糖尿病は私たち人間の間でも年々増加傾向にある病気で、10人に1人は糖尿病の可能性があると言われています。
しかしこの糖尿病は人間に限ったことだけではありません。猫も糖尿病にかかることがあるので、注意してみてあげることが大切です。
猫の糖尿病について
糖尿病とは
糖尿病とは血液中に通常より非常に多くのブトウ糖が含まれている状態を指す病気です。日常的に聞かれるこの「血糖値」とは、この血液中のブドウ糖濃度を表しています。
糖尿病はただ血糖値が高いだけではありません。血液中のブドウ糖が多いことで血液はドロドロになり、血管に負担がかかってどんどん血管がボロボロになっていく病気です。
糖尿病は血糖値に関係が深い「インスリン」が減少することで、血液中のブトウ糖の濃度が調節されず、血糖値が高い状態になり発症します。
※インスリン…血液中のブドウ糖を筋肉や臓器などに吸収させ、血液中のブドウ糖濃度を一定に保つ役割を担うホルモン
危険な合併症「糖尿病ケトアシドーシス」
糖尿病は様々な合併症を発症させ、猫の体をむしばんでいきます。
その中でも特に恐ろしいとされる病気が「糖尿病ケトアシドーシス」。糖尿病ではインスリンが不足することで血液には糖が沢山ありますが、体の細胞にはエネルギーが供給されていない状態です。そのため体はエネルギー不足になり飢えているのと同じ状態になっています。
他の病気などにかかってエネルギーがさらに供給されない状態が続くと、さらに糖尿病ケトアシドーシスは進行し最終的に死に至ることもあります。
猫に多い2型糖尿病の原因
糖尿病には1型と2型の2種類の糖尿病があり、猫は人と同じで2型糖尿病であることが多いです。
2型の糖尿病の場合、肥満などが原因でインスリンの分泌量が減少することで、血糖値が異常に高い状態になってしまい糖尿病になります。
猫も原因は人間と変わりませんが、
- 食べ過ぎ
- 運動不足
- ストレス
などの理由で肥満になり糖尿病を発症します。特に猫はインスリンの分泌量が少ない傾向にあるため、通常の食生活をしていても糖尿病にリスクは高いそうです。
さらに最近の飼い猫はキャットフードやおやつを沢山与えられますし、室内飼いなので運動不足になりやすく、ますます糖尿病にかかりやすくなっています。
猫が糖尿病になった時の症状
人間の場合、糖尿病になってもなかなか自覚症状が出ませんが、猫の場合の初期症状は、
- 水を飲む量が増える
- おしっこの量も増える
などまずは飲み水と尿の量に変化が見られます。また糖尿病が進むと、
- 食欲がなくなる
- 嘔吐
- 体重が減り痩せる
などの症状が出て、いつもより元気がなくなっていきます。
猫の糖尿病は治るのか
糖尿病が完治することはない
愛猫が糖尿病だと診断された場合、治療次第で完治するのか、治ることは実際あるのか、と考える飼い主さんもいると思います。
ですが猫も糖尿病は一度発症してしまうと完治することがありません。
糖尿病になった猫の寿命
完治することのない糖尿病で、猫の寿命はどれくらいになるのか気になる方もいるかもしれませんが、寿命は糖尿病の進行具合と、糖尿病だと発覚してからの治療や改善次第だと言えます。
すでに糖尿病が末期の猫や、食事療法や治療を行わなかった場合、合併症などを引き起こして早く亡くなる可能性は高いですが、発症して時間が経っていなければ、飼い主さんが治療や食事管理などを積極的に行うことで寿命は長くできると思われます。
猫によっては糖尿病になってから10年以上元気に生きた猫もいますし、平均寿命を超えた年齢まで生きた猫もいるので、発覚してからの生活が重要です。
糖尿病猫の治療にはインスリン注射
猫の糖尿病治療をする場合の方法と費用はどれくらいになるのか解説します。
インスリンを注射
糖尿病はインスリンが不足してブドウ糖が血液中に残ったままであることが原因なので、不足しているインスリンを毎日投与することで血糖値を下げることができます。
これは病院で行うのではなく、飼い主さんが自宅で猫に注射を打ちます。毎日食事の後に、猫の背面あたり首の下の皮膚をつまんで注射をし、インスリンを投与して治療を行います。
インスリン注射の費用
糖尿病のインスリン治療の費用は、
- インスリン 約5,000~8,000円くらい
- 注射器 1本あたり約40~110円くらい
インスリン注射で最も大切なこと
インスリン治療で最も重要なのは、猫の毎日の食事量を一定にすることです。インスリンは液体での量は何日分かが動物病院から処方されるので、インスリンの量を毎回変えるわけにはいきません。
そのためもし猫の毎日の食事の量が違うと、血中の糖の量も日によって変わるので、インスリンの効きも変わってきます。もし食事量に対してインスリンの量がすくないと血中の糖が抑えきれないので糖尿病は進行してしまいます。
ですが、より危険なのはインスリンの量に対して食事量が少ない時です。食事量が少ない状態でいつもの量のインスリンを打つと、猫は低血糖症になってしまいます。もし低血糖の状態で処置が遅れると、最悪の場合死に至ることもあるため、インスリンの量にあった食事量を保つ必要があります。
猫用の糖尿病療法食
糖尿病の猫のために糖コントロールができる療法食キャットフードが販売されています。普通のキャットフードとの違いとして大きいのは、吸収速度がゆっくりな原材料が使われていることです。
糖として体へ吸収されるのが遅いので、血糖値が急に上がりにくい特徴があります。
療法食にはドライフードもウェットフードもあり、様々なメーカーが販売しているので、動物病院で指定された物を利用もできますし、ご自分で猫のために糖尿病療法食を探すことも可能です。
猫の糖尿病を予防するには
食事の改善
愛猫の糖尿病が心配になった場合、まずは食事の改善からです。肥満気味の猫は糖尿病になる可能性が高くなるので、キャットフードの量やどんなキャットフードを与えるか見直しましょう。
糖尿病予防のためのキャットフードも販売されているので、猫用の市販の糖尿病予防フードを与えてもいいと思います。
いかがでしたでしょうか。今回は猫の糖尿病について見てきました。糖尿病は治療や食事の改善次第で症状や進行速度が大きく変えられる病気です。まだ糖尿病でない猫なら食事の改善や運動をさせるなどの予防をしてあげてください。