今回は猫の目の病気の一つ、「角膜分離症」についてお話していきます。角膜分離症は再発しやすい病気なので、早期発見・早期治療ができるよう、現在は角膜分離症の疑いがなくてもチェックすることが大切です。
角膜分離症（角膜黒色壊死症/巣状表層壊死症）とは
猫にのみよく見られる目の病気
角膜分離症とは、透明で透き通っている角膜が壊死して黒い沈着（斑点）がみられる眼疾患です。角膜黒色壊死症、巣状表層壊死症ともよばれます。
ペルシャ猫やヒマラヤンのような目が大きく鼻が短い猫によくみられる病気で、他の動物ではあまりみられないことから猫特有の病気といわれています。
角膜分離症の原因
外傷
猫が他の動物とケンカしたり、家具や植物の枝など鋭利なものにぶつかることで角膜に直接傷つくことがあります。これを放置したり症状が進行すると角膜分離症を引き起こす恐れがあります。
感染症
猫ヘルペスウイルス（FHV-1）や猫カリシウイルスなどの感染症が角膜に炎症を引き起こし、角膜の構造が弱くなることがあります。これが角膜分離症の原因になる場合があります。
角膜潰瘍の悪化
角膜潰瘍が放置されると症状が進行し、角膜の層が破壊されて分離につながることがあります。
遺伝的要因
どの猫種でも発症の可能性はありますが、猫種によってかかりやすさが異なることから遺伝要因もあると考えられています。
遺伝的に角膜が弱い猫種や、目が大きく鼻が短い猫ペルシャ猫やヒマラヤンなどは、眼疾患にかかりやすい傾向があります。
乾性角結膜炎（ドライアイ）
涙の分泌が不足することで角膜が乾燥し、損傷を受けやすくなります。この状態が進行すると角膜が弱体化し、分離症が発生する可能性があります。
化学物質や薬剤への暴露
猫の目が洗剤や薬品などの刺激物に触れると、角膜にダメージを与えることがあります。
角膜分離症の症状
- 色素沈着や変色
- 角膜の一部が剥がれている
- 目を細めている
- 涙目、涙が出ている
- まぶたの痙攣
- 結膜の腫れ
- 目を細める
- 目やに
- 充血
角膜の変色や色素沈着は黒とは限らず、褐色や黒っぽい色もあります。感染症や他の目の病気が原因の場合、上記以外の症状も見られるかもしれません。
角膜分離症の治療法
- 点眼・内服薬
- 手術
角膜分離症は外科手術が必要なほど重度でなければ、基本的には点眼と薬での治療になります。点眼や内服薬で回復がみられない場合や悪化してしまった場合は、手術を行い剥がれた部分を切除します。
治療期間は、少なくとも1ヶ月以上と考えておくといいです。手術の場合も術後は点眼で様子を見るため、どちらの治療方法でも長期的になります。
手術や点眼などの治療で一度治っても角膜分離症は再発することが多いため、きちんと回復するまで根気強く治療を続けることが大切です。
角膜分離症まとめ
- 猫特有の目の病気
- 角膜の一部が剥がれる
- 痛みを伴う
- 点眼や薬、手術で治療
- 長期的な治療が必要
