キャットフードのゼラチン。骨や皮膚の健康維持や筋力アップ。飲水量が増えて腎臓病対策になる?

キャットフードのゼラチン。骨や皮膚の健康維持や筋力アップ。飲水量が増えて腎臓対策になる?

キャットフードの原材料:ゼラチン(Gelatin、Gelatine)

キャットフード ゼラチン 猫引用元:ゼラチンってなに?|日本ゼラチン・コラーゲン工業組合

ゼラチン(Gelatin)は、動物の皮膚や骨など結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したもので、主な構成成分は不溶性たんぱく質となります。

ゼラチンはゲル化剤・増粘剤・安定剤としてゼリー、グミ、ムース、ババロア、マシュマロなど様々な食品に使用されていて、ウェットフードや冷凍フレッシュフードなど水分が多いキャットフードに使用されることが多く、弾力がありながら、やわらかくて口溶けの良い食感を作り出します。

主に添加物としての役割で使用されていることがほとんどですが、ゼラチンは食品(一般飲食添加物)として扱われるため、添加物リストには登録されていません。

ゼラチンの主原料は、牛や豚の皮・骨、魚のうろこ(魚の割合は非常に少なく全体の2%程度)です。組織に含まれるコラーゲンの加水分解して得られるので、ゼラチンとコラーゲンはアミノ酸の組成は同じです。

ゼラチンの成分や猫におけるメリット

骨や関節、皮膚の健康維持、筋力増加につながる可能性

ゼラチン(コラーゲン)は8割以上が動物性タンパク質で構成されているので、皮膚や骨、腱などをつくるための材料になります。年齢とともにコラーゲンは体内でつくられにくくなるため、コラーゲンを補給することが健康維持や美容効果に繋がると考えられています。

ただし、食べ物から得られたコラーゲンは体内で分解されるので、材料の供給にはなるかもしれませんが、体内で骨や皮膚、軟骨などいずれかの目的通りに利用されるかどうかについてははっきり分かっていません。

ただコラーゲンを摂取して運動すると筋肉量が増加したという報告があるので、体にとって有益に働くと考られています。また、古くからコラーゲンをとることで関節炎が緩和されたり、皮膚にハリが出たと実感する人が多いので、まだ証明されていないだけで経口摂取でも十分に実際に効果はあるのかもしれません。

ゼラチンでとろみを付けると水分摂取量アップ、腎臓病対策に?

猫は普通のさらさらとした水よりも、ややとろみや粘性がある方が飲水量が増えるという報告があります。

なぜとろみで猫の飲水量が多くなるかについては、水を飲むときに舌に絡みつく水分が多くなるため、同じ回数、同じ時間水を飲んでいても、とろみがある水の方が一度に沢山の水を取り込めるからという見解が有力のようです。

腎臓病や尿路結石の予防対策には水分摂取量を増やすことが方法のひとつとして挙げられています。このため、ゼラチンなどゲル化作用のあるものでとろみを付けることで、猫の飲水量が増えて腎臓病や尿路結石の対策になると期待されています。

ゼラチンの注意点とデメリット

牛・豚アレルギーの猫は注意

キャットフード ゼラチン引用元:別添 アレルゲンを含む食品に関する表示|消費者庁

「ゼラチン」は日本標準商品分類上、明確な分類項目はありませんが、「ゼラチン」の名称で流通している製品を原材料として用いている場合はアレルギー表示の対象となります。なお、「ゼラチンを含む」と表示するものは、「ゼラチン」の名称で流通している製品を原材料として用いている場合であり、「豚肉」や「牛肉」を原材料として製造し、製造過程において「ゼラチン」が抽出される場合は、「豚肉を含む」、「豚を含む」等と表示します。

ゼラチンは牛や豚にアレルギー反応が出る猫は注意が必要です。ゼラチンは、アレルギー表示の対象として通知で表示を推奨する20品目のひとつに指定されています。

食品では製造時にゼラチンは製造時に豚肉や牛肉を原材料として使用した場合、「豚を含む」「牛を含む」といった表示するよう推奨されていますが、ペットフードは食品ではないので表示がないことが多いかもしれません。

他の動物原料由来の可能性もあるため一概には言えませんが、ほとんどのゼラチンが牛や豚由来のゼラチンなので、原料が不明な場合は与えないのが無難です。

動物性タンパク質が豊富でも、必須アミノ酸はほとんど含まれない

ゼラチンの主成分はタンパク質ですが、必須アミノ酸はほとんど含まれていないため、ゼラチンに猫の必須栄養素を補う役目はありません。

反対にいえばゼラチンが沢山含まれると、キャットフードに含まれる全体のタンパク質量は非常に多く見えますが、実際に体に必要不可欠なアミノ酸は非常に少ない可能性があるということです。

まとめ

  • ゼラチンは動物の結合組織のコラーゲンから生成される
  • ゲル化剤としてウェットフードでよく使用される
  • 骨や関節、皮膚の健康維持、筋力増加の効果が期待
  • 牛や豚にアレルギーのある猫は注意
  • 必須栄養素(必須アミノ酸)の補給源にはならない

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。