キャットフードの発色剤。赤い色素は猫の食いつきに影響する?使用基準と発がん性について

キャットフード 発色剤

キャットフードの添加物:発色剤(color fixative)

食品の色を鮮やかに見せる添加物

発色剤(color fixative)とは、肉や魚などの食品のくすみや色ムラを防ぎ、色鮮やかに見せるために加えられる合成添加物です。亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどがありますが、主に食品に使用される代表的な発色剤は「亜硝酸ナトリウム(sodium nitrite)」です。

キャットフード 発色剤

発色剤は、ハムやソーセージ、ベーコンなどの肉・魚肉加工食品類などに使用されるので、キャットフードのような肉や魚の含有量が多い製品にも利用されることがあります。

発色剤はペットフード安全法によって、原材料名欄で一括表記は認められていません。このため、キャットフードに使用される場合は、「発色剤(亜硝酸ナトリウム)」のように、必ず用途名と成分名が記載されます。

着色料との違い

着色料は、その着色料自体に色があり、「色を付ける」ために配合される添加物です。対して発色剤は肉など食材がすでに持っている「本来の色を安定させる」ために配合される添加物です。

このため、発色剤はすでに食材が持っている色素以外の色を付ける効果はありません。また、着色料のようにバリエーション豊かでカラフルな色を演出することはできません。しかし発色剤は、食材がもつ本来の色を利用して、美味しそうに見せる手助けができる添加物になります。

キャットフードにおける発色剤の効果と働き

赤い色素を固定する発色剤。猫にも意味があるかも?

発色剤は、食材が持つタンパク質を結合させることによって、肉が本来持っている赤い色素を固定し、鮮やかで美味しそうな赤色(ピンク色)を保つ効果があります。

しかしここで、猫は食べ物を判断する時、ニオイや風味に頼っているところが大きく、視覚にはあまり頼っていないとされています。さらに、猫は視覚的に「赤」を認識できないため、発色剤は猫やキャットフードにおいて、全く意味のないものとして考えられてきました。

しかし、当サイトが提携している「マッサンのキャットフードの学校」の記事によると、海外ではわざわざ天然の赤色着色料を使用し、赤色のキャットフードを製造するメーカーも多くあるようです。そして、赤いキャットフードにする理由として、鮮やかな赤い色は、猫の主食である生肉や血の色と同じ色であるため、猫が食べ物と認識しやすいのではないかとも予想されています。

キャットフード 発色剤

引用元:「キャットフードに赤い粒が多い理由!猫の主食である生肉や血の色が赤いからこそ似せている」マッサンのキャットフードの学校

もし上記のように、猫が赤色の食べ物に対して食いつきが良いということが本当であれば、キャットフードや猫にとって、発色剤も完全に無意味なものではないと言えるかもしれません。

キャットフードにおける発色剤の発がん性などのリスク、危険性

発がん性物質「ジメチルニトロソアミン」を生成する

発色剤が猫やキャットフードにとって完全に無意味ではない可能性がある一方、発色剤として使用される亜硝酸ナトリウムは、タンパク質が分解することでできるジメチルアミンと反応すると、発癌性物質「ジメチルニトロソアミン」を生成することが分かっています。

アスコルビン酸(ビタミンC)やエリソルビン酸と同時に添加することで、発癌性物質(ニトロソアミン)の生成が抑制されることが分かっていますが、その危険性から、食品でもキャットフードでも、上限値が定められ、使用量が厳しく制限されています

キャットフードにおける発色剤の使用基準

亜硝酸ナトリウムの使用基準は100μg/g以下

ペットフード安全法(愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令)で、発色剤「亜硝酸ナトリウム」はキャットフードには100μg/gより多く使用してはいけないと定められています。

このため現在日本で販売されているキャットフードに、猫に悪影響を与えるほどの量の亜硝酸ナトリウムが含有されることはありません。

食品やキャットフードに使用されるのは主に亜硝酸ナトリウムですが、他の硝酸カリウムや硝酸ナトリウムは上限値や使用制限は設けられていません。

まとめ

  • 肉や魚などの加工食品に添加される
  • 赤い色素を固定し色鮮やかな状態を保つ
  • 猫の赤い色を食べ物として認識している可能性
  • 発癌性物質「ジメチルニトロソアミン」を生成
  • ペットフード安全法で使用基準が設けられている

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。