キャットフードの酸化防止剤。危険性・発がん性を解説!安全な酸化防止剤?

キャットフードの酸化防止剤とは

酸化を防ぐ添加物

酸化防止剤は、抗酸化作用によってキャットフードの酸化を防ぐ添加物です。

酸化はある物質が酸素と化合する反応を指し、リンゴが茶色っぽく変色する、鉄が錆びるなど日常的に起こっています。

酸化するとそのものはダメージを受け劣化し、風味や見た目が損なわれ、栄養素が損出するなど、食品としての品質低下を招きます。

自身が代わりに酸化されて食品を守る

酸化防止剤は、自身が身代わりとなることで食品やキャットフードを酸化から守ります。

ただ沢山酸素に触れて酸化防止剤が酸化されつくすと、キャットフードも酸化され始めるので、酸化防止剤で防げる範囲や期間にも限りがあります。

危険性が心配される酸化防止剤

BHA(化学合成)

BHA(ブチルヒドロキシアニソール:Butylated hydroxyanisole)は、合成酸化防止剤の一つです。

化学合成によってつくられた指定添加物で、油脂やバター、魚介製品や医薬品などにも利用されています。

ラットによる事件で発がん性が指摘されたことがありましたが、使用量が非常に多かったことと、むしろ低容量のBHAはすでにある発癌性物質の抑制に効果があるという報告もあることから、摂取量を守ればそこまで危険というわけではないと考えられています。

ペットフード安全法(「愛玩動物用飼料の成分規格などに関する省令」第3号)では、BHTとの合計量が1gあたり150μg以下にするよう制限が設けられています。

キャットフードの酸化防止剤BHA。発がん性の危険がある一方、抑制効果も報告される

2021年5月19日

BHT(化学合成)

BHT(ジブチルヒドロキシトルエン:dibutylhydroxytoluene)は合成酸化防止剤の一つです。

化学合成によってつくられた指定添加物で、化粧品やボディソープ、医薬品、ゴムや石油製品など幅広く利用されています。

BHTは遺伝子情報に変化を引き起こす「変異原性」は認められており、奇形を生じさせる疑いを指摘されています。アメリカでは乳幼児食品への使用が禁止されています。発がん性は確認されていませんが、1970年代頃からは食品にはほとんど使用されなくなってきています。

ペットフード安全法で、BHAと合計量が1gあたり150μg以下にするよう制限が設けられています。

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2021年5月24日

没食子酸プロピル(化学合成)

没食子酸プロピル(Propyl gallate)は、BHAやBHTよりも強力な抗酸化作用をもつ合成酸化防止剤です。化学合成によってつくられた指定添加物でバターや油脂類などの食品に利用されています。

没食子酸プロピルは、染色体異常と変異原性が認められています。BHTやBHAのように法律で使用量の制限が設けられていません。

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2021年6月9日

エトキシキン(化学合成)

エトキシキン(Ethoxyquin)は、酸化防止剤、果物の焼け防止剤、殺菌剤として海外で利用されています。

飼料用添加物には登録されているため、家畜飼料やペットフードにはエトキシキンが使用することが可能ですが、エトキシキンは、染色体異常の誘発や発癌性の可能性などが指摘されているため、日本では国内の食品や農薬への使用が禁止されています。

枯葉剤 キャットフード

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2021年6月4日

酸化防止剤は必要ない?使用しない方が危険

添加物不使用、酸化防止剤を不使用にすればいいという意見も聞かれますが、キャットフード(ドライフード・総合栄養食)では酸化防止剤は必要不可欠な要素です。

風味や味、栄養価が損なわれる

酸化防止剤を使用しないとキャットフードの酸化速度が速まり、早い段階で風味や味が損なわれます。また、酸化によってビタミンなどの栄養素も損失します。

嗜好性が低くなるので食いつきが悪くなり、また本来摂取できるはずだった栄養価が失われて総合栄養食の役目を果たせなくなります。

有毒な過酸化脂質によって発癌性の可能性

また風味や栄養素が損失するだけでなく、酸化した食品は有害です。

特にキャットフードにも10~20%程度含まれている脂質は酸化しやすく、酸化によって生まれた過酸化脂質は以下のような危険性があります。

  • 細胞の劣化
  • 動脈硬化
  • 消化器障害
  • 癌細胞の発生

合成酸化防止剤も発癌性などが懸念されていましたが、酸化が進むと、けっきょく癌細胞が発生してしまいます。

そこで、キャットフードでは酸化防止剤を不使用にするのではなく、発癌性のない安全な天然由来の酸化防止剤が使用されるようになってきました。

安全性が高いと言われる酸化防止剤

トコフェロール(ビタミンE)

トコフェロールは、合成と天然どちらもある酸化防止剤で、キャットフードでは非常によく使われる酸化防止剤です。ビタミンEは多く摂取しても中毒性は少なく、特に魚系フードでは、イエローファット(黄色脂肪症)を防ぐ目的でも添加されています。

トコフェロールはビタミンEであり、植物の光合成によって合成されるビタミンEは基本的には自然由来になります。ただ種類によって、dl-α-トコフェロールは化学合成によってつくられる合成型ビタミンEが使用される場合がありますが、抗酸化作用はないので栄養添加物としての使用となります。

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2019年7月30日

ローズマリー抽出物(自然由来)

ローズマリー抽出物は、ローズマリーから抽出される自然由来の酸化防止剤です。合成酸化防止剤を使用しないキャットフードではローズマリーがよく使用されます。

ローズマリーはハーブの一種であり、古くから食されてきた実績があります。安全な酸化防止剤として選択しているキャットフードメーカーも多いかと思います。

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2019年7月26日

緑茶(自然由来)

緑茶は、緑茶または緑茶から抽出したエキスで、自然由来の酸化防止剤として使用されることがあります。

緑茶は、カテキンが豊富で、抗酸化作用、活性酸素消去作用、他にも消臭効果、抗アレルギー、血糖値の調節などの作用があります。また、精神安定作用による突発性膀胱炎の予防なども期待されています。

ただ緑茶にはカフェインやシュウ酸(シュウ酸カルシウム結石を構成)も多く含まれています。

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2019年11月20日

クエン酸(自然由来)

クエン酸は酸味の強い柑橘類に多く含まれる自然由来の酸化防止剤です。かなり強い酸性のため、酸化防止剤の他にもpH調整剤としても利用されています。

副作用も特に確認されていない安全性の高い酸化防止剤で、キャットフード以外にも、消臭・トイレグッズなどの猫用品に使用されています。

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2020年1月28日

L-アスコルビン酸(ビタミンC)

L-アスコルビン酸はグルコースから生成されるビタミンCは、栄養添加物や酸化防止剤として利用されています。人間に対して行ったL-アスコルビン酸の試験では発癌性や遺伝毒性などはなく、安全性に問題はないと判断されています。

キャットフードの酸化防止剤まとめ

猫田
以上、酸化による危険性と酸化防止剤の役目、キャットフードで使用される代表的な酸化防止剤についてご紹介してきました。
鈴木さん
酸化を防ぐための添加物が、猫に悪影響を与えるのは問題ですが、酸化防止剤を使わずにフードが酸化してしまうこともとても危険なんですね。
猫田
そうですね。酸化防止剤の危険性ばかりに注目されて目の敵にされがちですが、キャットフードの品質と猫の健康を守るためには必要な添加物です。

キャットフードの危険な合成添加物、安全性が高い天然添加物を解説

2016年8月26日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。