いつもキャットフードや食育についてのお話がメインですが、今回はペットと暮らすための共生住宅について、ペット可物件との違いや特徴、背景も紹介していきたいと思います。
ペット共生住宅とは
動物と暮らすことを前提に設計された住宅
ペット共生住宅とは、ペット(動物)と暮らすことを目的に設計された住宅です。
傷の付きにくい床材や掃除がしやすい壁紙が使用されたり、共有部分にはペット用設備が設置されているなど、動物や飼育者、また飼育していない人も快適に居住できるよう考慮されています。
ペット共生住宅のメリット
動物と暮らすことが目的という前提があるので、すべての居住者がペットに理解があり、飼育者も肩身の狭い思いをすることなく安心して利用することができます。
また飼育者側が守るべき飼育規約もしっかりと定められているので、飼育者同士の近隣トラブルも起こりにくいメリットがあります。
また、ペット共生住宅ではペットを介したコミュニティーを築きやすく、留守中の面倒や世話を頼み合ったり、困ったときの相談関係など良好な関係を形成しやすいメリットもあります。
「ペット共生住宅」と「ペット可の賃貸物件」との違い
ペット可の賃貸は動物嫌いの人も居住する可能性がある
ペット可の賃貸物件は、ペットの飼育を認めているものの、ペットとの暮らしを前提とはしていません。このため、動物好きな人・動物が嫌いな人の両方が居住する可能性があり、適切な飼育規約がなくトラブルが発生しやすいデメリットがあります。
また、もとはペット不可の物件だったところから、部屋の空き状況を解消するために「ペット可」にするケースもあることから、もともと動物に配慮された設計や理解のある居住者ばかりではありません。
ペット共生住宅はペット可の賃貸に比べると数が圧倒的に少なく、また家賃も上がる傾向にありますが、ペット可の賃貸物件でのデメリットは解消されます。
ペット共生住宅の普及の背景
2000年代から共生住宅が展開されるようになる
犬は番犬として屋外の犬小屋で、猫は屋外と屋内を行き来するという生活が一般的だった日本ですが、ここ30年くらいで犬や猫の飼育環境は大きく変化しました。
2000年代に入ると、大手の住宅メーカーがペットと暮らす家づくりを目指した商品を展開するようになり、「ペットを飼う」から「ペットと暮らす」ための共生マンションが注目されるようになりました。
きっかけは1992年の東京動物保護管理審議会
ペット共生住宅が広まるきっかけとなったのは、1992年に行われた「東京都動物保護管理審議会」です。ここで集合住宅でのペット飼育のルール作りの必要性が提言されたことで、1994年に東京都で「集合住宅における動物飼養モデル規程」が作成されました。
また集合住宅でのペット飼育に大きな転機が訪れたのは、1997年に現・国土交通省が「マンション標準管理規約」の大幅改正を行い、「犬猫等のペット飼育に関する規定は、規約で定める事項である」としたことによります。
飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める必要がある
- 動物等の種類及び数等の限定
- 管理組合への届け出又は登録による飼育動物の把握
- 飼育者が守るべき事項(専有部分での飼育方法、共有部分での利用方法、糞尿の処理等)
- 飼育に起因する被害等に対する責任
- 違反者に対する措置 など
動物の飼育者がマナーを守り、責任を果たすことで、動物と人間の暮らしの共生への一歩となりました。
猫と暮らす物件の選び方
猫が上下運動ができるように配慮されている
猫は外に出ることがないので、いかに室内で退屈させないようにするかがポイントです。
キャットウォークなどが設置されている物件や、猫の性質を理解した立体的なつくりに設計された猫向けの物件がおすすめです。
仕切りや部屋数がある設計になっている
猫は狭い空間が好きなので一概に広ければいいというものではありませんが、居住空間にある程度の仕切りや部屋数がある物件がおすすめです。
自由に行き来できる部屋が複数あることで、猫は逃げ場や快適なスペースを見つけやすくなるので、ストレスを溜めにくくなります。
爪研ぎ欲求を満たす
爪研ぎは爪のさやを剥がしたり、マーキングやストレス発散、ストレッチなど猫にとって大切な行動の一つです。
爪を研ぐのを防止するのではなく、爪を研いでも大丈夫な物件がおすすめ。猫の手の届く範囲の壁には爪が立たない丈夫な壁材を使用している住宅もあります。
ベランダ転落防止対策
猫は高いところからの落下に強いと言われていますが、大怪我をしたり死亡する場合もあります。
ベランダは特に危険なので、ペット共生住宅では転落防止対策やフェンスで対策している物件が多いです。ロック付きの網戸を設置している物件もあります。
ない場合は、ベランダに出てしまった場合の転落防止のためにネットで覆うなどの対策がおすすめです。
まとめ
- ペット共生住宅は動物と暮らす目的で設計
- 動物に理解のある人が居住するので安心して暮らせる
- 飼育規約が定められているので近隣トラブルが少ない
- コミュニティーが形成しやすく留守中の世話の依頼や相談がしやすい
ペット共生住宅の普及や人材育成のために「ペット共生住宅管理士」という検定もあるので気になったら是非チェックしてみてください。