AAFCO(米国飼料検査官協会)とは?総合栄養食のキャットフードの栄養基準を紹介!

AAFCO キャットフード
鈴木さん

キャットフードを見るとパッケージやサイトに『AAFCO (米国飼料検査官協会)の定める栄養基準に適合』と記載されたキャットフードがありますよね。

猫田

「AAFCO」はキャットフードを購入している方なら何度か目にしているのではないでしょうか。

では今回、このAAFCO(米国飼料検査官協会)とはどのような協会なのか、キャットフードやペットフードについて、どのような基準やガイドラインを設けているのか確認していきましょう。

AAFCO(米国飼料検査官協会)とは

AAFCO 米国飼料検査官協会画像引用元:AAFCO 

AAFCO(米国飼料検査官協会)とは、犬猫のペットフードの栄養基準やラベル表示に関するガイドラインを定めているアメリカの団体です。「The Association of American Feed Control Officials」の頭文字をとって「アフコ」と呼ばれています。

日本も含め、世界のペットフードの多くはアメリカのAAFCOの栄養基準や表示基準に沿って製造されています。日本ではペットフード公正取引協議会がAAFCOの基準を採用しているので、日本のペットフード総合栄養食は基本的にAAFCOの基準をクリアしています。

AAFCOが定める栄養基準

AAFCOのキャットフード栄養基準

AAFCOキャットフード
栄養素(乾物ベース)
単位AAFCO
幼猫用最低基準
AAFCO
成猫用最低基
最大値
粗タンパク質3026-
アルギニン1.241.04-
ヒスチジン0.330.31-
イソロイシン0.560.52-
ロイシン1.281.24-
リジン1.20.83-
メチオニン0.620.21.5
メチオニン・シスチン1.10.4-
フェニルアラニン0.520.42-
フェニルアラニン・チロシン1.921.53-
トレオニン(スレオニン)0.730.73-
トリプトファン0.250.161.7
バリン0.640.62-
粗脂肪99-
リノール酸0.60.6-
αリノレン酸0.02ND-
アラキドン酸0.020.02-
EPA+DHA0.012ND-
灰分(ミネラル類)
カルシウム10.6-
リン0.80.5-
カリウム0.60.6-
ナトリウム0.20.2-
塩化物(クロール)0.30.3-
マグネシウム0.080.04
-
mg/kg8080-
mg/kg155-
銅(缶詰め)mg/kg8.45-
マンガンmg/kg7.67.6-
亜鉛mg/kg7575-
ヨウ素mg/kg1.80.69
セレンmg/kg0.30.3-
ビタミン類その他
ビタミンAIU/kg66683332333300
ビタミンDIU/kg28028030080
ビタミンEIU/kg4040-
ビタミンKmg/kg0.10.1-
ビタミンB1(チアミン)mg/kg5.65.6-
ビタミンB2(リボフラビン)mg/kg44-
ビタミンB5(パントテン酸)mg/kg5.755.75-
ビタミンB3(ナイアシン)mg/kg6060-
ビタミンB6(ピリドキシン)mg/kg44-
ビタミンB9(葉酸)mg/kg0.80.8-
ビタミンB7(ビオチン)mg/kg0.070.07-
ビタミンB12mg/kg0.020.02-
コリンmg/kg24002400-
タウリン0.10.1-
タウリン(缶詰め)0.20.2-

AAFCO 栄養基準画像引用元:AAFCO METHODS FOR SUBSTANTIATING NUTRITIONAL ADEQUACY OF DOG AND CAT FOODS

AAFCOではペットフードの栄養基準を定めています。

AAFCOの栄養基準には2種類ありますが、栄養基準として紹介されているのは、乾物ベースの栄養基準(%)がほとんどかと思います。

  • 乾物ベースの栄養基準…100gあたりの栄養素濃度(%)
  • カロリーベースの栄養基準…1000kcalあたりの栄養素濃度(g)

日本では、公正取引協議会が定める公正競争規約により「総合栄養食」として販売されるペットフードは、AAFCOの乾物ベースの基準をクリアしている必要があるため、キャットフードのパッケージには乾物ベース(100gあたりの栄養素)の分析値が記載されています。

カロリーベースの栄養基準は満たしていなくても総合栄養食として販売可能ですが、AAFCOの基準を満たしている旨の記載がある場合は、乾物ベース、カロリーベース両方の基準を満たす必要があります

基本的にすべての総合栄養食はAAFCOの乾物ベースの栄養基準を満たしていますが、中には海外のキャットフードでを受けていなかったり、ヨーロッパ産だとFEDIAFを基準にしている場合もあるので、AAFCOの基準を満たしていないフードもあります。

一般食や副食は栄養基準を満たさない

また総合栄養食以外の一般食や副食(おやつやスナック、おかず等)は、基本的に栄養基準は満たしていません。

一般食や副食はそもそも栄養バランスよりも嗜好性や機能性を重視する製品であり、主食となる総合栄養食のように栄養基準を満たす必要がありません。療法食も副食に分類されますが、療法食も特定の病気の回復のために栄養基準外になる場合があるので、AAFCOの基準を満たしていないことがあります。

AAFCOの基準をクリアすれば安心安全なキャットフード?

AAFCOは完全なガイドラインではない

AAFCO(米国飼料検査官協会)が定める栄養基準や表示を満たしているからといって必ずしも猫にとって安全なキャットフードとは限りません。

AAFCOの基準はキャットフードを販売する製造元に対する最低限のルールを示したガイドラインであり、抜け道もあります。

たとえば、キャットフードの塩分量を気にされる方は多いですが、AAFCOの栄養基準にナトリウムの上限値はありません。また、食物繊維量や水分、オメガ3の成分基準も記載がありません。

また、ある学生が革靴や食品ではない素材を使用してAAFCOの栄養基準をクリアしたというニュースもありました。

このようにAAFCOは上限値がなかったり、原材料は何を使用してもかまわなかったりするため完全なガイドラインではないため、AAFCOだけで安全と判断するのではなく、他の要素も踏まえて自分自身で確認、判断することが大切です。

AAFCOは罰則や警告を与える機関ではない

最後に、AAFCOはキャットフードのパッケージの表示と栄養基準のガイドラインを定めて公表しているものの、それを破ったからといってAAFCOがそのペットフード事業者に対して罰則やペナルティを与えたりすることはできません。罰則などを与えて規制できるのは権限をもつ国や機関であり、AAFCOにはその権限はないからです。

ただ、たとえばある国で、AAFCOの基準を採用し、法律や規定などで違反した事業者に罰則を与えるよう規制した場合、その国や機関がAAFCOの基準を破ったペットフード事業者に対して罰則を与えることが可能です。ですがあくまでAAFCOが直接罰則を与えることはありません。

AAFCOまとめ

猫田
以上今回は栄養基準やパッケージ表示のガイドラインを定めるAAFCOについてご紹介してきました。AAFCOは世界共通のペットフードの基準となっていて、キャットフードを選ぶ時にも重要なチェックポイントになりますが、AAFCOの基準をクリアしていればオールOKというわけではないことは押さえておきましょう。
  • AAFCOは栄養基準や表示基準を定めている
  • 製造者側が守るべき最低限のルール
  • 法律ではないので守らなくても罰則はない
  • AAFCOをクリアすれば安全というわけではない

もし他の項目も総合して良いキャットフードを選びたいということであれば、下記のランキングや評価ランクも確認してみるといいかもしれません。

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2016年8月29日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。