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キャットフードの成分表とは
成分表とは、下の画像のようなキャットフードに含まれる成分分析値を表にしたものです。

ペット公正取引委員会の「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で、総合栄養食のキャットフードには、下記の5項目をパッケージの背面や側面に表示するよう定められています。
- タンパク質
- 脂質
- 食物繊維
- 灰分
- 水分
これ以外の成分もメーカーの判断で、必要に応じて炭水化物やオメガ脂肪酸(脂質)、ビタミン、アミノ酸(タンパク質)などの成分値が記載されます。
カロリーも記載されていることが多いです。
成分表を見るメリット
成分表は、猫にとって適切な栄養バランスかどうかを確かめることができます。
成分表を見ることで、CMやキャッチコピー(ヘルシーなキャットフード、食物繊維が豊富、オメガをバランス良く配合、等)の根拠を確かめられるので、誇大広告や怪しい激安フードにも引っかかりにくくなります。
キャットフードの成分表の見方
栄養のバランス
成分値はすべての成分が同じ量で配合されていればバランスがとれているわけではなく、それぞれの栄養が猫にとって必要な分だけバランス良く配合されているかが重要です。成分によっては、猫にとって20%でも少ない成分もありますし、たった1%含まれるだけでも多すぎる成分もあります。
また、同じ哺乳類である猫・犬・人でも適切な栄養バランスは変わります。なので猫に必要な栄養を踏まえて選ぶことが大切です。
基本的に総合栄養食はAAFCOの基準に則って製造されているものがほとんどなので、体に悪影響が出るほど問題のあるキャットフードが販売されていることは少ないですが、一度成分基準と比較してみてもいいかもしれません。
キャットフードの栄養素の目安
成分表はフードが入っている袋や公式サイト、販売サイトで確認することができます。キャットフードの栄養バランスを比較したい時に目安となる値を紹介しておきます。
表示義務のある項目 | 値の幅 | |
---|---|---|
タンパク質 | 26~40% | ・26%以上が望ましい(AAFCOの基準) ・30%以上が望ましいという見解も ・グレインフリーは30%以上が多い |
脂肪 | 10%台~20%台 | 18~20%が多い |
繊維 | 2~10% | ・グレインフリーは3%前後が多い ・毛玉ケアは10%近くあることが多い |
灰分(ミネラル) | 10%以下 | 多すぎると結石の原因に |
水分 | だいたい8~10% | ドライフードは10%以下と決まっている |
※値の幅や傾向は筆者の経験やペットフード団体の基準から書いたものです。必ずしもこの範囲にある、この値が理想的というわけではなく、あくまで目安として参考にする程度でお考えください。
成分1:タンパク質
タンパク質は猫にとって、非常に重要な成分の一つです。犬や人よりも多くのタンパク質を必要とするので、成分値もキャットフードは26%以上と最も高いパーセンテージとなっています。
どの年代でもタンパク質は必要なので、病気や疾患でタンパク制限が必要な猫以外は、基本的にタンパク質は豊富なものを選ぶのがおすすめです。
成分2:脂質
脂質はタンパク質・炭水化物の三大栄養素の中で、最も効率良くエネルギーとして消化される栄養です。
しかし日本の猫のように完全室内飼いでほとんど運動をしない猫の場合は、あまり高脂質だと肥満の原因になるので注意しましょう。
高タンパクになると、肉や魚の配合が増えるのでどうしても脂質も増えてしまいがちですが、肉の種類や魚を使うことで、低脂質に抑えたヘルシーなキャットフードもあります。
成分3:食物繊維
食物繊維は腸内洗浄の役割を担ったり、腸内の微生物の住処になって腸内バランスをコントロールする成分なので、適量は配合されているキャットフードが望ましいです。
食物繊維(粗繊維)は多いと10%以上、少ないと1~2%程度しか含まれないフードもあります。
長毛種などのヘアケア用キャットフードでは食物繊維が10%程度含まれているものもありますが、多くは5%以下です。中でもグレインフリーの場合は1.5~2%と少ないものも多く存在します。食物繊維が必要な量は猫種によって異なりますので、便の様子をみながら愛猫に合った量を探してあげましょう。
成分4:ミネラル
ミネラルは非常の種類が多く、1つ1つの種類と値を見ていくのは非常に困難です。ミネラルはまとめて「粗灰分」と表記され、大体は10%以下のレシピで構成されています。
ミネラルでは、特にカルシウム・リン・マグネシウムの含有量の比率(Ca:P:Ma=1:0.8:0.08)を意識して選びましょう。バランスが崩れていると尿路結石や腎疾患に関係すると言われています。
塩(塩化ナトリウム)に含まれるナトリウムは猫にとって必要な栄養素でもありますが、塩分の摂りすぎは腎不全を起こしてしまう原因になる場合もあります。
成分5:水分
水分はウェットフードでもドライフードでも必ず数%は含まれます。ドライフードの場合は10%以下と決まっているので、8~10%程度のものが多いです。
海外のキャットフードだと11%以上のものもたまに見られますが、日本は湿度が高いのでカビやすいというデメリットがあります。
ウェットフードの場合は水分が多くても密閉性が高い缶やパウチに詰められるので、カビや品質の心配はありません。
キャットフードの原材料表示の見方
1番の原材料が最も多い
キャットフードを選ぶ際の原材料の見方として大切なのが、パッケージの原材料欄の一番始めに記載されている原材料をチェックすることです。
原材料欄の一番に来るものは一番多く使用されている原材料で、下へ行くほど含有量が少なくなります。
メインの原材料を判断できる
このため成分表の原材料欄を見れば、そのキャットフードの主原料や大体の味の傾向を予想することができます。
原材料欄の1.2番目には下記のような原材料が記載されていることが多いです。
- 肉類(チキン・ターキー・ビーフ等)
- 魚類(サーモン・フィッシュミール・サバ等)
- 穀類(米・小麦・コーン等)
肉系、魚系、穀物系で味や栄養素が大きく異なるので、チェックしておくと猫の健康と好みの把握に役立ちます。
肉類が多いキャットフードの傾向
肉類が豊富なキャットフードは、高タンパク質・高脂質なものが多いです。食べた時の満足感が高くパワフルな味になる傾向があります。
肉には動物性タンパク質や脂質が多く含まれるため、猫が得られるエネルギー量も多く、猫の器官をつくったり、皮膚被毛の健康維持にも重要な役割を果たします。特に猫は、人や犬と異なり、炭水化物ではなく動物性タンパク質を効率良くエネルギーに利用することができる動物なので、より多くの動物性タンパク質が必要です。このためキャットフードでは肉をメインにした商品が多くなっています。
価格の面で言えば、肉類が豊富なキャットフードは穀類や植物原料が多いものに比べて原価が上がるため高価格になりやすいです。
また、肉類が多いと植物に含まれる食物繊維量が少なくなるため、食べ始めは軟便になりやすくなります(慣れると徐々に固まってくることが多いですが)。
魚介類が多いキャットフードの傾向
魚介類が多く含まれるキャットフードはDHAやEPAなどの「オメガ3脂肪酸」が豊富です。オメガ3脂肪酸は皮膚被毛の健康維持に役立つ栄養素で、炎症を抑える作用があります。魚以外では利用性の高いオメガ3脂肪酸はあまり含まれないため、肉系のフードでもオメガ3脂肪酸を補うためにサーモンオイルや魚油などが使用されたりします。
ただオメガ3脂肪酸が豊富な青魚を多く摂り過ぎると、不飽和脂肪酸の過剰摂取により脂肪が酸化して、イエローファット(黄色脂肪症)を引き起こすため、抗酸化作用の原材料との摂取が大切です。
穀類が多いキャットフード
小麦や米、トウモロコシなど穀物が多く含まれるキャットフードは、食物繊維や炭水化物が豊富です。猫は穀物を効率的に消化できる動物ではないため、摂取しても4割程度しかエネルギーとして利用することができません。このため、穀類がメインのキャットフードでは、いかに動物性タンパク質を補うかが課題になります。
ただ、口にすること自体が問題というわけではなく、メインとして使用するべきではないというのが当サイトの見解です。肉や魚がメインのキャットフードの方が嗜好性が高く、猫に必要なエネルギーも十分に補えることから、グレインフリー(穀物不使用)のキャットフードが全面的に支持されることが多いですが、中には穀物を好み、豊富な食物繊維によって便を良い状態を保てる猫もいます。一概に穀物が悪いと思い込むのは止め、愛猫と愛称の良いキャットフードかどうか判断できるようにしましょう。
添加物が多いキャットフード
キャットフードには酸化防止剤、保存料、着色料、乳化剤、香料、増粘剤、甘味料、調味料、栄養添加物など…様々な添加物が使用されることがあります。
猫の健康に不安のあるものもあるため一概には言えませんが、全ての添加物が悪いというわけではなく、むしろ無添加キャットフードが正義かというとそういうわけでもありません。安全性の高い添加物の中で、フードの品質や猫の健康を守るために使用される添加物もあります。
危険な添加物と安全な添加物については下の添加物の記事で解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。