普段の生活で当たり前に使っている猫砂ですが、突然ストックを切らしてしまったときや、買い物ができない夜間、災害時、あるいはコストの問題で別の手段を探したいときなど、「猫砂の代用」は意外と多くの飼い主が直面するテーマです。
本記事では、新聞紙やトイレシーツをはじめとした猫砂の代用品、使用時の注意点、そして手作りの方法をご紹介します。
猫砂の機能性と役割について

猫砂は、猫のトイレ環境を衛生的かつ快適に保つために不可欠なアイテムです。普段何気なく使っている猫砂には、実は単に排泄物を受け止めるだけでなく、猫の本能や健康にも深く関わっています。
・排泄物の吸収と固化
猫砂の最大の役割は、尿や便を吸収し、できるだけ早く固めて処理しやすくすることです。とくに固まるタイプの猫砂は、尿を吸収して固形に変化させるため、スコップで簡単に取り除けます。これによりトイレ内を常に清潔に保ち、においや細菌の繁殖を防ぐことができます。
・消臭効果による臭い対策
猫の尿はアンモニア臭を含み、放置すると非常に強い臭いを発します。猫砂にはこの臭いを中和・吸着する成分が含まれていることが多く、活性炭、重曹、ゼオライト、ベントナイトなどが消臭効果を高める素材として使われています。消臭性の高さは飼い主の生活環境にも直結するため、猫砂選びの重要な基準のひとつです。
・猫の排泄行動への対応
猫は本能的に排泄物を砂で隠そうとする習性を持っています。猫砂の粒感や掘りやすさは、こうした行動欲求に応えるために非常に重要です。適度な重さと感触を備えた猫砂は、猫にとって「掘る・隠す」という行為をしやすくし、精神的な満足感や安心感を与えます。
猫砂がない!代用となるものは?

猫にとってトイレは非常にデリケートな空間であり、代用品を使うにあたっては安全性・吸収力・消臭力だけでなく、「猫が使ってくれるかどうか」も重要となります。
新聞紙
もっとも手軽に代用できる素材として代表的なのが、古新聞です。
裁断して使用することで、ある程度の吸水性と排泄物の覆い隠し効果が得られます。シュレッダーで細かく裁断するのが理想ですが、手で裂いたものでも代用可能です。さらに新聞紙を水に浸し、ほぐしてから重曹と混ぜて乾燥させることで、より吸収性の高い猫砂風のペレットを自作することもできます。
ただし新聞紙にはインクが含まれているため、舐めたり食べたりする猫には向いていません。また、吸水性は市販の猫砂より劣るため、こまめな交換が必要です。新聞紙そのものには消臭作用がないため、重曹や炭などと併用するとよいでしょう。トイレ本体の下に防水シートやペットシーツを敷いておくと、漏れのリスクも減らせます。
トイレシーツ
犬用や猫用のトイレシーツも、猫砂の代用として十分に活用できます。シーツをそのまま広げてトイレの底に敷くか、カットして重ねて使用することで、排尿を吸収させることができます。吸水ポリマーが含まれているため、臭いや湿気に対する効果も高い素材です。
ただし、猫によっては砂をかく行動ができないことに不満を感じる子もいます。また、うんちの際に埋めることができないため、トイレ自体を嫌がり、我慢してしまう恐れもあります。
そのような場合は、シーツの上に新聞紙やウッドチップなど、軽く覆える素材を重ねる工夫が有効です。慣れない素材への移行には、猫の様子を観察しながら慎重に進めることが大切です。
木材チップやおがくず
木材チップやおがくずといった天然素材も猫砂の代用として注目されています。
これらはもともと小動物用のトイレや飼育床材として使われており、自然な香りや高い吸水性が特徴です。とくに広葉樹由来のチップは、尿臭を中和する作用があり、清潔さを保ちやすい素材とされています。
使用する際は、粉塵が少ないものを選ぶことが重要です。微細な木粉が舞うと、猫の鼻や気管に悪影響を及ぼす可能性があります。また、猫が誤飲しないよう、粒の大きさや硬さに注意が必要です。木の香りに敏感な猫もいるため、最初は少量から慣れさせていきましょう。
トイレットペーパーやティッシュ
一時的な手段として、トイレットペーパーやティッシュをちぎってトイレに敷くという方法もあります。
ただし、これらは吸水性には優れているものの、固まりにくく、猫のかきかき行動には対応しにくいという難点があります。また、水分を含むとべたつきやすく、肉球や被毛に付着してしまうこともあるため、使用後はすぐに掃除を行う必要があります。
さらに、香料入りの製品や柔軟剤の強いティッシュは、猫の嗅覚に刺激を与える可能性があるため、代用する場合は無香料・無添加の製品を選びましょう。
応急処置として使うには便利ですが、長期使用には不向きです。
手作り猫砂を作る方法とポイント

猫砂の代用品をより使いやすくするために、手作りするという選択肢もあります。
前述した新聞紙の再加工法をはじめ、重曹やコーンスターチ、おからなどの天然素材を組み合わせて作る代用品レシピも存在します。例えば、新聞紙を濡らして細かくほぐし、重曹と混ぜて乾燥させることで、脱臭効果と吸収力のある紙ペレットが完成します。
ただし、手作り猫砂は市販品ほどの機能性がなく、形状が崩れやすかったり粉塵が出やすい、また素材によってはカビや虫が発生しやすいというデメリットがあります。
代用品を使うときの注意点
どの代用品を使用するにしても、最も大切なのは「猫が安心してトイレを使ってくれるかどうか」です。普段と異なる素材に違和感を覚えて排泄を我慢したり、トイレ以外の場所で粗相をする可能性もあります。
また、代用品の多くは固まらない素材が中心となるため、排泄後の掃除はこまめに行う必要があります。放置すると臭いや菌の温床となり、猫の健康を損なうおそれがあります。衛生管理を怠らず、定期的な掃除と洗浄を心がけることが、代用品を使ううえでの基本となります。
まとめ
猫砂の代用品にはさまざまな選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どの方法が最適かは、猫の性格や体質、家庭の生活スタイルによっても異なります。最終的に目指すべきなのは、猫が安心して排泄できる環境を保ちつつ、飼い主も管理しやすい仕組みを整えることです。