猫は新型コロナウイルス(COVID-19)にかかりやすい?ネコ腸コロナウイルスとの違い

猫 コロナウイルス

猫も感染する新型コロナウイルス

新型コロナウイルス(COVID-19)は猫にも感染する

2020年1月に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は飛沫感染・接触感染によって感染者を全世界に急拡大させる感染症です。

感染者は味覚障害や運動障害を始め様々な症状や後遺症が残ることが報告されています。また重度の呼吸器障害で全世界の死亡者は570万人以上にものぼり、大きな社会問題となっています。

コロナの発生から2年が経ちワクチン摂取も進みましたが、新たな変異株を出現させながら現在も終息はしていません。

日本でコロナが流行する少し前の2020年2月21日に発表した東京都獣医師会のお知らせでは新型コロナウイルスがペットに感染したという報告は一切ないとのことでしたが、4月22日ニューヨークで軽い呼吸器疾患があった猫の糞便から新型コロナウイルスの陽性反応が出たことで、猫にも新型コロナウイルスが感染することがわかりました。

飼い主からは陽性が出なかったことから猫が屋外に出た際に感染したとみられています。

ネコは新型コロナウイルスの感受性が他の動物種よりも高い

コロナウイルス 猫 ペット画像引用元:新型コロナウイルス感染症について 動物を飼育する方向けQ&A(7月7日時点版)|厚生労働省

新型コロナウイルスが飼育している猫から人に感染したという事例は報告されていませんが、猫は新型コロナウイルスの感受性が他の動物種よりも高いという報告があります。

猫同士の感染結果が報告されており、動物への過度な接触は避け、接触の前後は手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うように注意喚起を行っています。

新型コロナウイルスによる症状

猫の場合、肺の炎症による長期的なダメージが見られ、呼吸器症状・消化器症状があったと報告されています。ニューヨークでコロナウイルスに感染した猫は、軽い呼吸器疾患のみで現在回復に向かっているとのことです。ただ感染しても無症状の場合もあるため、元気だからといって感染していないとも限りません。

感染後、回復した猫は約4週間後にコロナウイルスに再感染しないことも報告されています。

猫の新型コロナウイルス対策

まず飼い猫を完全室内飼いを徹底し、屋外に出さないことが大切です。飼い主さんから感染させてしまう可能性もあるので、家に帰ったら猫に触れる前に手洗いやうがいを徹底し、できれば帰宅後はシャワーやお風呂に入って洗い流すなどの対策をしましょう。

猫のコロナウイルスといえばCOVID-19ではなくFCoV

ネコ腸コロナウイルス(FCoV)

新型コロナウイルス(COVID-19)が流行するまでは、猫のコロナウイルスといえば「ネコ腸コロナウイルス(FCoV)」でした。ネコ腸コロナウイルス(FCoV)は猫の間で感染し、猫の腸に炎症を引き起こすウイルス感染症です。

ネコ腸コロナウイルス(FCoV)は、危険性や病原性は低く、感染しても軽い腸の炎症を引き起こす程度です。一度感染すると慢性ですが無症状のまま過ごす猫も多く、大きな問題になることはほとんどないと言われています。

猫伝染性腹膜炎(FIP)

しかしネコ腸コロナウイルスが猫の体内で突然変異によって、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPウイルス)に変わることがあります。

猫腸コロナウイルスに比べてこちらを発症する確率は低いですが、猫伝染性腹膜炎は致死率も高く、発病すると完治することはなく死に至る恐ろしい病気です。

ネコ伝染性腹膜炎(FIP)とは?致死率の高い恐ろしい感染症。症状や治療法、治療費について

2018年11月2日

猫コロナウイルス(FCoV)の感染ルート

原因は感染した猫の糞便

猫コロナウイルス(FCoV)の原因は、すでに感染している猫の糞便や唾液に含まれるウイルスが猫の口や鼻から体内に入ることで感染します。猫は毛繕いをするので、お尻や糞だけに限らず、全身にウイルスが付着している可能性があります。

猫コロナウイルスに感染した猫が1匹いると接触した猫に感染してしまうので、よく屋外に出て他の猫と接触する子や、多頭飼いの家庭では特に気を付けましょう。

ただネココロナウイルスは、ヒトとネコの間で感染することはありませんので、飼い主さんに影響はありません

飼い主を介した感染も

感染ルートとして、飼い主さんに付着したコロナウイルス(FCoV)から愛猫に感染する可能性があります。

完全室内飼い&単独飼育だったとしても、外で飼い主さんが猫コロナウイルスに感染した猫と触れ合うなどしてウイルスを持ち込むと、飼い主さん自身に影響はありませんが、飼い猫にコロナウイルスを仲介して受け渡すような形となり、外に出ていないのに愛猫がコロナウイルス(FCoV)に感染してしまいます。

猫コロナウイルスの症状

猫コロナウイルスの症状はいくつかありますが、初期症状では気づけない飼い主さんが多く、また無症状な猫もいます。

  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 元気減退
  • 腹水・胸水
  • 目の異常

これは上で紹介した猫コロナウイルスの種類にもより、猫腸コロナウイルスであれば無症状や比較的軽い症状のものが多く、猫伝染性腹膜炎が発病すると様々な症状を引き起こします。

猫コロナウイルスの治療と療養

猫コロナウイルスの検査方法

猫コロナウイルスは、動物病院で血液検査を受けて調べることができます。また糞便中のウイルスを検出する方法もあります。

血液検査費用は1万円~2万円程度が一般的で、糞便検査は数千円程度。症状や猫コロナウイルスの種類によってはエコー検査やレントゲン検査なども行われるので、その場合さらに数千~1万円程度加算になる可能性はあります。

猫コロナウイルスの治療方法

猫コロナウイルスの治療法は猫腸ウイルスの場合、症状に合わせて薬の服用・点滴・食事療法などがとられます。無症状で特に問題がない場合、治療を行わずに一生を終える猫もいます。

猫伝染性腹膜炎の治療方法についてはこちらの記事で詳しくお話しています。

猫コロナウイルスの予防方法

ワクチンでは予防できない

猫コロナウイルスは、猫白血病や猫エイズのように予防接種はないので、なるべく猫コロナウイルスに感染した猫と接触させないことが大切です。

そのためには、屋外に出さない、多頭飼いの場合は感染した猫がいないか検査する、飼い主さんも帰宅したら手を洗うなどして猫コロナウイルスを猫に近づけないようにしましょう。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。