キャットフードの植物性油脂とは?栄養や役割、抽出精製方法を解説

植物性油脂

キャットフードの原材料:植物性油脂

植物性油脂とは、植物に含まれる脂質を抽出し精製した油や脂肪で、動物性油脂と同様、キャットフードでもよく使用される原材料です。植物性油脂に加工されるのは、特に脂質を多く含む植物で、その中でも脂質がたくさん蓄えられる種子や果肉部分から抽出されます。

植物性油脂は融点が低く溶けやすいため、基本的に液体のものが多いですが、ヤシ油(ココナッツ油)など20度以下で固形の状態を保つ油脂もあります。

植物性油脂の種類

  • 亜麻仁油
  • 大豆油
  • 菜種油
  • ヒマワリ油
  • コーン油
  • えごま油
  • ベニバナ油
  • パーム油(ヤシ、ココナッツ)
  • サラダ油
  • オリーブオイル
  • キャノーラオイル
  • アボカドオイル

植物性油脂の栄養と役割

必要な脂質量を補う

動物性の脂質だけでは補えない分を植物性油脂で補うことができます。植物性油脂は精製されることで、成分のほぼ100%が脂質となるため、脂質の摂取には効果的です。

また、植物性油脂は動物性油脂に比べて酸化しにくいメリットがあります。動物性油脂を多く使用するとそれだけ酸化防止剤やビタミンEが必要ですが、植物性油脂は少ない酸化防止剤で劣化を防ぎ品質を保つことができます。

不飽和脂肪酸の摂取

植物性油脂には「多価不飽和脂肪酸」という必須脂肪酸が豊富で、血液をサラサラにしたり炎症を抑える働きがあります。動物性油脂に多いコレステロールも含まれていません。

ベジタリアンやヴィーガン食にも利用できる

キャットフードを求める人の中にはベジタリアンやヴィーガンの商品を求める人もいます。限られた食べ物の中で猫の栄養素を補うのは非常に難しいですが、植物性油脂であれば動物性原料が制限されていても使用することができます。

植物性油脂の製造方法

搾油と精製

植物性油脂は、原料となる植物から搾油という工程で油分を抽出し、不純物の除去や脱色・脱臭を行う精製という工程を経て製造されます。

3つの抽出方法

搾油で行われる抽出方法には、圧搾法、抽出法、圧抽法の3種類があり、植物や利用用途によって方法が異なります。

圧搾法抽出法圧抽法
方法圧力をかけて搾り取る
・高温圧搾法
・低温圧搾法
溶剤で抽出し蒸発させる圧搾後に溶剤抽出する(併用)
原料〇油分が多い植物
・ゴマ
・菜種
・べに花
・オリーブ
〇油分の少ない植物
・大豆
・米ぬか
〇油分が多い植物
・ゴマ
・菜種
メリット・風味や栄養素を壊しにくい(低温圧搾法)
・添加物を使用しない
・油分の少ない植物からも抽出可能
・効率的で残留油分が少ない
・風味や栄養価の高い油と残った油の両方を搾油可能
デメリット・手間と時間がかかる
・栄養価や風味を失いやすい(高温圧搾法は)
・溶剤を使用
(食品添加物)
・手間と時間がかかる
・溶剤を使用

圧搾法は高温圧搾法か低温圧搾法かで栄養価や風味が異なります。抽出方法として最も安心なのは低温圧搾法です。

抽出法(溶剤抽出)は「ヘキサン」という添加物が用いられるのが一般的です。ヘキサンはガソリンなどに多く含まれる物質で毒性がありますが、加熱で容易に除去できるため、植物性油脂の抽出のための溶媒として認められています。

遠心分離やろ過等で精製される

搾油された油は、まだ不純物を多く含んでいるため、遠心分離やろ過などを行います。この時大豆アレルギーの原因となる「レシチン」というリン脂質も取り除かれます。また、他にも脱臭・脱色など様々な精製工程を経て植物性油脂が商品として完成します。

キャットフードの植物性油脂まとめ

今回は植物性油脂について解説しました。下記には、動物性油脂と植物性油脂の違いを解説した記事と動物性油脂の製造方法について書いた記事があるので気になる方はチェックしてみてください。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。