

成分分析値(成分表示)の見方
成分分析値とは

成分分析値とは、成分を分析して主な栄養の割合を示した値で、キャットフードを作る際には必ずパッケージに記載しなければならない項目です。
- 粗タンパク質
- 粗脂肪
- 粗繊維
- 粗灰分
- 水分
根拠を確かめられる
成分分析値をなんとなく理解しておくと、キャットフードのキャッチコピーにあるような「ヘルシーなキャットフード」「高タンパク」「食物繊維が豊富!」「オメガをバランス良く配合」という広告やキャットフードの文言の根拠を確かめることができます。
このため、同じ「高タンパク」と書かれたフードでも、ギリギリ高タンパクと言えるくらいのキャットフードもありますし、反対にこれは高タンパクをはるかに超えた「超高タンパク質!」と言えるほどパワフルなフードもあります。
キャットフードの成分値の見方と平均値
表示義務のある項目 | 値の幅 | |
---|---|---|
タンパク質 | 26~40% | ・26%以上が望ましい(AAFCOの基準) ・30%以上が望ましいという見解も ・グレインフリーは30%以上が多い |
脂肪 | 10%~20% | ・プレミアムフードは18~20%以上が多い ・10%前半は低脂質 |
繊維 | 3~10% | ・グレインフリーは1~3%前後が多い ・3~5%が一般的 ・毛玉ケアは10%近くあることも |
灰分(ミネラル) | 10%以下 | ・ミネラル成分の総量 ・多すぎると結石の原因に |
水分 | 8~10% | ・ドライフードは10%以下 |
この値を参考に見ると、キャットフードのどの成分が多くてどの成分が少ないかがよく分かりやすいのではないでしょうか。値の幅は筆者の経験やペットフード団体の基準から書いたものなので、必ずしもこの範囲にある、この値が理想的というわけではなく、あくまで傾向だと思っていただければと思います。
成分値の「粗」の意味
成分値では「粗」タンパク質、「粗」脂肪、「粗」繊維、「粗」灰分という表記がされますが、これは粗悪な成分や粗雑な測定ということではなく、成分の測定にあたって他の成分がごく少量含まれてしまうため、大まかな数値であるという意味で使用されています。
実際のところ測定方法はペットフードも食品も変わりません。食品の場合はほとんどが粗を省いて表記しているだけなので、粗という文字は気にせずみて頂いて問題ありません。
タンパク質:基本的に高タンパク質がおすすめ
たんぱく質や脂質などの含有量をチェックすることが大切です。成分表では粗たんぱく質や脂質(粗脂肪との表記もあります)と%が表記されていますが、この成分表から粗たんぱく質は30%以上、脂質は20%前後が理想的な食事といえます。
脂質:過剰になりすぎないよう注意
しかし日本の猫のように室内飼育でほとんど運動をしない猫の場合は、あまり高脂質だと肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
中にはタンパク質が高い(35%以上)にも関わらず、脂質が低い(10%前半)キャットフードもあります。この場合、猫のエネルギー源を確保しつつ脂肪になりやすい脂質を抑えているので、ヘルシーなキャットフードということができます。
食物繊維:腸内の健康のために程々に摂取
食物繊維は、成分表示では粗繊維と表されます。食物繊維はキャットフードの成分基準には、最低基準も上限値も設定がありませんが、腸内洗浄の役割を担ったり、腸内の微生物の住処になって腸内バランスをコントロールしたりしますので、ほどほどにとることが大切です。
3~5%くらいが一般的ですが、長毛種などの毛玉ケア用キャットフードでは食物繊維が10%程度含まれているものもあります。グレインフリーの場合は0.5%や1.5%と少ないものも存在します。
食物繊維の必要量も猫種によって異なりますので、便の様子をみながら愛猫に合った量を探してあげましょう。
灰分:ミネラルそれぞれの成分値を重視
カルシウム・リン・マグネシウム
必須ミネラルの中でもカルシウム、リン、マグネシウムの含有量のバランスには注意しておきましょう。バランスが崩れていると尿路結石の原因になると言われています。
配合量のバランスはカルシウム:リン:マグネシウムが1.2:1:0.1程度がいいといわれています。
ナトリウム(塩分)
塩(塩化ナトリウム)に含まれるナトリウムは猫にとって必要な栄養素でもありますが、塩分の摂りすぎは腎不全を起こしてしまう原因になる場合もありますので、成分表に記載されているナトリウム含有量にも気を配りましょう。
水分:10%以下でそこまで幅はない
今回成分値の見方はドライフードを基準に考えているので、水分は基本的に10%前後です。
特筆することがあるとすれば、日本は湿度の高い国なので、海外産でたまに11~13%のドライフードが販売されていることがありますが、保管方法や輸送方法によっては、キャットフードの袋の中でカビが発生している可能性があるので、10%以下に乾燥しているフードがおすすめです。
代理店が正規輸入している場合、湿度や温度管理が行われているかと思いますが、並行輸入品は保証もないので特に注意です。
原材料表示の見方
1番の原材料が最も多い
キャットフードを選ぶ際の原材料の見方として大切なのが、パッケージの原材料欄の一番始めに記載されている原材料をチェックすることです。
原材料欄の一番に来るものは一番多く使用されている原材料で、下へ行くほど含有量が少なくなります。
メインの原材料を判断できる
そのため成分表の原材料欄を見れば、メインの原材料は何なのか、どのようなキャットフードなのか、を大まかに判断することができます。
例えば、原材料欄の始めに記載されているので多いのは、以下の3つです。
- 肉(チキン、ビーフなど)
- 魚介類(サーモン、マグロなど)
- 穀類(米や小麦、とうもろこしなど)
肉が多いキャットフード
たんぱく質や脂質が豊富
肉類が豊富なキャットフードはたんぱく質が豊富になります。
猫はたんぱく質をエネルギーに変えることができるので、十分なエネルギーと筋肉を作る栄養を確保することができます。こうしてしなやかでしっかりした体つきを作ることができます。
食物繊維が少ないかも
肉や魚が多いキャットフードはグレインフリー(穀物不使用)キャットフードであることが多いですが、食物繊維が少ない傾向もあり、腸内環境についても考えておく必要があります。
魚介類が多いキャットフード
オメガ3が豊富
魚介類が多く含まれると、脂質に含まれる「オメガ3脂肪酸」が多くなります。
そのためオメガ6とのバランスを確認する必要があります。オメガ6とオメガ3のバランスは5:1から10:1程度がいいとされています。オメガ3がかなり多いキャットフードではオメガ6よりも多く含まれているものもありますので注意しましょう。
穀物が多いキャットフード
食物繊維や炭水化物が豊富
穀物が多く含まれるキャットフードは食物繊維や炭水化物が豊富な傾向があります。
猫は穀物はほとんど消化できず、ほとんど栄養にすることができませんが、それが原因で病気になったりすることはありません(アレルギーは別)。
逆に穀物入りを好み、その食物繊維によって便をいい状態を保てる猫もいます。一概に穀物が悪いと思い込むのは止め、愛猫に合ったキャットフードを選べるようにしましょう。