キャットフードのカラメル色素は危険?猫の体への影響と発がん性について徹底解説

キャットフード カラメル色素
鈴木さん
カラメル(キャラメル)という名前を聞くと安全そうなイメージが浮かびますが、実際のところカラメル色素の安全性はどうなんでしょうか。
猫田
カラメル色素は様々な食品に配合され、キャットフードでも特にウェットフードに加えられることが多い着色料です。ここではカラメル色素の種類や発がん性についても解説していきたいと思います。

キャットフードの着色料:カラメル色素

糖類をキャラメル化させた着色料

カラメル色素は、褐色に着色することを目的に配合される代表的な合成着色料のひとつです。

カラメル色素の原料は、砂糖やグルコースなどの糖類やでんぷん加水分解物です。これらをキャラメル化させ、褐色になった液体を粉末化するので、ロースト感を演出する香りや苦味があることも特徴です。

キャットフードなどのペットフードだけでなく、飲料水やお菓子、調味料など食用着色料として広く利用されています。

カラメル色素が含まれる食品
  • コーラ
  • カレールー
  • 〇〇の素(麻婆豆腐の素、キムチ鍋の素 など)
  • カップラーメン
  • 醤油・ソース・焼き肉のタレ
  • ワインビネガーやバルサミコ酢

日本へは明治初期にドイツからカラメル色素が輸入されて以降、現在の日本国内におけるカラメル色素の使用量は着色料の中で最も多く、国内総需要量の80%以上を占めています。

カラメル色素を使ったキャットフード

キャットフードのカラメル色素の目的と効果

美味しそうな見た目に統一するため

カラメル色素を使う一番の目的は、製品を美味しそうな色に整えることです。

一定の色に整えることで、原材料の収穫時期や部位の違いによる色のバラつきを抑え、統一感のあるキャットフードに仕上げることができます。

ただし、この「美味しそうな統一感のある色」にする着色料は、あくまで購入する飼い主(人間)側に向けたものです。

色にムラがあっても鮮やかな色でなくても、猫がキャットフードを食べるかどうかは香りや味で判断するので、着色料は猫にとってほとんど意味がない添加物と考えられています。

カラメル色素の種類

カルメル色素はその製造時の処理方法によって4つの種類に分けられていますが、一部に発がん性物質が含まれている種類があることから、カラメル色素は危険性が指摘され、キャットフードでも避けられる傾向にあります。

カラメル色素の種類亜硫酸化合物アンモニウム
化合物
製造方法一日摂取許容量(ADI)
カラメルI糖類のみ加熱設定なし
カラメルII使用亜硫酸化合物を加えて加熱0-160mg/kg/day
日本ではこの製法は禁止
カラメルIII使用アンモニウム化合物を加えて加熱0-200mg/kg/day
(固形物換算0-150mg/kg/day)
カラメルIV使用使用亜硫酸化合物・アンモニウム化合物の両方を加えて加熱

カラメルⅠ:最も安全だが製造コストが高い

カラメルⅠは、砂糖などの糖類やでんぷん加水分解物を熱処理して得られたもの、または酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られた添加物です。

亜硫酸化合物、アンモニウム化合物のどちらも不使用なので、4つのカラメルの中で最も安全な添加物です。摂取許容量の設定も特にありません。

ただし、製造コストが最も高くつくことから、現状カラメルⅠはほとんど使用されていません

カラメルⅡ:亜硫酸化合物を使用

カラメルⅡは、国産の食品には使うことができません。アンモニウム化合物は不使用ですが、亜硫酸化合物が加えられています。

亜硫酸は日本では危険とされているため食品添加物として使用が禁止されていますが、キャットフードは食品ではなく雑貨なのでカラメルⅡが使用されている可能性もあります。

1日摂取許容量は0~160 mg/kgに設定されていますが、あくまで人間の基準なので、体の小さな猫はさらに低い設定になると考えられます。

カラメルⅢ:アンモニウム化合物を使用

カラメルⅢは、食品添加物として様々な食品の着色に広く利用されています

亜硫酸化合物は不使用ですが、アンモニウム化合物が加えられているため不安視されています。

1日摂取許容量は0~200mg/kgの範囲に設定されていますが、あくまで人間の基準なので、体の小さな猫はさらに低い設定になると考えられます。

カラメルⅣ:亜硫酸・アンモニウム両方が含まれる

カラメル色素Ⅳは、カラメルⅣはコカ・コーラ社が特許を持っている製法で、様々な食品に使用されています

亜硫酸化合物とアンモニウム化合物の両方が加えられています。亜硫酸化合物が使用されているカラメルⅡが使用禁止にも関わらず、カラメルⅣはなぜか禁止にはなっていません。

カラメルⅢ、カラメルⅣはアンモニウム法で工業的に製造されるので、工場生産されるカラメル色素は、カラメルⅢとカラメルⅣが大部分を占めています

カラメル色素の発がん性

副生成される4-メチルイミダゾールは発がん性がある

カラメルⅠ以外のカラメルⅡ、Ⅲ、Ⅳのカラメル色素は、発がん性があるとされています。

カラメルⅡ~Ⅳは糖類と化学物質を混合することで作られる化学合成物質であり、製造過程で起こる化学反応によって発がん性が指摘されている「4-メチルイミダゾール」が副生成されます。

4-メチルイミダゾールは明確な発がん性が認められています。国際がん研究機関(IARC)では、4-メチルイミダゾールを2013年に【グループ2B】に分類し「ヒトに対する発がん性が疑われる」としています

IARC HP
画像引用元:List of Classifications|IARC

体の大きな人間に発がん性があるということは、体の小さな猫はより少量の摂取でも発がんしてしまう可能性があると考えられます。

リンパ球減少症、皮膚炎・口内炎、食欲減退・体重減少など発がん性以外の毒性も報告

また、カラメル色素による毒性は発がん性の他にも、リンパ球減少症、皮膚炎・口内炎、食欲減退・体重減少などが報告されており、米国では、米食品医薬品局(FDA)に対してカラメル色素の使用禁止を求める請願書が提出されるほど、カラメル色素の悪影響が危険視されています。

カラメル色素 キャットフード画像引用元:カラメル色素の食品への利用と安全性

また、カラメルⅠについては安全性が高いものの、カラメル色素の「種類」の表示義務はないため、キャットフードの原材料表示を見ただけでは安全なカラメル色素かどうか判断することができません。

さらに現在使われているカラメル色素のほとんどがⅢもしくはⅣであることから、カラメル色素自体を使用しないキャットフードを選ぶのが無難かと思います。

まとめ

  • カラメル色素はキャットフードの合成着色料
  • カラメルⅡ~Ⅳは発がん性がある
  • カラメル色素のほとんどがⅢかⅣ
  • キャットフードではカラメル色素が含まれないものがおすすめ

キャットフードの合成着色料とは?発がん性や遺伝毒性、猫への危険性を解説

2016年12月5日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。