キャットフードに含まれるペクチン(Pectin)
ペクチン(Pectin)は、植物の葉や茎、果実など細胞壁に多く含まれている水溶性食物繊維のひとつです。リンゴやバナナなど果物をはじめ、ビートパルプ、海藻などに豊富に含まれています。
ペクチンは複合多糖類ですが、胃や小腸でエネルギーとして分解吸収されないため、食物繊維に分類されます。中でも、ペクチンは大腸の善玉菌などの微生物の餌となって分解される水溶性食物繊維です。不溶性食物繊維とバランス良く摂取することで腸内をよりよい環境に整えます。
ペクチンは成分名ですが、精製されたペクチンは保存料や増粘多糖類など食品添加物の一面があり、キャットフードでも原材料のひとつとして使用されていることもあります。
ペクチンの使用目的と働き
小腸での栄養吸収と血糖値の上昇を緩やかにする
ペクチンは糖類でありながら、急激な血糖値の上昇を抑える働きがあります。また、水分の保持力が高いことから、体内に入ると水分を蓄えてゲル状になって消化管をゆっくり進み、小腸での栄養の吸収をゆるやかにします。
血糖値の急激な上昇は、糖尿病や肥満などの生活習慣病の原因になるので、ペクチンのような水溶性食物繊維で血糖値の上昇を遅らせることは、シニア期に向けての病気予防対策に役立ちます。
大腸に住む善玉菌のエサとなり腸内環境を整える
ペクチンは腸内の微生物のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。
水溶性食物繊維は、胃や腸などでは分解されないので、私たちの体にとっての直接的な栄養分にはなりませんが、だからこそ吸収されずに大腸まで届き、腸に生息している善玉菌が利用できます。
水溶性食物繊維によって善玉菌が増殖し腸内環境が整うことで、便秘改善以外にも腸内に存在する免疫細胞が正常に働き、病気への対抗力や正常な免疫力が維持できるなど、体にとって様々なメリットがあります。
増粘安定剤(ゲル化剤)
前の項目の説明にもある通り、ペクチンは水分保持力が高く、周りの水分を吸収しゲル状になる性質があるので、増粘安定剤(ゲル化剤)としてキャットフードに加えられる場合もあります。
抗菌作用があり保存料として働く
ペクチンには実は保存料としての一面があります。ペクチン分解物は抗菌作用を示すことが分かっており、有害な最近の生育を抑制することから、既存添加物リスト(天然添加物)にはペクチンは「保存料」として記載されています。
ペクチンの副作用や注意点、デメリットは?
添加物ペクチンに変異原性が認められた
2000年の東京都立衛生研究所の報告によると、ペクチンを酵素によって分解したペクチン分解物という天然由来の保存料について、変異原性を示すことが報告されています。
ペクチンは天然由来で安全性が高いイメージがありますが、上記のように化学由来ではない既存添加物であっても危険性が注目されていないだけで、変異原性のリスクが心配されるものもあります。
この報告はあくまで添加物として生成されたペクチン分解物のリスクで、ペクチンが含まれる食べ物に変異原性があるという話ではありません。
まとめ
- ペクチンは水溶性食物繊維のひとつ
- 保存料や増粘安定剤としても利用される
- 小腸での栄養吸収を抑え血糖値の上昇をゆるやかにする
- 善玉菌の餌となり腸内環境を整える
- 保存料として生成されたペクチンは変異原性を示す