目次
キャットフードの成分
キャットフードのパッケージや公式サイトには、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分(ミネラル)、水分…など成分量や割合が表示されています。
成分分析値は成分を分析して主な栄養の割合を示した値で、基本的には5つの成分の割合(%)が表示されます。
- 粗タンパク質
- 粗脂肪
- 粗繊維
- 粗灰分
- 水分
キャットフードの背面または側面に記載されています。成分分析値を見れば、広告やキャッチコピーだけに惑わされずにフードの内容や根拠を確かめることができます。
キャットフードの成分一覧表
分類 | 成分名 |
---|---|
タンパク質・アミノ酸 | アルギニン |
タンパク質・アミノ酸 | ヒスチジン |
タンパク質・アミノ酸 | イソロイシン |
タンパク質・アミノ酸 | ロイシン |
タンパク質・アミノ酸 | リジン |
タンパク質・アミノ酸 | メチオニン |
タンパク質・アミノ酸 | フェニルアラニン (チロシン) |
タンパク質・アミノ酸 | スレオニン (トレオニン) |
タンパク質・アミノ酸 | トリプトファン |
タンパク質・アミノ酸 | バリン |
タンパク質・アミノ酸 | タウリン※ |
タンパク質・アミノ酸 | アラニン |
タンパク質・アミノ酸 | アスパラギン |
タンパク質・アミノ酸 | アスパラギン酸 |
タンパク質・アミノ酸 | システイン |
タンパク質・アミノ酸 | グルタミン酸 |
タンパク質・アミノ酸 | グリシン |
タンパク質・アミノ酸 | プロリン |
タンパク質・アミノ酸 | セリン |
タンパク質・アミノ酸 | チロシン (フェニルアラニン) |
タンパク質・アミノ酸 | グルタミン |
脂質 | ステアリン酸 |
脂質 | パルミチン酸 |
脂質 | ミリスチン酸 |
脂質 | ラウリン酸 |
脂質 | 酪酸 |
脂質・オメガ9 | オレイン酸 |
脂質・オメガ6 | リノール酸 |
脂質・オメガ6 | γ-リノレン酸 |
脂質・オメガ6 | アラキドン酸 |
脂質・オメガ3 | α-リノレン酸 |
脂質・オメガ3 | ドコサヘキサエン酸 (DHA) |
脂質・オメガ3 | エイコサペンタエン酸 (EPA) |
食物繊維 | イヌリン |
食物繊維 | ペクチン |
食物繊維 | アルギン酸 |
食物繊維 | グルコマンナン |
食物繊維 | 難消化性デキストリン |
食物繊維 | セルロース |
食物繊維 | リグニン |
食物繊維 | キチン |
ミネラル | カルシウム |
ミネラル | リン |
ミネラル | マグネシウム |
ミネラル | カリウム |
ミネラル | ナトリウム |
ミネラル | 塩素 |
ミネラル | 硫黄 |
ミネラル | 鉄 |
ミネラル | 亜鉛 |
ミネラル | 銅 |
ミネラル | モリブデン |
ミネラル | セレン |
ミネラル | ヨウ素 |
ミネラル | マンガン |
ミネラル | コバルト |
ミネラル | クロム |
ビタミン | ビタミンA (レチノール) |
ビタミン | ビタミンD |
ビタミン | ビタミンE (トコフェロール) |
ビタミン | ビタミンK (カルシフェロール) |
ビタミン | ビタミンB1 (チアミン) |
ビタミン | ビタミンB2 (リボフラビン) |
ビタミン | ナイアシン (ビタミンB3) |
ビタミン | パントテン酸 (ビタミンB5) |
ビタミン | ビタミンB6 (ビタミンB6) |
ビタミン | ビオチン (ビタミンB7) |
ビタミン | 葉酸 (ビタミンB9) |
ビタミン | ビタミンB12 (コバラミン) |
ビタミン | コリン |
キャットフードの成分値の平均値
表示義務のある項目 | 値の幅 | |
---|---|---|
タンパク質 | 26~40% | ・26%以上が望ましい(AAFCOの基準) ・30%以上が望ましいという見解も ・グレインフリーは30%以上が多い |
脂肪 | 10%~20% | ・プレミアムフードは18~20%以上が多い ・10%前半は低脂質 |
繊維 | 3~10% | ・グレインフリーは1~3%前後が多い ・3~5%が一般的 ・毛玉ケアは10%近くあることも |
灰分(ミネラル) | 10%以下 | ・ミネラル成分の総量 ・多すぎると結石の原因に |
水分 | 8~10% | ・ドライフードは10%以下 |
現在購入しているキャットフードの成分は上記と比較してどうなっているでしょうか。
値の幅は筆者の経験やペットフード団体の基準から書いたものなので、必ずしもこの範囲にある、この値が理想的というわけではなく、あくまで傾向だと考えていただければと思います。
総合栄養食であればAAFCOの定める成分基準に則ったレシピに設計されているので、栄養に過不足が出ることはないのでご安心ください。
各栄養成分について
タンパク質
猫は主なエネルギーをタンパク質から得ているので、他の動物よりもタンパク質を多く必要とします。そのため、キャットフードにおいてタンパク質の量は非常に大切です。
ただ、やみくもに多くを摂取すればいいというわけではなく、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、猫の必須アミノ酸をバランス良く含んだタンパク質を摂取することで、腎臓や肝臓に負担をかけず効率良く摂取したタンパク質を利用できます。
脂質
脂質の過剰摂取は肥満の原因になりますが、脂質には必須脂肪酸も含まれているので、一概にすべての脂質をカットすればいいというわけではありません。
たとえば、必須脂肪酸のうちオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸は皮膚被毛の健康を維持し、特にオメガ3は認知症予防や血流改善、動脈硬化予防、運動機能の向上、抗炎症作用、関節炎の緩和など様々な効果があります。
食物繊維
食物繊維は、植物に多く含まれる成分であり、腸内洗浄の役割を担ったり、腸内の微生物のバランスを整える働きがあります。
成分表示では粗繊維と表示されます。食物繊維はキャットフードの成分基準には、最低基準も上限値も設定がありませんが、キャットフードの割合では3~5%くらいが一般的です。長毛種などの毛玉ケア用キャットフードでは食物繊維が10%程度含まれているものもありますが、0.5~1.5%と少ないものもあります。
食物繊維の必要量も猫種によって異なりますので、便の様子をみながら愛猫に合った量を探しましょう。
灰分
灰分はミネラルのことです。含有量は全体でも10%以下ですが栄養素としては必要不可欠で、他の成分と一緒に体の調子を整えるために働いています。
ミネラルは成分同士のバランスも重要で、キャットフードでは特定の病気や疾患に配慮するために成分の比率を調整したりして、猫の健康に配慮しています。
とくに必須ミネラルの中でも気にされるのが、カルシウム、リン、マグネシウムのバランスです。このバランスが崩れると尿路結石や膀胱炎の原因になるといわれています。
カルシウム:リン:マグネシウムの適正バランスは1.2:1:0.1程度とされています。
水分
今回成分値の見方はドライフードを基準に考えているので、水分は基本的に10%前後です。
ウェットフードでは70%以上が水分、多いものでは90%以上が水分のフードもあります。
原材料表示の見方
成分値の「粗」の意味
成分値では「粗」タンパク質、「粗」脂肪、「粗」繊維、「粗」灰分という表記がされますが、これは粗悪な成分や粗雑な測定ということではなく、成分の測定にあたって他の成分がごく少量含まれてしまうため、大まかな数値であるという意味で使用されています。
実際のところ測定方法はペットフードも食品も変わりません。食品の場合はほとんどが粗を省いて表記しているだけなので、粗という文字は気にせずみて頂いて問題ありません。
1番先頭の食材が最も多い
キャットフードを選ぶ際の見方として大切なのが、一番先頭に記載されている食材をチェックすることです。
一番先頭に記載されているものは一番多く使用されているもので、下へ行くほど含有量が少なくなります。つまり、メインの食材や、どのような内容のキャットフードなのかを判断することができます。
キャットフードで多く使用されている食材は以下の3つです。
- 肉(チキン、ビーフなど)
- 魚介類(サーモン、マグロなど)
- 穀類(米や小麦、とうもろこしなど)
肉が多いキャットフード
たんぱく質や脂質が豊富
肉類が豊富なキャットフードはたんぱく質が豊富になります。
猫はたんぱく質をエネルギーに変えることができるので、十分なエネルギーと筋肉を作る栄養を確保することができます。こうしてしなやかでしっかりした体つきを作ることができます。
食物繊維が少ないかも
肉や魚が多いキャットフードはグレインフリー(穀物不使用)キャットフードであることが多いですが、食物繊維が少ない傾向もあり、腸内環境についても考えておく必要があります。
魚介類が多いキャットフード
オメガ3が豊富
魚介類が多く含まれると、脂質に含まれる「オメガ3脂肪酸」が多くなります。
そのためオメガ6とのバランスを確認する必要があります。オメガ6とオメガ3のバランスは5:1から10:1程度がいいとされています。オメガ3がかなり多いキャットフードではオメガ6よりも多く含まれているものもありますので注意しましょう。
穀物が多いキャットフード
食物繊維や炭水化物が豊富
穀物が多く含まれるキャットフードは食物繊維や炭水化物が豊富な傾向があります。
猫は穀物はほとんど消化できず、ほとんど栄養にすることができませんが、それが原因で病気になったりすることはありません(アレルギーは別)。
逆に穀物入りを好み、その食物繊維によって便をいい状態を保てる猫もいます。一概に穀物が悪いと思い込むのは止め、愛猫に合ったキャットフードを選べるようにしましょう。
まとめ
- 成分は基本的に5つの表示(タンパク質・脂質・粗繊維・灰分・水分)
- 総合栄養食はAAFCOで成分基準が設定されている
- 成分表示を見れば、広告やキャッチコピーに惑わされず判断をしやすくなる