目次
グレインフリーキャットフードとは
穀物を一切使用しない
穀物(グレイン:grain)とは「イネ科植物の種子」のことで、代表的なものでは米・小麦・トウモロコシ・大麦などがあります。グレインフリー(Grain Free)とは、穀物が一切含まれていないということです。
グレインフリーキャットフードは、原材料にこれらの穀物を一切使用せずに製造されています。
グレインフリーとグルテンフリー
ペットフードではグレインフリーとよく似た言葉のグルテンフリーもよく聞かれます。グレインフリーは穀物不使用のキャットフードですが、グルテンフリーは小麦やライ麦などに含まれる「グルテン」というタンパク質が不使用になったキャットフードです。
このため、グレインフリーはグルテンフリーを兼ねていますが、グルテンフリーの場合、グルテンが含まれない米などの穀類が含まれることがあります。
グレインフリー(穀物不使用)キャットフードが人気の理由
猫の消化器官に配慮
猫は穀物を消化吸収するのが苦手な動物です。猫も穀物を食べてエネルギーとして活用できますが、食べた穀物全体の30~40%程度しか利用できません。
また、猫は草食動物や雑食動物に比べて穀物や植物の消化に時間がかかります。そのため多すぎる穀物は消化器官に負担をかけ、堅いコロコロうんちや便秘、消化不良の原因にもなります。
猫本来の食事に寄り添う
グレインフリーキャットフードは、猫にとってはエネルギー源であり、効率良く消化吸収できる肉や魚などの動物原料を多く配合されるため、猫本来の食生活に寄り添うことにも繋がります。
猫の食物アレルギーへの配慮
穀物の中でもとくに利用されることが多い小麦やライ麦、トウモロコシはアレルギー反応や食物不耐症を引き起こしやすい食材です。
グレインフリーは穀物すべて不使用なのでアレルギー対策にもなります。アレルギー対策だけの場合は、玄米や米、雑穀などアレルギーの出にくい穀物もあるので、一概にグレインフリーという選択肢になるわけではありません。
ただ、たとえば大麦やオート麦には小麦やライ麦が混ざって入り込んでしまうこともあるため、しっかりと穀物アレルギーの対策をされたいならグレインフリーがおすすめです。
どのライフステージにもおすすめ
グレインフリーが人気な理由として、どのライフステージの猫にとってもおすすめできる点が挙げられます。どのライフステージにおいても共通しているので、与えやすいという点はメリットとして大きいのではないかと思います。
おすすめのグレインフリーキャットフード
ロニーキャットフード チキン
2018年7月に販売を開始したロニーキャットフード(RONNIE)。グレインフリーでチキンを66%も使用した動物性タンパク質を多く含む高タンパク質キャットフードです。
エンドウ豆や野菜やハーブなど豊富な原材料を使用しており、食物繊維量は3%と平均的です。炭水化物量については表示されていませんが、チキンを66%も配合しているので、炭水化物の食材は多くて30%台という計算になり、ちょうど猫が消化できる値に収まっています。
キャットフードの工場開拓から契約、レシピ考案まで行ったマッサンペットフーズの第一号の商品であり、不安な点や疑問点は電話やメールで気軽に相談もできるため、グレインフリーに不安があった方も納得して購入できたという口コミも見られました。
オリジンキャットフード キャット&キトゥン
世界的に高評価を受け人気の高いオリジンキャットフード。グレインフリーで肉原料の配合が非常に多い超高タンパク質キャットフードであり、低炭水化物が売りとなっています。
オリジンにも炭水化物量の記載はありませんが、原材料のほとんどが肉や魚原料であり、炭水化物源の豆類の配合も全体の2%以下なので、炭水化物源はほとんど含まれていないと言っても過言では無いかと思います。
ロニーと同じく原材料には野菜やハーブ、フルーツなども使用しており、食物繊維も3%程度含まれています。
エリザベスキャットフード サーモン
サーモンやニシンなど日本猫の嗜好性が高い魚をメインにしたエリザベスキャットフード(ELIZABETH)。グレインフリーで、サーモン、ニシンで41%を占める魚の風味豊かなレシピに仕上がっています。また、グレインフリーはカロリーが高くなりがちですが、エリザベスキャットフードは100gあたり381kcal、脂質も16%で、他のグレインフリーフードよりもヘルシーな設計となっています。
始めに紹介したロニーキャットフードの第二弾ということで、販売実績などから見ても安心して利用できるフードの一つではないでしょうか。
他のグレインフリーフードについても知りたいという方は、下記の全100種以上のフードの比較したランク評価の記事をご覧下さい。
グレインフリーキャットフードの選び方
肉や魚の配合量をチェック
グレインフリーキャットフードを選ぶ時は、肉や魚がどのくらい配合されているかチェックしましょう。
穀物が不使用になった分、どんな原材料が増えているのか見ることが大切です。多くのグレインフリーキャットフードでは、穀物が不使用になった分、魚や肉などの動物原料が多く含まれるようになりますが、芋類や豆類が穀物の代わりに沢山配合されることもあります。芋類や豆類が多く配合されすぎると、肉や魚の含有量がそこまで多くはなくなるので、メリットは少なくなります。
成分バランスをチェック
猫の健康を守るキャットフード総合栄養食である以上、成分バランスは特にチェックしておかなければなりません。穀物が少ない分、どのような食材で食物繊維やビタミン、ミネラルなどを補っているのか、成分同士のバランスにも気を付けながら選べるといいです。
極端に食物繊維が少ないと腸内環境が乱れて免疫機能が下がってしまったり下痢や軟便を引き起こすこともあります。
ビタミンやミネラルが原材料から摂取できないと栄養添加物に頼り切ったレシピになるので、原材料名欄と成分表を合わせて見ておくといいと思います。
グレインフリーキャットフードのデメリットと注意点
ただし万能というわけでもないグレインフリーフード。穀物を不使用にすることで考えられる注意点やデメリットも一緒に解説します。
グレインフリーはお腹が減りやすい
グレインフードは消化吸収が良いため、食べてもすぐにお腹が減りやすいデメリットがあります。
食いしん坊な猫や今まで沢山の量を食べることに慣れていた猫は、いつもの量を食べても追加のフードをねだられることもあるかもしれません。
そこでキャットフードを追加で与えてしまうと癖になり肥満になってしまうので給与量には注意しましょう。
グレインフリーは価格が高い傾向
グレインフリーキャットフードの価格帯はだいたい中~高価格帯になることが多いです。
というのもグレインフリーキャットフードは、穀物だけでなく添加物量や他に使用する食材や栄養バランスにもこだわって作られている傾向にあります。
そのため価格はホームセンターやスーパーで売られている激安キャットフードに比べて高いと感じるかもしれません。
グレインフリーは軟便や下痢になりやすい
穀物不使用のグレインフリーキャットフードに切り替えると、しばらくは下痢や軟便が続くことがあります。
穀物には不溶性食物繊維が豊富に含まれており、この不溶性食物繊維にはうんちを固めたり量を増やしたり作用があります。
そのため急に穀物がなくなるとうんちが柔らかい状態が続きやすいです。
重度の腎臓病・肝臓病の猫にはNG
グレインフリーキャットフードは穀物の代わりにタンパク質が豊富な動物原料をたくさん使用するので、タンパク質を制限するように言われた腎臓病や肝臓病の猫には、基本的にNGとなります。
腎臓や肝臓は、タンパク質を消化する際にできるアンモニアの解毒や排泄を行う臓器です。そのため肝臓や腎臓が正常に機能しない状態で高タンパク質なキャットフードを与えると負担がかかり、さらに悪化してしまいます。
腎臓や肝臓の病気が疑われる猫は、動物病院で診察してもらってから与えるようにするといいでしょう。
穀物「不使用」のグレインフリーである必要性はあるのか
必ずしも不使用にする必要はない
ここまでグレインフリーキャットフードのご紹介をしてきましたが、必ずしもグレインフリーキャットフードを選ぶ必要はないと思います。
現在グレインフリーがトレンドということもあり、メーカーでもサイトでもグレインフリーを全面的に推す傾向があります。
猫は40%程度なら炭水化物を消化できる
しかし猫も40%程度の炭水化物なら消化できることが分かっているため、猫が穀物を完全に消化ができないというわけではありません。
ただ猫の消化・代謝の仕組みや本来の食事に寄り添うことを考えると、グレインフリーもしくは穀物は少なめのキャットフードが個人的にはおすすめです。
原材料表示に注意
ただし穀物少なめのキャットフードを選ぼうとする場合には原材料名欄をチェックしなければなりません。ですがその原材料表示も、配合量や割合は明確に表示されていないことがほとんどです。
そのため、たとえば原材料で「チキン、小麦、米、トウモロコシ、コーングルテン…」とあった場合、表示上ではチキンが最も多く配合されているように見えますが、穀物を集めてみるとチキンを大幅に超えて配合されていることもあります。
「チキン生肉・チキン乾燥肉・サーモン・米…」と動物原料が明らかに主原料を占めていて、穀物が後の方に表示されていれば、さすがに穀物が動物原料以上配合されていることはないと思いますが、表示の仕方にも注意して見てみるといいかと思います。
オーガニック × グレインフリーのキャットフードも登場
原材料の安全性と猫の体に配慮
グレインフリーかつオーガニック食材を使ったキャットフードも登場しています。オーガニック食材は簡単に言えば、化学肥料や農薬、添加物を使用せずに作られた有機栽培の食べ物です。
手間も時間もコストもかかるため材料費の安い穀物を使用してコストを抑えることが多いですが、グレインフリーの注目度が高まってからオーガニックでグレインフリーのキャットフードも見られるようになりました。
比較的安く育てられる穀物を使用せずに原材料費の高い動物原料をオーガニックで育てるため、やはり価格は他のキャットフードより高くなります。しかしこだわりの強く厳しい基準で製造されているため、安全性が高く安心して愛猫に食べてもらえるのではないでしょうか。
オーガニックでおすすめのグレインフリーキャットフード
ヤラーは言わずと知れたオーガニックペットフードメーカーで、製造環境の認証を得たり工場内部を公開するなどオープンな姿勢とメーカーの透明性も魅力です。穀物を使用しない代わりに肉原料や他の野菜や植物が多く配合されています。
キャスター&ポラックスもアメリカでメジャーなオーガニックペットフードメーカーです。グレインフリーでチキンとサツマイモをメインに使用したキャットフードとなっています。