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重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
致死率60~70%のウイルス性出血熱
重傷熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)とは、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染するウイルス性出血熱の病気です。
人と動物の両方に感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)に分類されます。
感染は人だけだと考えられていた
引用元:NIID国立感染症研究 SFTS発症動物について(ネコ, イヌを中心に)(IASR Vol. 40 p118-119:2019年7月号)
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)は、感染した動物で発症するのはヒトだけだと考えられていました。
しかし2017年4月に和歌山県でSFTSウイルスに感染した猫が見つかり、世界で初めて人間以外の動物にもSFTSウイルスが感染することが判明しました。その後、SFTSに感染している猫が120頭も発見され、犬7頭、チーター2頭の感染も確認されました。
これにより、重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)は人獣共通感染症であることが判明しました。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染経路:猫から猫
マダニが猫を咬むことで感染する直接的な感染もありますが、マダニ予防を行っていた猫への感染も確認されているため、感染した猫から他の猫への猫同士の感染の可能性も考えられます。
このため、野良猫や屋外猫で1頭でも感染した猫がいるとどんどん猫同士で感染が広がってしまいます。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染経路:猫から人
SFTSウイルス感染をした猫から、飼い主さんや獣医療関係者など人への感染も確認されました。人が感染した場合の致死率は10~30%と高く、感染すると10人に1~3人は亡くなってしまいます。飼い主さんや獣医師はとくに注意が必要となります。
動物薬教育研究センターの情報によると、2018年小動物病院に来院した犬や猫の治療の中で、グローブやマスクを着用していたのにもかかわらず、獣医師や動物看護師がSFTSウイルスに感染してしまった事例もあり、動物から容易に感染してしまうことがわかりました。
感染した猫から咬まれたり濃厚接触が原因で感染することがあり、獣医療従事者や野良猫との接し方について今一度見直しが必要となる件として注目されています。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染経路:人から人
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した人から、他の人への感染も確認されています。SFTSウイルスが広まらないよう猫も獣医療従事者も私たち飼い主自身も、感染対策や予防を心がける必要があります。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染経路:人から猫
現在のところ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は人から猫への感染の報告はありません。
しかし、人がSFTSウイルスを保有していたとしても猫へ感染するかどうかについての確実なデータは現在のところありません。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の症状
猫が重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した場合、人と同じような症状があらわれます。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した場合、人と同じような発熱、出血、食欲消失、黄疸などの症状が現れます。感染した動物の中でも猫の致死率は60~70%と非常に高く、犬(致死率29%)や人(10~30%)より感染した時の死亡リスクが高いことが分かります。
感染してから潜伏期間6~14日を経て発症し、出血や発熱、腹痛、消化器官系の症状、筋肉痛、神経症状、リンパ筋腫腸、黄疸などの症状が見られます。
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の予防
マダニ予防が最も効果的
重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)は有効な治療法やワクチンが存在せず、感染した場合は症状を抑える対症療法しか行うことができません。
そのため、重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)の対策はマダニ予防が最も効果的とされています。
室内飼育を徹底する
猫のマダニ対策をきちんとしていても、外で重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染した猫や動物から感染するリスクがあり、また、症状が出ない潜伏期間の間に飼い主さんに感染してしまう可能性も考えられるので、猫はとにかく室内飼育を徹底しましょう。
まとめ
SFTSは、最近見つかった情報の少ない感染症です。感染力が高く有効な治療法がないことや致死率が高い病気であること、そしてそれを治療する獣医療従事者や飼い主も危険にさらされることなどさまざまなリスクがあるため、対策と予防が大切です。
愛猫はもちろん、自分や家族、獣医療従事者、他の猫の命も守れるよう、マダニ対策はもちろん、完全室内飼いで育てることを徹底するなど心がけましょう。