キャットフードの原材料:ドリアン(durian)
ドリアンはトゲトゲとした見た目と強い甘みが特徴のフルーツです。あまり馴染みのない人も多いかもしれませんが、東南アジア原産の南国を代表するフルーツのひとつで、「果物の王様」と呼ばれています。
ただ、ドリアンは腐敗臭やガス臭に近い強烈な臭いがあるため、好き嫌いは大きく分かれるかもしれません。
キャットフードの原材料やおやつでドリアンが使用されている商品を調査しましたが、ドリアンがそのまま使われているものはほとんどなく、おやつとしても猫がドリアンに興味を持ったり臭いに驚いたりする姿はよく見られるものの、ドリアンを進んで食べたがる猫はあまり多くないかもしれません。
ドリアンが猫の腎臓病の予防や治療で注目される理由
ドリアンに含まれるL-シスチンが猫AIMを活性化させる
そんなドリアンをなぜ今回紹介したかというと、近年猫AIMの研究でドリアンの果肉に含まれるL-シスチンがAIMを活性化させることが分かりました。
AIMは猫の腎臓病の予防や治療で大きく注目されているので、AIMを活性化させるドリアンやそれに含まれる成分を利用したフードやサプリが注目されています。
引用元:AIM活性化成分配合のペットフードについて 2022年3月30日 宮崎 徹|一般社団法人 AIM医学研究所
(一部抜粋)そうした中で、ドリアンの果肉に含まれる成分がAIMを活性化させる効果があることが分かり、その知見に基づいてさらに研究を進め、必須アミノ酸であるシステインが2個結合した形のL-シスチンを最終的な候補物質として同定しました。L-シスチンは、すでに複数のサプリメントや食品添加物として使われており、その安全性については保証されています。L-シスチンを主要成分として人間用のサプリメントを開発するために、臨床試験を開始する予定です。
(中略)L-シスチンを猫の血液に加えると、猫AIMであってもある程度IgMから解離し活性化することを昨年1月に見出しました。L-シスチンは、AIMとIgMの結合を担っている2か所のうち、ジスルフィド結合という強固な方の結合を化学的に切る作用があるため、他の動物に比べ解離しにくいネコAIMであっても、ヒトAIMやマウスAIMよりは効率が低いとはいえ、IgMから外すことが可能であると考えられます。
腎臓に蓄積したゴミがまだ少量で、腎臓の損傷がまだない、もしくは軽度なうちに、ネコがL-シスチンを定期的に摂取し、少量ではあってもコンスタントにAIMを活性化させることで、腎臓病の予防や病態の悪化を抑制する可能があります。
ドリアンに含まれるL-シスチンを猫の血液に加えると、猫AIMが活性化することが分かり、腎臓の損傷が少なく腎臓病が軽度な場合はAIMの活性化で予防や悪化の抑制に繋がる可能性があるとしています。
このL-シスチンを配合して作られたフードが、マルカン社で販売されている「AIM30」です。
ドリアンの臭いにびっくりする猫も多い
ドリアンをそのまま与えるのはNG?
ドリアンについて、猫に危険な物質や有害な成分は確認されていませんが、ドリアンは玉ねぎの腐敗臭のような臭いがするので、ドリアンの臭いは苦手な猫も多いと聞きます。
また、猫がびっくりしてフリーズしたり、気絶して倒れたりする話もあるので、無理に猫にドリアンを与えたり臭いを嗅がせたりはせず、ドリアンから有用な物質や成分のみを抽出した製品やサプリを与える方がいいかもしれません。
まとめ
- ドリアンは代表的な南国フルーツのひとつ
- 強い甘みと強烈な臭いが特徴
- ドリアンに含まれるL-シスチンは猫AIMを活性化させることが発見された