猫の健康診断はいつから?頻度と検査内容、費用、検査はペット保険の対象になるのか

猫の健康診断は必要?不要?

人間よりも必要

動物は飼い主に対して自分の体に起こっている症状や痛み、異変を飼い主さんに言葉で伝えることができません。また、特に猫の場合、他の動物と違って少しくらいの痛みや症状は我慢して隠してしまうので、重症化するまで飼い主さんも気付けない場合もあります。

このためむしろ言葉を話したり自分で病院に行くことができる人間よりも、猫の方が定期的な健康診断が必要と言えます。

定期的な健康診断はいつから?

健康診断を始める年齢

猫の年齢で30代後半~40代の年代にあたる5~6歳から猫は定期的な健康診断を始めましょう。

定期的な健康診断はいつから始めればいいのか気になっている方は多いと思います。人の場合、健康な10~30代前半で定期検診を受ける割合は少なく、猫も若いうちは病気にはかかりにくいため、定期検診で病気や問題が見つかることは少ないですが、中高齢の年齢からは体に老化が出始め、病気などもしやすくなるので、猫の年齢で中高齢にあたる5~6歳からは健康診断を始めるのが無難です。

ただし、若いうちからもストルバイト結石症などの病気を引き起こす猫もいるので、心配でしたら5、6歳を待たずに子猫のうちから年1回連れて行くのがおすすめです。

健康診断の頻度と回数

7歳までは年1回の頻度

7歳位までは年1回の健康診断が望ましいです。

猫は、2、3歳のうちから頻繁に動物病院に連れていく必要はないかもしれません。ですが、7歳は人間の年齢で30代後半の年齢にあたり、検査の数値にも異常が見られるようになるので、このくらいから毎年1回以上の定期検診を始めるのがおすすめです。

8歳以上は半年に1回の頻度

8歳になると人間の年齢で40代後半~50代に突入するので、8歳以上の年齢になったら半年に1回の頻度での健康診断が理想的と言われています。

ワクチン接種のついでに

ワクチン接種摂取は継続的な効果を得るために定期的に打つ必要があるため、1~3年に1回のワクチン接種のついでに健康診断を受けるという方もいます。

ワクチン摂取の頻度については、1~3年と開きがありますが、日本でのワクチン接種は年1回が一般的と言われており、海外のAAFPやWSAVAのガイドラインでは3年に1回でいいとされているため、獣医師さんや飼い主さんの判断でワクチン接種の頻度は判断される事になるかと思います。

猫が健康診断を受けられる場所

健康診断は動物病院でのみ行うことができます。検査内容はそれぞれ異なりますが、いずれにしても精密機器や検査に適した環境が必要になるため、ペットショップや保健所、自宅などでは行えません。お近くの動物病院を探しましょう。

健康診断の検査内容

検査項目は選ぶことができる

健康診断で何項目の検査を受けるかは決まっておらず、飼い主さんがどこまでの検査を受けるかある程度決めることができます。このため所要時間も項目数や受ける検査内容によって変わってきます。

より項目数が多い方が病気の可能性を発見でき、原因特定もできますが、項目数によって検査費用や料金が異なるため、飼い主さんがどこまで検査費用を負担できるか、また検査を行う猫の体にも負担がかかるので、愛猫の体調や病状、年齢などを考慮しながら検査項目を決めます

健康診断の検査項目

猫の健康診断では以下のような検査項目があります。

  • 身体検査
  • 血液学検査
  • 血液化学検査
  • X線検査(レントゲン)
  • 尿検査
  • 便検査
  • 超音波検査(エコー)
  • 血圧
  • 眼圧
  • 心電図
  • T4、fT4検査(甲状腺機能)

健康診断では一般的に診察として行われる身体検査に加え、血液検査や尿・便検査の3つの検査が主に行われます。これだけではすべての病気を見つけることはできませんので、年齢や症状、病気、飼い主さんの希望などによって検査項目をプラスして総合的な健康診断を行う場合あります。

身体検査

身体検査は、一般的な診療、診察で行われるような問診、聴診、触診、また体重測定などを行います。検査という名前ではありますが、診察料に含まれるので身体検査は他の検査のような金額の請求はありません。

血液学検査

血液学検査では、採血した血液に含まれる赤血球や白血球、血小板の数や形態を調べることで、貧血や感染症、白血病などを調べることができます。

血液化学検査(化学検査)

血液化学検査では採取した血液の成分や化学反応、酵素反応などを利用して分析する検査で、肝臓や腎臓などが正常に機能しているかどうかを調べられます。肝臓病や腎臓病などは血液化学検査で確認できます。血清からアレルギー反応が起こる原因となるアレルゲンを調べたり、血液中の糖から糖尿病の診断も可能です。

X線検査(レントゲン)

X線検査線検査とはレントゲン検査のことで、心臓の拡大、胸水、腎結石や膀胱結石などを確認することができます。放射線の一種の電磁波を使用し骨や体の組織を撮影する検査です。もちろん体に影響のない放射線量で行われます。X線検査では臓器の大きさや位置、数などを調べられます。

尿検査

尿検査では尿を採取して尿の濃さや血尿、細菌尿などを確認できます。尿路結石や膀胱炎など泌尿器系の病気や腎臓病、糖尿病の診断にも有効な検査です。結石ができる前の結晶成分もこの検査で調べることができます。

採尿には自然排尿、圧迫排尿、膀胱穿尿、カテーテル等の方法がありますが、それぞれ採尿のしやすさや検査の正確さなどメリットデメリットがあるので、予約する際は聞いてみるといいでしょう。

便検査

便検査では、便の状態から寄生虫や腸内の細菌バランス、また食べ物の消化状態などを診断することができます。

方法としては家で排泄した便を乾燥しないようにビニール袋などに入れ空気が入らないように密閉し、動物病院に持っていって検査してもらいます。

超音波検査(エコー)

超音波検査(エコー)は、妊娠した時にお腹に当ててみる白黒の映像がわかりやすいかと思います。超音波検査では、臓器の内部の構造や大きさ、血液の流れや動き、心拍数などを細かく観察することができるので、心臓の弁障害や心筋症、体腔内のリンパ節の腫れなどを診断するのに有効です。

また、痛みや苦痛が少ないので、猫にも比較的負担の少ない検査項目かと思います。

猫の健康診断の検査費用

最低5千円~1万円

猫の健康診断は最も少ない2項目だけでも最低5,000円~1万円位はかかります。診察料と身体検査・血液検査だけの料金ですが、尿検査や便検査、X線検査、超音波検査なども加わるとさらに数千円~数万円がプラスされます。

平均的には1~3万円前後

検査項目を増やして様々な病気の可能性を調べることができる総合的な検査内容は3万円以上の費用がかかることが多いです。

特にX線検査や超音波検査はそれぞれ5,000円ほどかかるので、どちらも加えると3万円程度はかかるかと思います。

健康診断の予約と準備

健康診断に必要な準備物

  • キャリー or ケージ
  • タオル
  • 写真や動画(嘔吐物や排泄物、癲癇の時の様子)
  • 検査費用

いつも使っているタオルで猫の視界を覆ったり、匂いを嗅ぐことで気持ちを落ち着かせられる場合があります。

予約は必要か不要か

健康診断では予約が必要な場合と不要な場合があり、動物病院や検査内容によって違うようです。

検査項目が少なく時間がかからないものであれば予約は必要ありませんが、総合的な検査内容を希望する場合には、予約が必須という場合が多いかもしれません。

もし通常よりしっかりとした検査をされたい場合にはネットや電話で予約は必ずしておきましょう。

前日からの絶食は必要なし

人間の場合、健康診断前日から食事を抜いて準備しますが、猫の健康診断では絶食や断食は行いません。

ただし、検査の数値は空腹時を基本としているので、検査直前に食事をすると数値には影響が出る場合があります。なのでもし問題なければ、少し食事時間を早めたり食事後に皿を片付ける等して、動物病院に行く数時間前は食べないようにしてもいいかもしれません。

猫の健康診断のペット保険利用やキャンペーン

健康診断はペット保険の対象外

ペット保険は猫が病気や怪我をしたときの治療費や入院費、通院費などを補償してもらえますが、定期的な健康診断に関しては、基本的にペット保険の対象外です。

ただ何らかの症状や病気のために必要な検査費用は保険会社やプランによって対象に入る場合があります

安いパックやキャンペーン

動物病院によっては健康診断の検査何項目かをパックやコースにしてキャンペーンとして安く打ち出しているところもあります。検査費用が半額で済むキャンペーンもあるため、検査費用の捻出に困っている方は自宅近くの健康診断キャンペーンを探してみてもいいと思います。

ただキャンペーンは一回限りということが多いので、健康診断の費用を浮かせるためには、毎回他の動物病院に行く必要があり、長期間でみた検査結果やカルテがなく、かかりつけ医もできないので、毎回のキャンペーン利用はおすすめしません。

猫の健康診断まとめ

猫田
猫の健康診断について内容や頻度、費用などをまとめてきました。
鈴木さん
確かに猫は我慢してしまうことが多くて心配になるので、病気の早期発見のために定期的な健康診断は大切だなと改めて思いました。
猫田
頻度などは目安なので、自宅の猫の性格やストレスのため込みやすさなどを判断して、どのくらいの頻度で連れて行くか決めればいいと思います。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。