キャットフードのハーブ類一覧!目的や効果、種類、配合量について

鈴木さん
ハーブが含まれているキャットフードも多いですが、どういった目的で加えられているんでしょうか。またキャットフードに加えられるハーブにはどんな種類がありますか?
猫田
ハーブは非常に沢山の種類があるので、それぞれの特徴や目的と一緒に説明してきますね。

キャットフードの原材料:ハーブ

ハーブとは

ハーブ(herb)とは、香料や薬、保存料、酸化防止剤、防虫、消臭などに利用される様々な作用をもつ植物です。

効果を持つ植物はハーブ以外にも多くありますが、一般的にハーブは特にヨーロッパで伝統的に利用されてきた植物を指します。生または乾燥させたものがハーブティーや料理などに使われます。

キャットフードに配合する目的

キャットフードでは、品質保持のための保存料や酸化防止剤としての役割を目的にハーブが配合されます。ハーブを使うことで自然由来の原材料で品質を維持することができます。

またハーブはスパイスとしても利用されるため、キャットフードでも香りつけや香ばしさを出すための原材料として用いられます。

キャットフードのハーブと作用一覧表

キャットフードに含まれている代表的なハーブの種類とその働きについて一覧にしました。ハーブはそれぞれに異なった働きがあり、目的に合わせて選ぶことができます。

植物の種類ハーブ名ハーブの作用・効果
シソ科ローズマリー・記憶力を高める
・リラックス作用
・血行促進作用
・肝機能を高める
オレガノ・消化の促進
・鎮静作用
・殺菌作用
セージ
・抗菌
・抗ウイルス
・防腐
・制汗
・内分泌調整
タイム
・抗菌
・殺菌
・抗ウイルス
・防腐
・去痰
・利尿
・強壮
・鎮痙
・疲労回復
ペパーミント・鎮静作用
・抗菌作用
・防腐作用
・発汗作用
・利尿作用
・脳の機能を高める
・胃腸の機能を調整
マジョラム・鎮静
・鎮痙
・消化促進
・食欲増進
・利尿
・強壮
キク科カモミール・リラックス効果
・抗菌作用
・安眠効果
・鎮静作用
・貧血改善
マリーゴールド・血流改善
・毒素を排出する
・胃粘膜の炎症を抑える
チコリ・腸内のガスの排泄を助ける
・緩やかに便の排泄を促す
・利尿作用
・消炎作用
・消毒効果
セリ科アニス・消化の促進
・防腐作用
・消臭作用
・腸内のガスの排泄を助ける
・気管にたまった痰の除去を助ける
パセリ・利尿
・抗炎症
・鎮静
・血圧降下
イラクサ科セイヨウイラクサ・抗アレルギー作用
・利尿作用
・血行促進
・浄血作用
・血流改善
バラ科ローズヒップ・抗酸化作用
・鎮静作用
・消化の促進
・利尿作用
クスノキ科シナモン・鎮静
・鎮痛
・血圧改善
・老化防止
・血行促進
・抗菌作用
・腸内のガスの排泄を助ける
リュウゼツラン科ユッカシジゲラ・腎臓や肝臓疾患における解毒作用
・利尿効果
・血圧降下作用
・血行改善作用
・消臭効果
マメ科アルファルファ・利尿作用
・疲労回復
・便通促進
・健胃作用

ローズマリー

ローズマリーは特にキャットフードに利用されることが多いハーブの一つです。シソ科の植物で、記憶力を高めたり、リラックス効果、血行促進作用、肝臓の機能を高める効果など様々な効果が期待できます。

ローズマリー抽出物がキャットフードによく利用されるのは、天然の酸化防止剤・保存料になるからです。ローズマリーには抗酸化力が高く、効果も長く続きます。

合成添加物を使用せず自然由来の原材料のフードをつくりたい場合、ローズマリーのような酸化防止効果のある原材料がよく利用されます。

キャットフードのローズマリー。ハーブの一種で植物由来の天然酸化防止剤として働く

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2019年7月26日

オレガノ

オレガノはヨーロッパの地中海沿岸地方が原産のシソ科の植物で、香辛料などに使われます。日本ではハナハッカと呼ばれます。

下で紹介するマジョラムとは似た種類の植物で、消化の促進や鎮静作用、殺菌作用などの効果が期待できます。

キャットフードのオレガノ。香りが強いハーブ!消化の促進や鎮静、殺菌、整腸作用などが報告

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2020年4月22日

タイム

タイムはヨーロッパや北アフリカ、アジアなどが原産の植物です。タイムはイブキジャコウソウ属の総称となっていてタイムだけで350種があります。

タイムの作用としては、抗菌・殺菌・防腐作用などフードの品質保持に役立つ作用から、抗ウイルス作用や利尿作用、強壮作用(丈夫な体)疲労回復など猫へのメリットも多いハーブです。

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2024年3月6日

マジョラム

マジョラムは古代ギリシャから栽培されていた歴史の長いハーブで、防腐効果からエジプトのミイラつくりにも利用されていました。マジョラムは消化促進・食欲増進の効果、また神経を落ち着かせる効果、また猫には嬉しい利尿作用もあります。

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2024年2月28日

カモミール

カモミールはヨーロッパ原産のキク科の植物です。ハーブティーやアロマではお馴染みなので知っている方も多いのではないでしょうか。日本ではカツミレと呼ばれます。ヨーロッパではなんと4,000年以上前から親しまれてきた最も歴史の長い薬草と言われています。

モミールの作用には抗菌作用、貧血の改善、安眠作用など精神面にのリラックス効果があります。

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2018年7月5日

アニス

アニスはセリ科の植物でエジプトやギリシャなどの地中海地域が原産のハーブの一種です。アニスも防腐作用があることからマジョラムと同様エジプトのミイラつくりに用いられていました。

他にもアニスには消化の促進、消臭作用、腸内のガスの排泄を助ける、痰の除去を助ける作用があります。

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2019年12月13日

セイヨウイラクサ

セイヨウイラクサは、ヨーロッパや北米で栽培されてきたハーブで、薬草、香辛料、スープなどで用いられてきました。

「天然のマルチビタミン」と呼ばれるほど栄養が豊富で、セイヨウイラクサには抗アレルギー作用や利尿作用、血行促進、浄血作用、血流改善など血液の巡りに関する効果も報告されています。

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2024年3月20日

ユッカシジゲラ

ユッカはリュウゼツラン科ユッカ属の植物です。アメリカやメキシコなどの乾燥地帯で生息する丈夫な植物です。腎疾患や肝疾患の解毒作用や抗菌作用、抗炎症作用、消化促進作用などがあります。

また悪臭の抑制効果もあることから、キャットフードでは猫の便の消臭効果を目的として使用されることが多いです。

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2019年12月2日

ハーブの注意点

ハーブの配合量は少ない

ハーブは効果が多くて強い分、野菜や他の食材のようにたくさん与えてはいけません。

キャットフードの原材料名欄には何種類ものハーブが書かれているため、かなりハーブの配合量が多いのではないかと思われがちですが、実はハーブを合わせても全体の数%程度にしかなりません。

独特の香りや風味が強い

ハーブはそのままの状態では香りや風味強く、独特の匂いを猫が嫌うことも少なくありません。

キャットフードでは非常に少量を他の原材料と混ぜて与えているため、香りもそこまでキツくなりませんが、ハーブそのものを与えるのはあまりおすすめしません。

危険なハーブもある

またハーブの中には、猫にとってニオイを嗅いだだけでも危険な種類もあるので注意が必要です。中にはハーブの香りだけで猫の体調が悪くなってしまったりすることもあるので、ハーブ自体を与えるのは避けた方が良いでしょう。

キャットフードのハーブまとめ

猫田

キャットフードのハーブについて一覧で効果や種類を見てきました。簡単に復習してみましょう。

  • ハーブとはヨーロッパで伝統的に親しまれてきた薬草
  • 種類によって様々な効果が期待できる
  • キャットフードへの配合量はごく少量
  • 種類にとっては毒性があるものもあるので注意
鈴木さん
ハーブには様々な効果があって驚きました。私たちもお茶やスパイスとして親しんでいる身近な食材ではありますが、猫に与える時には注意が必要な食べ物でもあるんですね。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。