秋に増える猫の体調トラブル5つ。生活環境、泌尿器、毛球症、アレルギー対策を解説

秋に増える猫の体調トラブル5つ。生活環境、泌尿器、毛球症、アレルギー対策を解説
古川さん
最近、朝晩が冷えるようになってきましたね。うちの猫もなんだか寝てばかりで、少し元気がない気がして心配なんです。
猫田

秋は人にとって快適ですが、昼と夜の寒暖差に加えて、水を飲む量が減ったり、換毛期で毛を飲み込みすぎたりと、体調を崩す猫が増える季節なんです。

秋に猫が気を付けるべき体調トラブルと対策を解説します。

秋の体調トラブル①自律神経の乱れ

寒暖差によるストレスと体調不良

秋は昼間と夜の気温差が大きいため、自律神経が乱れやすい季節です。猫は人よりも気温の変化に敏感で、体が冷えることで食欲不振や下痢、嘔吐などの症状を起こすことがあります。

とくに短毛種や高齢猫は体温を保ちにくいため、毛布やフリース素材のベッドを用意し、夜間は床からの冷気を防ぐ工夫をしましょう。

対策:快適な室温と湿度の管理

猫が快適に過ごせる室温や湿度は、人間とほとんど変わりません。ただし個体差はあるため、猫の様子の観察が重要となります。

一般的に、室温が20℃を下回ると猫は肌寒さを感じやすくなるため、暖房を軽く入れて室内を快適に保つと良いでしょう。

猫は本能的に居心地の良い場所を選んで移動しますが、冷えに弱い子猫や高齢猫、持病のある猫などは体温調節が苦手です。こうした猫には、秋の段階でもブランケットやペット用ヒーターなどで暖を取れる環境を整えてあげることが大切です。

秋の適切な室温・湿度
  • 室温:22〜26℃
  • 湿度:40〜60%

秋の体調トラブル②泌尿器疾患

水分不足が招く膀胱炎や尿路結石

気温が下がると水を飲む量が減り、尿が濃くなって膀胱炎尿路結石が発生しやすくなります。とくにオス猫は尿道が細くて長いため、尿路閉塞を起こすと命に関わることもあります

いつでも新鮮な水を飲めるように、数ヶ所に水皿を置く、または循環式の給水器を活用するなど、飲水環境を工夫しましょう。ウェットフードを増やすのも効果的です。

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秋は泌尿器疾患が増えるという研究結果

ある研究では、2023年6月~2024年5月までの1年間に、細菌性尿路膀胱炎と診断された34匹の猫の尿を調べたところ、秋に発症が集中していることが分かりました。

研究の結果
  • 全症例の55.9%が秋(9~11月)に発症
  • そのうち29.4%が11月に発症
  • 春の発生率はわずか5.9%と秋に比べて少ない
  • 高齢猫での発症率が44.1%と高い

この研究結果から、秋はとくに注意すべき季節であり、高齢猫ほど注意が必要ということが分かります。

参考:Seasonality and age-related propensity of cats to occur bacterial urocystitis

対策:トイレの回数や尿の色をチェック

秋から冬にかけては「トイレの回数が減った」「尿の色が濃い」「トイレの時間が長い」といった変化が見られることがあります。これらは泌尿器疾患のサインかもしれません。早期発見のためには、普段からトイレの様子をよく観察し、異変があれば早めに動物病院を受診しましょう。

秋の体調トラブル③換毛期による毛球症

秋は換毛期

秋は冬毛に生え変わる換毛期です。猫はグルーミングによって大量の毛を飲み込みますが、十分に毛を排出できないと胃腸に毛がたまってしまい、毛球症を起こすことがあります。毛球症が進行すると嘔吐や便秘、食欲不振を引き起こすため、こまめなブラッシングが重要です。

とくにラグドールメインクーンサイベリアンなどの長毛種は毛玉ができやすいため、ブラシやコームを使い分けてケアするのが理想的です。

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対策:食事で毛球を排出しやすくする

毛球ケア用のキャットフードやサプリメントには食物繊維が豊富に含まれており、飲み込んだ毛を便とともに排出しやすくします。

ブラッシング習慣と食事ケアを組み合わせることで、毛球症の予防ができます

秋の体調トラブル④アレルギー

花粉・ダニ・ハウスダストへの注意

秋はブタクサやヨモギなどの秋花粉が飛散し、皮膚や呼吸器に刺激を与えることがあります。とくにアレルギー体質の猫は顔や首回りを掻いたり、グルーミングが増えるなどの行動が見られることがあります。

また、夏に増えたダニやノミの死骸、ハウスダストが室内に残ることも、皮膚炎の原因となります。

対策:環境を清潔に保つ

こうした刺激を防ぐためには、寝具やカーテンを定期的に洗う、掃除機をこまめにかける、空気清浄機を活用するなど、環境を清潔に保つことが重要です。

秋の体調トラブル⑤肥満になりやすい

秋は肥満になりやすい季節

気温が下がると基礎代謝が落ちたり、室内でのんびり過ごす時間が増えて運動量も減るため、肥満になりやすい季節でもあります。体重が増えると糖尿病関節炎心臓病などのリスクが高まります。

対策:肥満は病気のリスクを高める

秋は、太り始めのサインを見逃さないことが重要です。

理想体重を維持するには、定期的な体重測定と、キャットフードの適正給与量とカロリー計算が欠かせません。食事の量やおやつの回数を見直し、適度な遊び時間を確保しましょう。キャットタワーやおもちゃで上下運動を促すと、ストレス解消にもなります。

まとめ

  • 秋は寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすい
  • 水分不足から膀胱炎や尿路結石が増える季節
  • 換毛期の抜け毛で毛球症が起こりやすい
  • 花粉やダニなどの季節アレルギーで皮膚トラブルが出やすい
  • 食欲増加と運動不足による体重増加に注意

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。