キャットフードのNRC基準とは?信頼を失った85年版の問題点とAAFCOとの違いを比較

キャットフード NRC 飼料標準
猫田
ペットフードの栄養基準といえばAAFCOやFEDIAFが有名ですがNRCもよく聞かれる基準の一つです。

キャットフードのNRC(United States National Research Council)とは

ペットフードの飼養標準を定める米国学術研究団体

NRC

NRC(米国学術研究会議)とは、1916年6月に設立された米国化学アカデミーの傘下にある非営利組織団体で、動物の栄養要求量やペットフード飼料の栄養成分を公表している団体です。現在ペットフードの栄養基準といえばAAFCOの養分基準が日本含め世界で採用されていますが、AAFCOが登場する前にペットフードの栄養基準として採用されていたのがNRCの飼料標準です。

NRCは養分要求量を食餌乾物あたりの含量で示すだけでなく、体重kgあたりの日量でも示しているので、NRC飼養標準では1日あたりの養分要求量を導くことができます。

AAFCOの養分基準は、犬と猫のME(代謝エネルギー)要求量について独自の数値を示していないので、AAFCOの基準だけでは、何キロの犬や猫の1日あたりに必要な栄養要求量を求めることはできません。

AAFCO キャットフード

AAFCOとは?ペットフードの栄養基準と表示基準を定める団体で、罰則を与える機関ではない

2016年11月29日

ペットフードとNRCの歴史

かつてのペットフード栄養基準

NRCが発表した「NRC飼養標準」は、1980年代半ばまでキャットフードやドッグフードの栄養価値を裏付ける唯一の化学的根拠として世界で採用されてきました

旧版NRC飼養標準の信頼性は高く、日本でも独自の表示「総合栄養食」の栄養基準を作る時に旧版のNRC飼養標準が参考にされるなど、今のAAFCOが示す栄養基準のような立ち位置にありました。

85年版で信頼を失いAAFCOに移り変わった

しかし80年代に発表された1985年版NRC飼養標準をきっかけに、NRCの信頼は急速に失われました。

85年版の新しいNRC飼料標準では、犬のタンパク質要求量が低過ぎたことと算出根拠の曖昧さが指摘され、それを機に日本や世界の国の大半がNRC飼養標準と決別しました。

日本ではそれまでNRC飼養標準を参考にした基準を設けていましたが、2000年12月にペットフード公正競争規約を改訂する際に、NRCではなくAAFCOの1997年版養分基準を栄養適正表示の基準として採用するようになり、NRC飼養標準が用いられることはなくなりました。

NRCが定めている飼料標準と今後

NRC キャットフード 栄養基準画像引用元:NRC飼養標準とAAFCOの養分基準-JStage

85年版を発表してから世界の信頼を失ってしまったNRC飼養標準ですが、今後再び、AAFCOのように世界的に採用される基準に返り咲くことはあるのでしょうか。

実はAAFCOの養分基準は世界で採用され、NRCには見られない工夫も見られますが、実は基準量の大部分について根拠や出典が明らかではないという問題点があります。AAFCOの養分基準を見ると、旧版NRCや現行版NRCの飼養標準に似通った数値が多く見られ、AAFCOの基準もNRCを参考にしながら作成していると考えられます。このため、今後もAAFCOの養分基準がNRC飼養標準を参考に修正されることはあるかもしれません。

ABOUTこの記事をかいた人

【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。