キャットフードのトリプトファンは猫のストレスケアに有効?尿路疾患療法食にも配合!

キャットフード トリプトファン

キャットフードのアミノ酸:トリプトファン(Tryptophan)

猫の必須アミノ酸のトリプトファン

トリプトファン(tryptophan)は、猫の必須アミノ酸で食べ物から摂取しなければならない栄養素の一つです。基本的にはタンパク質が豊富な肉や魚、大豆、乳製品などに多く含まれています。肉や魚が多いキャットフードにも含まれています。

トリプトファンは、様々な酵素として働くだけでなく、猫の攻撃的な性格やストレスケアにも関係することが発見され、猫の抗うつ作用や問題行動の解消、膀胱炎や尿路疾患等などへの効果が期待される注目の栄養素です。

トリプトファンが多い食べ物
  • 肉類
  • 魚類
  • 豆類
  • ナッツ類
  • 乳製品
  • バナナ

トリプトファンは攻撃性や問題行動を抑える効果がある!

幸せホルモン「セロトニン」の前駆物質

トリプトファンは「幸せホルモン」として注目されるセロトニンの前駆物質です。

攻撃行動には多様なホルモンや神経伝達物質が関わることが分かっていますが、その中でもセロトニンは犬に限らず猫も含め様々な生物の精神を落ち着かせる効果が期待され、攻撃性を抑えたり、睡眠導入効果、鎮痛作用、うつや不眠の解消にも有効だと言われています。

高タンパク食でもトリプトファン補給で犬の攻撃性が低下

2000年のアメリカ獣医学協会誌でトリプトファンの補給で犬の攻撃性が低下すると発表されました。

基本的に高タンパクなペットフードを与えられた犬は野性的な性格になるため攻撃性も高くなる傾向がありますが、高タンパク食にトリプトファンを追加することで攻撃性が低下させる可能性があると報告され、縄張り攻撃性のある犬の場合も、低タンパク食にトリプトファンを追加補給することで、攻撃性を減らすことが期待されています。

トリプトファン×ミルクのカゼインで猫の問題行動が減少

トリプトファンによってカゼインが分解された時に得られる加水分解ミルクプロテイン「アルファカソゼピン」は、猫のひっかき、粗相などの問題行動の減少や不安解消の効果も報告されています。

加水分解ミルクプロテインが配合された総合栄養食はほとんど見られません。キャットフードではストレスケアや尿路疾患ケアの療法食、またキャットミルクなどに含まれます。

膀胱炎や尿路疾患の療法食にもトリプトファンが配合されている

一見、膀胱炎や尿路疾患はストレスには関係なさそうに見えますが、猫に多い特発性膀胱炎の原因はストレスが大きいと言われており、膀胱炎の療法食にもトリプトファンが配合されることがあります。

またストレスを感じることで水を飲まない、トイレに行かない、運動量が少ない等、ストレスが間接的に尿路疾患の原因になる場合もあるため、尿路ケアや膀胱炎のキャットフード療法食にはトリプトファンが配合されることがあります。

キャットフードのトリプトファンの栄養基準

トリプトファン キャットフード画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

AAFCO(米国飼料検査官協会)が公表する世界的なペットフード栄養基準ガイドラインによると、ドライタイプのキャットフード100gあたりに必要なトリプトファンは、子猫・成長期の猫で0.25%以上、成猫期以降の猫で0.16%以上です。上限値はどちらも1.7%までと定められています。

トリプトファンの過剰摂取と副作用

トリプトファンは神経物質のセロトニンとして働き、精神を落ち着かせたり、攻撃性を低くするなどの効果が見られますが、一方で過剰摂取による副作用も心配されています。

たとえば人の場合ですが、トリプトファンは短期間で過剰に摂取すると、無気力、吐き気、頭痛などの問題が現れます。また、他の栄養素や薬品との相互作用で引き起こされる病気や、妊娠中の胎児への影響も懸念されています。

AAFCOの基準で総合栄養食のキャットフードには1.7%以上のトリプトファンは含まれないので過剰摂取になる心配はありませんが、サプリメントなどでトリプトファンを摂取させる時は上限値や目安量を守って与えましょう。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。