目次
キャットフードの原材料:チャーガ(chaga)
チャーガ(和名:カバノアナタケ)とは、白樺の木に寄生して育つ希少なきのこです。きのこ類の霊芝と健康効果が似ていることから「シベリア霊芝」とも呼ばれています。
主にロシアや北欧などの寒冷地に自生し、その高い健康効果から、古くより民間療法に利用されてきました。
食物繊維やベツリン酸、βグルカン、ポリフェノール、SOD酵素など、猫の健康維持・向上に有効な成分が豊富に含まれています。
チャーガの栄養素と猫への健康効果
チャーガの健康効果
健康効果 | 成分と働き |
---|---|
抗酸化作用 | ポリフェノール メラニン SOD酵素 |
活性酸素の除去により、老化予防や細胞の損傷防止に寄与 | |
抗炎症作用 | ベツリン酸 トリテルペノイド |
炎症性サイトカインの生成を抑制し、慢性炎症の軽減に役立つ | |
免疫力の向上 | βグルカン トリテルペノイド |
免疫細胞(NK細胞やマクロファージ)の活性化を助け、感染症への抵抗力を高める | |
抗がん作用 | βグルカン ポリフェノール ベツリン酸 |
がん細胞の増殖抑制やアポトーシス(細胞死)の誘導が報告されている | |
血糖値の安定化 | βグルカン |
インスリンの感受性を改善し、糖尿病予防への効果が期待される | |
肝機能のサポート | SOD酵素 トリテルペン類 ポリフェノール |
肝臓の解毒作用を助け、肝細胞を保護する | |
コレステロールの低下 | ベツリン酸 食物繊維 |
悪玉コレステロール(LDL)の減少を助け、動脈硬化の予防に寄与 |
抗酸化作用・免疫力向上の「βグルカン」
βグルカンとはきのこや酵母に含まれる多糖類です。マクロファージやNK細胞などの免疫細胞を活性化し、病原体に対する抵抗力を高める働きがあり、感染症の予防やがんの補助療法としての可能性も示されています。
また、免疫バランスを整えることで、アレルギーや皮膚トラブルの緩和にも効果が期待されています。さらに、腸内の善玉菌を増やすプレバイオティクスとしても働き、腸内環境を整えることが免疫力の底上げにつながると考えられています。
近年ではキャットフードや猫用サプリメントの原材料としてβグルカンが配合されており、特に高齢猫や免疫力が低下している猫の健康維持に役立てられています。
がんの進行を抑制する「ベツリン酸」
ベツリン酸とは白樺の樹皮やチャーガなどに含まれる天然のトリテルペン類の一種で、抗がんや抗炎症、抗ウイルス作用が知られています。
犬やマウスを用いた研究では、がん細胞のアポトーシス(自然死)を誘導し、腫瘍の進行を抑える効果が確認されています。これはベツリン酸だけでなくポリフェノールとの複合的な作用とも言われています。
猫に対して直接の臨床研究はまだ限られており、また猫は薬物代謝が他の動物と異なるため、使用にあたっては用量や安全性の面で慎重な判断が必要です。
参考:Chaga mushroom triterpenoids as adjuncts to minimally invasive cancer therapies: A review
細胞の損傷を防ぎ、慢性疾患の進行の抑制をする「SOD酵素」
チャーガには、SOD酵素(スーパーオキシドジスムターゼ)が豊富に含まれています。
SOD酵素とは強力な抗酸化酵素で、細胞内で発生する活性酸素種を除去し、腎臓や心臓、肝臓などの臓器における細胞や組織の損傷を防ぐ作用があります。日本食品分析センターによると、他の食品に比べてSOD含有量が非常に多いとされています。
特にシニア期に入った猫は体内で酸化ストレス(=細胞の老化やダメージの原因)が増えやすくなるため、腎疾患や心疾患などの慢性疾患の進行を遅らせる可能性が示唆されています。
研究では、無症状の猫免疫不全ウイルス(FIV)感染猫6匹に対して30日間の経口SODサプリメント投与を行ったところ、猫の体内のSOD酵素の量が増加し、きちんと体に吸収されていることが確認されました。
この結果から、病気の症状が出ている猫免疫不全ウイルス(FIV)感染猫だけでなく、糖尿病や慢性腎臓病など、酸化ストレスが関係している可能性のある他の病気を持つ猫にも有効的ではないかと考えられています。
猫はチャーガを食べても大丈夫?
食べても大丈夫!ただし生食はNG
チャーガは自然界でも限られた地域でしか採れない希少なきのこで、一般にはなかなか手に入りにくい食材ですが、もし猫に与える場合は、加熱・抽出されたチャーガであれば、猫が食べても大丈夫です。
ただし、生のチャーガは猫に与えるのはNGです。
前述で解説したベツリン酸は健康効果の高い成分ですが、トリテルペン類は脂溶性かつ吸収されにくい性質を持っているため臓器で代謝しにくく、猫の体に負担をかける恐れがあります。
猫へのおすすめの与え方

チャーガは毎日のキャットフードに少量加えたり、水分補給を兼ねて少量与えたり、手作りごはんの一部として取り入れることで、健康維持に役立てることができます。毎日継続して与える必要はなく、時折のおやつや体調サポートとして活用しましょう。
また、煮出して作るチャーガティーはノンカフェインなので、猫が飲んでも大丈夫です。しっかり冷まして常温に戻したものを使いましょう。また温かいチャーガティーは香りが引き立ち、猫の食欲を刺激する効果も期待できます。
持病や投薬中の猫は注意が必要
チャーガは猫の健康維持・向上に有効的な食べ物ですが、下記の猫はチャーガの摂取は避けた方が良いでしょう。
- 子猫(生後6ヶ月未満)
- 妊娠中または授乳中の猫
- 持病があり薬を服用している猫
- 手術前後など、体調が不安定な猫
- キノコ類にアレルギーがある猫
- 免疫抑制剤など特定の治療を受けている猫
とくに、抗凝固薬や糖尿病治療薬を服用している猫は注意が必要です。
チャーガには抗血小板作用や血糖降下作用があるため、抗凝固薬や糖尿病治療薬を服用している猫に対しては、血液が過度にサラサラになったり、低血糖を引き起こすリスクがあるため、薬剤との相互作用が懸念されます。
特に手術前後で体力や体調が不安定な時期はチャーガの摂取を慎重に検討すべきであり、導入前には必ず獣医師との相談が必要となります。
チャーガが原材料のキャットフード例
チャーガはキャットフードやサプリメントの原材料に使用されています。
原材料欄にはチャーガの他に、カバノアナタケ、チャーガエキス、乾燥チャーガ、シベリア霊芝などと表記されます。
- 和漢みらいのキャットフード
- Petee 北海道産カバノアナタケ濃縮エキス
- チャーガ入り鼻とーる
など
まとめ
- βグルカンは強い抗酸化作用を持ち、免疫力の向上に期待
- ベツリン酸はがん細胞の抑制をする働きを持つ
- SOD酵素は細胞の損傷を防ぎ、慢性疾患の進行の抑制をする
- チャーガっを猫に与えても大丈夫だが、生食はNG
- 持病や投薬中の猫にはチャーガを与えるのは避ける