キャットフードのウコン(ターメリック)。肝機能向上、消化促進、抗菌・抗ウイルス作用などの効果有

キャットフード ウコン

キャットフードの原材料:ウコン(Turmeric)

ウコン(Turmeric)はインド原産のショウガ科ウコン属の植物で、古くからウコンの根の部分がアジア地域で生薬や漢方として利用されてきました。日本にも18世紀に伝わり、沖縄や九州地方など温暖な地方で栽培されています。

外側の見た目はショウガと似ていますが、根の内側は非常に濃く鮮やかな黄色・オレンジです。ウコンには春ウコン、紫ウコン、黒ウコンなどの種類があり、それぞれピンク色や紫色など様々な色がありますが、一般的にウコンとして利用されるのはオレンジ・黄色が強い秋ウコンです。黄色い色素であるクルクミンはポリフェノールの一種で様々な効果が期待されています。

味は強い苦みと独特の胃腸薬のような香りがあり、そのまま食べて美味しいと感じる人は少ないかもしれません。また、猫も苦みは得意ではないので、ウコン自体の味はあまり好まないと予想します。

ウコンをつかったキャットフード

キャットフードでは薬膳としてウコンを利用しているキャットフードがあるほか、ウコンの主成分となっている黄色い色素を利用し、天然着色料として配合される場合もあります。

ウコンの栄養素と猫におけるメリット

肝機能の向上(解毒サポート、胆汁分泌を促進)

ウコンの色素成分クルクミンには肝機能を高める働きがあります。

ウコンといえば二日酔い防止のために飲む機能性ドリンクで有名ですが、それはウコンの肝機能強化、肝臓の解毒作用サポート効果を利用しています。

肝臓機能の向上は解毒作用を高めることにつながります。猫はアルコールは関係ありませんが、タンパク質を多く必要とする猫は他の動物より体内でアンモニアが発生しやすく、アンモニアの解毒を行う肝臓機能が重要になってきます。

また、肝臓は胆汁分泌も行っていて、ウコンには胆汁分泌を促進する働きもあります。胆汁はコレステロールを体外に排出したり、タンパク質の分解や脂肪の消化吸収にも関わっており、胆汁がしっかり分泌されることで、正常に栄養吸収や老廃物の排泄を行うことができます。

色素成分クルクミンの抗菌作用・抗ウイルス作用

ウコンの大部分を占める色素成分クルクミンには抗菌作用・抗ウイルス作用があります。

キャットフード ウコン ターメリック引用元:Antiviral and virucidal effects of curcumin on transmissible gastroenteritis virus in vitro|Microbiology Society

伝染性胃腸炎ウイルスに対するクルクミンの抗ウイルス効果および殺ウイルス効果

(一部抜粋)ここでは、伝達性胃腸炎ウイルス(TGEV)をアルファコロナウイルスモデルとして使用し、TGEVに対するクルクミンの抗ウイルス特性を調査しました。我々の結果は、クルクミンが用量依存的にTGEVの増殖とウイルスタンパク質の発現を強力に阻害することを実証しました。また、クルクミンが用量、温度、時間に依存して直接的な殺ウイルス能力を示すことも観察されました。さらに、添加時間アッセイにより、クルクミンは主にTGEV複製の初期段階で作用することが示されました。特に、吸着アッセイでは、40μMのクルクミンによりウイルス力価が3.55logTCID50ml-1減少し、クルクミンがTGEVの吸着に対して優れた阻害効果を有することが示されました。まとめると、我々はクルクミンがTGEVに対して殺ウイルス活性と事実上の阻害を有することを初めて実証し、クルクミンがTGEV感染を効果的に制御するための候補薬となる可能性があることを示唆している。

ヨーロッパ最大の学識のある学術団体「Microbiology Society」で2020年7月17日に公開された調査で、クルクミンが伝染性の胃腸炎ウイルスに対し非常に高い効果を発揮したことが発表されました。

クルクミンは伝染性胃腸炎ウイルスの増殖やウイルスタンパク質の発生を強く抑制することが証明され、さらにクルクミンの服用方法や条件によっては直接的にウイルスを殺傷する効果も示すことが発見されました。

今後クルクミンが伝染性胃腸炎ウイルスに対して効果的な薬となる可能性が期待されています。

胃液分泌を活性化して消化促進

ウコンには胃液の分泌を活性化させる作用があります。消化酵素の働きを助けることで、消化を促進し、消化不良や胃の調子を整える働きがあります。

他にも抗炎症・抗酸化・抗ガン作用、高血糖抑制など多くの薬効が期待

ウコンの主成分であるクルクミンには他にも下記のような様々な薬事的効果が期待されています。

  • 抗炎症作用
  • 抗酸化作用
  • 抗がん作用
  • 高血糖抑制

ウコンの注意点、危険性や副作用

過剰摂取は肝機能、消化管への悪影響

ウコンには肝臓機能や胆汁分泌を促進する働きがありますが、その効能自体が肝臓に負担をかけることから、過剰摂取すると肝機能や消化管に悪影響を引き起こす可能性があります。

キャットフードなどに使用される場合、高配合されることはないと思いますが、ウコンが高配合された製品やウコン粉末、ウコンそのものを猫に与えると過剰摂取になる場合があるため注意してください。

まとめ

  • 黄色の色素成分クルクミンが主成分
  • キャットフードでは薬膳系のフードや天然着色料として利用
  • クルクミンには肝機能向上、消化促進、抗菌・抗ウイルス作用など様々な効果効能が期待
  • 過剰摂取はかえって肝臓や消化器官に負担をかけるため注意

 

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。