

秋は人にとって快適ですが、昼と夜の寒暖差に加えて、水を飲む量が減ったり、換毛期で毛を飲み込みすぎたりと、体調を崩す猫が増える季節なんです。
秋に猫が気を付けるべき体調トラブルと対策を解説します。
秋の体調トラブル①自律神経の乱れ
寒暖差によるストレスと体調不良
秋は昼間と夜の気温差が大きいため、自律神経が乱れやすい季節です。猫は人よりも気温の変化に敏感で、体が冷えることで食欲不振や下痢、嘔吐などの症状を起こすことがあります。
とくに短毛種や高齢猫は体温を保ちにくいため、毛布やフリース素材のベッドを用意し、夜間は床からの冷気を防ぐ工夫をしましょう。
対策:快適な室温と湿度の管理
猫が快適に過ごせる室温や湿度は、人間とほとんど変わりません。ただし個体差はあるため、猫の様子の観察が重要となります。
一般的に、室温が20℃を下回ると猫は肌寒さを感じやすくなるため、暖房を軽く入れて室内を快適に保つと良いでしょう。
猫は本能的に居心地の良い場所を選んで移動しますが、冷えに弱い子猫や高齢猫、持病のある猫などは体温調節が苦手です。こうした猫には、秋の段階でもブランケットやペット用ヒーターなどで暖を取れる環境を整えてあげることが大切です。
- 室温:22〜26℃
- 湿度:40〜60%
秋の体調トラブル②泌尿器疾患
水分不足が招く膀胱炎や尿路結石
気温が下がると水を飲む量が減り、尿が濃くなって膀胱炎や尿路結石が発生しやすくなります。とくにオス猫は尿道が細くて長いため、尿路閉塞を起こすと命に関わることもあります。
いつでも新鮮な水を飲めるように、数ヶ所に水皿を置く、または循環式の給水器を活用するなど、飲水環境を工夫しましょう。ウェットフードを増やすのも効果的です。
秋は泌尿器疾患が増えるという研究結果
ある研究では、2023年6月~2024年5月までの1年間に、細菌性尿路膀胱炎と診断された34匹の猫の尿を調べたところ、秋に発症が集中していることが分かりました。
- 全症例の55.9%が秋(9~11月)に発症
- そのうち29.4%が11月に発症
- 春の発生率はわずか5.9%と秋に比べて少ない
- 高齢猫での発症率が44.1%と高い
この研究結果から、秋はとくに注意すべき季節であり、高齢猫ほど注意が必要ということが分かります。
参考:Seasonality and age-related propensity of cats to occur bacterial urocystitis
対策:トイレの回数や尿の色をチェック
秋から冬にかけては「トイレの回数が減った」「尿の色が濃い」「トイレの時間が長い」といった変化が見られることがあります。これらは泌尿器疾患のサインかもしれません。早期発見のためには、普段からトイレの様子をよく観察し、異変があれば早めに動物病院を受診しましょう。
秋の体調トラブル③換毛期による毛球症
秋は換毛期
秋は冬毛に生え変わる換毛期です。猫はグルーミングによって大量の毛を飲み込みますが、十分に毛を排出できないと胃腸に毛がたまってしまい、毛球症を起こすことがあります。毛球症が進行すると嘔吐や便秘、食欲不振を引き起こすため、こまめなブラッシングが重要です。
とくにラグドールやメインクーン、サイベリアンなどの長毛種は毛玉ができやすいため、ブラシやコームを使い分けてケアするのが理想的です。
対策:食事で毛球を排出しやすくする
毛球ケア用のキャットフードやサプリメントには食物繊維が豊富に含まれており、飲み込んだ毛を便とともに排出しやすくします。
ブラッシング習慣と食事ケアを組み合わせることで、毛球症の予防ができます。
秋の体調トラブル④アレルギー
花粉・ダニ・ハウスダストへの注意
秋はブタクサやヨモギなどの秋花粉が飛散し、皮膚や呼吸器に刺激を与えることがあります。とくにアレルギー体質の猫は顔や首回りを掻いたり、グルーミングが増えるなどの行動が見られることがあります。
また、夏に増えたダニやノミの死骸、ハウスダストが室内に残ることも、皮膚炎の原因となります。
対策:環境を清潔に保つ
こうした刺激を防ぐためには、寝具やカーテンを定期的に洗う、掃除機をこまめにかける、空気清浄機を活用するなど、環境を清潔に保つことが重要です。
秋の体調トラブル⑤肥満になりやすい
秋は肥満になりやすい季節
気温が下がると基礎代謝が落ちたり、室内でのんびり過ごす時間が増えて運動量も減るため、肥満になりやすい季節でもあります。体重が増えると糖尿病や関節炎、心臓病などのリスクが高まります。
対策:肥満は病気のリスクを高める
秋は、太り始めのサインを見逃さないことが重要です。
理想体重を維持するには、定期的な体重測定と、キャットフードの適正給与量とカロリー計算が欠かせません。食事の量やおやつの回数を見直し、適度な遊び時間を確保しましょう。キャットタワーやおもちゃで上下運動を促すと、ストレス解消にもなります。
まとめ
- 秋は寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすい
- 水分不足から膀胱炎や尿路結石が増える季節
- 換毛期の抜け毛で毛球症が起こりやすい
- 花粉やダニなどの季節アレルギーで皮膚トラブルが出やすい
- 食欲増加と運動不足による体重増加に注意