キャットフードのコエンザイムQ10。抗酸化作用、毛並みや運動性の老化防止、歯周病への効果

鈴木さん
コエンザイムはよくサプリで聞くので体に良さそうなものだとは思いますが、キャットフードに配合されることもあるんですね。どんな効果があるんですか?
猫田

数としてはあまり多くありませんが、たとえば、セレクトバランスコンボなどにはコエンザイムQ-10が配合されています。またコエンザイムQ-10の犬猫用サプリも販売されています。

では今回はコエンザイムQ10について、効果や働きについて解説してきたいと思います!

コエンザイムQ-10とは

コエンザイムQ-10はエネルギー産生の補酵素

コエンザイムQ10 キャットフード

コエンザイムQ-10(CoQ10)とは、脂質や糖質からエネルギー(ATP)を作り出すためにミトコンドリアを補助する物質です。コエンザイムは直訳すると「補酵素(coenzyme)」で、体内である特定の物質や栄養素の補助をする物質という意味の言葉にあたります。

以前までコエンザイムQ-10は、体に必要不可欠な栄養素と考えられていたことから「ビタミンQ」と呼ばれていました。

その後、人の体内で合成可能ということが分かったため、ビタミン(必須栄養素)ではなくなり、コエンザイムQ-10やユビキノン(物質名)と呼ばれるようになりましたが、コエンザイムQ-10に期待される効果や作用から、サプリメント等で積極的に摂取する方もいます。

酸化型と還元型のコエンザイムQ-10

また、キャットフード、ドッグフード、ペット用サプリメント等にコエンザイムQ-10を配合した製品も販売されています

コエンザイムQ-10には、酸化型と還元型の2つがありますが、基本的にサプリメント等で配合されるコエンザイムQ-10については「還元型CoQ10(ユビキノール)」が利用されます。

青魚や肉、乳製品、大豆やナッツ等に豊富

キャットフード コエンザイム画像引用元:コエンザイムQ10 日本歯周病学会会誌 JーSTAGE

コエンザイムQ-10は、食材では特にイワシなどの青魚、肉(豚や牛)、大豆、乳製品、くるみ、アーモンドなどのナッツ類、ほうれん草などに豊富に含まれています。

  • 青魚(イワシ)
  • 大豆
  • くるみ
  • アーモンド
  • ピーナッツ
  • ほうれん草 など

コエンザイムQ-10の効果と作用

抗酸化作用による活性酸素の還元

コエンザイムQ-10は、非常に強い抗酸化作用があり、抗酸化物質としてはビタミンEと共同して体内の過剰な活性酸素を還元する効果があると考えられています。

活性酸素は細胞を傷つけ、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、がん、糖尿病、肺炎、リウマチなど様々な病気や疾患の原因となる可能性があるとされており、活性酸素を還元し減らすことで、様々な病気の予防につながります。

毛並みや運動性のアンチエイジング効果

キャットフード コエンザイムQ10画像引用元:Experimental Gerontology | Science Direct

コエンザイムQ10は体内で合成できるものの、その大半は食べ物から摂取しているとされており、体内のコエンザイムQ10の量は年齢と共に減少しますが、国際学術雑誌にも掲載された研究結果では、還元型コエンザイムQ10を摂取したマウスに運動性や毛並みなどの老化が遅延し、また、加齢性難聴の進行を抑制する効果も確認されたと報告しています。

このことから、コエンザイムQ10は老化を防ぐアンチエイジング効果が期待されています。サプリメントなどでもコエンザイムQ-10はアンチエイジング効果を狙った商品に利用されることが多く、若々しく健康な体を保つために役立つと考えられています。

慢性疲労症候群の改善効果

コエンザイムQ-10 キャットフード画像引用元:IUBMB Jurnals 

また、コエンザイムに関する国際会議でのプレゼンテーションによると、慢性疲労症候群患者を対象に還元型コエンザイムQ-10を3ヶ月間投与したところ、作業効率や睡眠の改善が見られ、自律神経機能低下が抑制されたとのことです。

慢性疲労症とは日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態で、原因ははっきりと分かっておらず、完治することは稀な未知の病気とされていますが、この結果から、コエンザイムQ-10の補給は慢性疲労症候群(CFS症状)の自律神経機能と認知機能を改善すると発表されています。

口臭の改善や歯周病への効果

人に対する臨床研究で、ドライマウスの患者がコエンザイムQ-10を摂取することで、唾液の分泌量が増加することが示されています。また、ラットの実験研究では、還元型の還元型CoQ10を含有した軟膏を、2ヶ月間にわたりラットの歯肉に塗ったところ、歯肉の酸化ストレスや炎症反応、破骨細胞の増殖が抑制されたという結果が出ています。

また人への効果では口臭の改善も見られたことから、コエンザイムQ-10は口腔内の疾患やトラブル、高齢猫に多い歯周病への効果も期待されています。

心不全への効果、有効性

コエンザイムQ-10は、かつて心筋機能の傷害を軽減するうっ血性心不全の治療薬として医薬品として利用されてきました。

しかし、心臓に関しては薬剤としての効能はほぼ否定され、また2001年に薬事法の改正により、現在コエンザイムQ-10は健康食品として利用されています。

キャットフード コエンザイムQ-10画像引用元:BMC 心不全患者におけるコエンザイムQ10の有効性

心不全への効果については否定され、医薬品として利用されることはなくなりましたが、実験や調査によっては、効果があるという研究結果も出ています。

たとえば心不全患者2149人のデータを利用した2017年の統計によると、コエンザイムQ-10とプラセボ(効果のない偽薬)を使用した患者を比較したと比較したところ、コエンザイムQ-10を服用した患者は、心不全による死亡率が低下し、運動能力も向上したとの報告があります。

コエンザイムQ-10による副作用や危険性

1970年代からコエンザイムQ-10は摂取されてきていますが、副作用の報告はありません。

猫や犬など動物に関しての副作用等は調査されていませんが、猫や犬にとって毒性があるといった研究や論文はないため、安全性には問題ないと言えます。

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まとめ

  • キャットフードやサプリメントとして配合
  • あまり配合されている製品は多くない
  • 抗酸化作用によるアンチエイジングや歯周病への効果が期待されている
  • 心臓への医学的効果は否定されている
  • 副作用や摂取リスクは報告されていない

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。