キャットフードで使用される代表的な酸化防止剤についてご紹介してきました。
鈴木さん
酸化を防ぐための添加物が、猫に悪影響を与えるのは問題ですが、酸化防止剤を使わずにフードが酸化してしまうこともとても危険なんですね。
猫田
そうですね。酸化防止剤の危険性ばかりに注目されて目の敵にされがちですが、キャットフードの品質と猫の健康を守るためには必要な添加物です。

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2016年8月26日

ABOUTこの記事をかいた人

【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。