猫ヘルペスウイルス感染症(猫伝染性鼻気管炎)。症状と診断、検査、治療方法について解説

猫 ヘルペスウイルス

猫ヘルペスウイルス感染症(Feline herpesvirus-1)とは

猫ヘルペスウイルス感染症(FeHV-1)は、ヘルペスウイルス科の「猫ヘルペスウイルスⅠ型」を原因とする急性伝染性上部呼吸器感染症です。正式には猫伝染性鼻気管炎や猫ウイルス性鼻気管炎という病名で、「猫インフルエンザ」とも呼ばれます。

猫ヘルペスウイルス感染症は「猫伝染性呼吸器症候群」に分類されます。

猫伝染性呼吸器症候群は、猫の呼吸器系の病気のうちで最も頻繁に認められる感染症で、猫ヘルペスウイルスの単独感染、あるいは他ウイルスや細菌の混合感染によって起こり、原因となる病原体として猫ヘルペスⅠ型(ヘルペスウイルスかバリセラウイルス属)の他、猫カリシウイルスやボルでテラ・ブロンキセプティカ、クラミジアフェリスなどが知られています。

子猫に多く命に関わることもある

母子免疫の弱まる6~12週齢の子猫に多く発生します。母子免疫とは、母猫の胎盤を通して受け継いだ免疫のことで、生後徐々に失われてしまいます。

猫ヘルペスウイルス感染症は、人の風邪のような症状が見られることから油断しがちですが、放置して重症化すると命に関わる深刻な状態になることがあるので、早期に治療を行うことが大切です。

猫ヘルペルウイルスの症状

猫ヘルペスウイルスは以下の症状が見られます。

  • 鼻気管炎
  • 角結膜炎
  • 発熱
  • くしゃみ
  • 元気消失
  • 食欲不振
  • 流涎
  • 鼻汁排泄
  • 呼吸困難

呼吸器や結膜炎などが症状としてわかりやすく、重症化すると肺炎などを起こすこともあります。

また、ストレスや免疫抑制剤によって再発することがあります。

猫ヘルペスウイルスの感染経路

保菌猫の分泌物の経口摂取や飛沫感染

猫ヘルペスウイルスは、猫ヘルペスウイルスに感染した保菌猫(キャリア猫)が排出した病原体を含む分泌物を経口的に取り込んだり、くしゃみなどの飛沫によって感染します。

回復後も猫は各ウイルスや各細菌の保菌者(キャリア)となり、他の猫への感染源となることが多いので、特に集団飼育を行っている場合には注意が必要です。

猫ヘルペスウイルスは猫から人には感染しない

猫ヘルペスウイルスは人獣共通感染症ではないので、猫から人に感染することはありません。

猫ヘルペスウイルスの診断・検査方法

主に鼻炎とくしゃみを示す呼吸器疾患が多く発生した場合にはこの病気を疑います。この病気はペア血清を用いた中和試験で診断することができます。

咽頭からウイルスを分離するか、結膜塗抹からの蛍光抗体法によりウイルス特異抗原を検出することにより診断します。

猫ヘルペスウイルスの治療方法

  • 抗生剤
  • 抗ウイルス薬
  • 点眼(目薬)

猫ヘルペスの治療では、基本的に現れた症状に対して治療する「対症療法」が行われます。

主に抗生剤や抗ウイルス薬の投薬や点眼を行うのが一般的で、発熱や食欲低下などが見られる場合は輸液なども利用します。

猫ヘルペスウイルスの予防方法

予防にはワクチン接種が有効です。

  • ワクチン接種
  • キャリア猫と接触させない

ワクチン接種は年1回の追加接種を行う必要があるので、もし追加のワクチン接種が何年かできていない猫の場合、感染してしまう可能性があるので、猫ヘルペスウイルスのキャリア猫に接触させないようにすることも予防方法のひとつです。

まとめ

  • ヘルペスウイルスの感染による呼吸器感染症
  • 子猫に多く重症化すると命に関わることも
  • 鼻気管炎や角膜炎などの症状が見られる

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。