猫が早朝に起こしにくる6つの理由とは?静かな朝を取り戻すための対策と寝る前の習慣

猫が早朝に起こしにくる6つの理由とは?静かな朝を取り戻すための対策と寝る前の習慣

朝5時ごろに耳元で「ニャーニャー」と鳴かれたり、布団を引っかかれたり、顔の上に乗られたり。このような“早朝の強制的なお目覚め”を経験したことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

この記事では、猫が早朝に起こしにくる理由と、やめさせるための対策、夜の過ごし方について解説します。

猫が早朝に起こしにくる6つの理由

猫が早朝に起きるのにはさまざまな理由があります。人間の都合からすれば「まだ寝たいのに」と感じますが、猫にとってはごく自然な行動であることも少なくありません。

起こしにくる理由①猫は「薄明薄暮性」の動物

「猫は夜行性」というイメージが強いですが、実は夜行性ではなく「薄明薄暮性」の動物です。薄明薄暮性とは、夜明けと日没の時間帯に最も活動的になるという性質のことです。

つまり、人間がまだ寝ている早朝の時間帯は、猫にとっては「元気に動くべきタイミング」なのです。とくに室内飼いの猫は生活の刺激が少なく、行動パターンが飼い主の生活リズムに影響されやすいため、「飼い主が起きている=遊べる・ごはんがもらえる」といった学習が進むと、起こしに飼い主のもとへ行くのは当然の流れと言えます。

起こしにくる理由②空腹による要求

猫が早朝に起こしに来る理由で最も多いのが、「お腹が空いたから」です。

猫は習慣に敏感な動物で、毎朝決まった時間に朝食をもらっていると、その時間に合わせて体内時計が働くようになります。やがて、その30分〜1時間前から「そろそろ朝ごはん」と催促を始めるようになります。

とくに困るのが、飼い主が何度か「仕方ないな」と反応してしまったケース。「鳴けばごはんがもらえる」「起こせば飼い主が動く」と学習した猫は、ますます積極的に早朝の“起こし行動”を取るようになります。これは完全に「成功体験」として刷り込まれてしまっている状態です。

起こしにくる理由③運動不足による退屈

日中に十分に運動できていないと深夜や早朝に活動を始めてしまい、「遊んで」「かまって」とアピールするようになります

とくに若い猫や活発な性格の猫ではこの傾向が顕著で、遊び足りなさや退屈からくるストレスが早朝の行動に直結していることがあります。

起こしにくる理由④スキンシップ欲求や甘え

猫が飼い主を起こすのは、単なるごはんの催促や退屈だけではありません。「構ってほしい」「そばにいてほしい」という感情が行動として現れることも多いのです。

とくに昼間の留守番が長くひとりで過ごしている猫、留守番の頻度が多い猫は、夜間や朝方に強く飼い主に依存しやすく、寂しさから声をあげたり、布団に潜り込んできたりといった行動を見せます。

起こしにくる理由⑤環境の刺激

意外と見落とされがちなのが、外部環境による影響です。夜が明けるとともに差し込む光、ベランダの鳥の声、近隣の物音などが猫を刺激し、覚醒を促してしまいます。そして、目が覚めた猫は「さあ、起きてよ」とばかりに飼い主にアプローチを始めるのです。

部屋が明るくなりすぎる、外の音がよく聞こえるといった環境面も、早朝に起こされる理由になっていることがあります。

起こしにくる理由⑥加齢や体調不良

高齢猫や持病のある猫は夜間に不安を感じやすくなったり、頻尿や痛みなどの身体的な不快感から落ち着きがなくなることがあります。

そうした猫は夜中や早朝に鳴いたり歩き回ったりすることが増え、結果として飼い主を起こしてしまいます。

猫が早朝に起こしにくる行動はやめさせた方がいい?

結論から言うと、やめさせた方が良いと考えられます。

■飼い主の生活の質が損なわれる
早朝に起こされることで睡眠の質が低下し、疲労やストレスが蓄積します。これが長引くと、飼い主の心身の健康にも影響を及ぼします。

■猫に“誤った学習”が定着する
起こせばごはんがもらえる、かまってもらえると学習すると、その行動はどんどん強化され、望ましくない習慣が定着してしまいます。

■放っておくとエスカレートする可能性も
最初は軽く鳴くだけだったのが、布団をひっかく、顔に乗る、噛むなど行動が過激になるケースもあります。放置すればするほど修正が難しくなります。

ポイントは、「無理にやめさせる」のではなく、猫が安心して眠れる夜の環境づくりや、日中の過ごし方の見直しによって自然に改善させるのが理想的です。

ただし、病気の場合はすぐに対処を!

猫が下記の行動や仕草を行う場合は、病気や体調不良の可能性があります。

  • 早朝の行動が突然始まった
  • 鳴き方が変わった
  • トイレの回数が増えた
  • 食欲や行動パターンが崩れている
  • 高齢で夜間の混乱がある
  • 行動が急に変化した

猫が早朝に飼い主を起こしにくるのが単なる習慣や要求ではなく、病気や体調不良の場合は、対策や行動修正を試みる前に、まず動物病院での健康チェックをしましょう

健康であることがわかったうえで初めて、行動改善に取り組むことができます。

早朝に起こされないための対策

早朝に飼い主を起こしにくるのが病気や体調不良ではなく、単なる習慣や要求の場合は、起こされない対策をしましょう。

対策①無視をする

猫の“早朝の目覚まし攻撃”を防ぐには、「やめさせたい行動には反応しない」ことが基本です。鳴いたらすぐにごはんを与える、構ってしまうといった対応をしている限り、猫は「これでOK」と学習してしまいます。

たとえ5分、10分と鳴き続けられても反応せずに無視を続ければ、猫は「鳴いても意味がない」と学習してくれます

中途半端に反応してしまうと、「もっと頑張れば起きてくれる」と猫に期待を抱かせてしまうため、逆にエスカレートしてしまうこともあるため注意が必要です。

対策②自動給餌器を活用

朝ごはんのタイミングを「飼い主が起きて与える」形式から、「機械が時間通りに与える」形式へ切り替えると、猫は「ごはんは飼い主と関係ない」と理解するようになります。

自動給餌器を導入することで、猫が飼い主を起こす必要がなくなり、習慣的な早朝の催促が緩和されていきます。音が静かで正確なタイマー機能があるタイプを選びましょう。

注目はカメラ付きスマホ連動!猫が食べる姿を見られる自動給餌器

2018年4月13日

対策③夜の過ごし方を見直す

早朝に起こされないようにするためには、夜の過ごし方を意識的に変えていくことも大切です。猫にとって「夜は活動する時間」ではなく「眠る時間」と認識させましょう

まず、寝る1〜2時間前にしっかり遊びます。追いかけっこができるおもちゃやキャットタワーを活用して、猫が十分にエネルギーを発散できるようにします。

遊びが終わったら軽くごはんを与えます。そうすることで満足感を持たせつつ静かな時間に移行し、「眠る」という流れをつくることができます。

また、カーテンは遮光性のあるものを使い、朝日が差し込まないようにする、静かな環境を整えるといった工夫も有効です。

対策④飼い主が寝る環境の工夫もポイント

猫の鳴き声や動きに過敏に反応してしまう方は、耳栓を使う、ベッドから距離を置いた場所に猫ベッドを設置する、あるいは一時的に寝室を分けるといった方法で、飼い主側の睡眠環境を守ることも検討してみましょう。

おわりに

猫が早朝に飼い主を起こすようになった背景には、長期間にわたる習慣の積み重ねがあります。そのため、改善にも一定の時間がかかることは覚悟しておきましょう。

対応の仕方を少しずつ変えることで、猫の行動も必ず変わっていきます。

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。