キャットフードのバリン。成長に関与し血液中の窒素バランスの調整や肝機能向上作用がある

キャットフード バリン

キャットフードのアミノ酸:バリン

バリンは、筋肉でエネルギー源となる必須アミノ酸であり、立体構造が似ているロイシンやイソロイシンとともに「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」と呼ばれています。

バリンは摂取されると、多くは筋肉へ運ばれ筋肉の運動に必要なエネルギー源として利用されるため、バリンは筋肉強化や筋疲労軽減を目的とするサプリメントにも使用されています。

筋肉はエネルギー源がなくなると筋肉自身を分解してエネルギー源として利用するようになるので、バリンなどのBCAAを摂取することは正常な筋肉量の維持や筋肉損傷を抑制するために必要です。

バリンが多く含まれる食材
  • 鶏肉
  • 牛肉
  • ピーナッツ
  • ごま
  • レンズ豆 など

バリンはタンパク質が豊富な食材に多く含まれ、特に魚や鶏肉から多く摂取できます。

猫におけるバリンの働き

  • 筋肉強化
  • 疲労回復
  • 成長促進
  • 肝機能向上
  • ハリのある皮膚

筋肉強化、筋損傷を抑制

バリンには筋肉の強化や疲労回復、成長を促進する効果があります。

バリンは細胞内外の情報伝達物質として働き、猫の筋肉や組織を構成するタンパク質合成を促進します。また、タンパク質を合成して新しい筋肉を生み出すだけでなく、タンパク質が分解されることを抑制することで、もともとある筋肉を保ちます。

肝機能向上作用

バリンは血中のアルブミン量を増やし、肝臓のエネルギーを補うことで、肝機能を向上させる働きがあります。

また、BCAAには筋肉で代謝される時にアンモニアを解毒する働きがあります。アンモニアは肝臓で解毒を行っているので、BCAAが一部のアンモニアの解毒を肩代わりすることで、肝臓にかかる負担が減ります。

血液中のアルブミン量が増える作用によって、肝機能を向上させるだけでなく肝硬変の改善効果も期待されています。

ハリのある若々しい皮膚を保つ

バリンはエラスチンというコラーゲン繊維を支える弾性繊維を構成する栄養素です。

シニア期に向けて若々しくハリのある皮膚を保つためにも、エラスチンを構成するバリンは必要になります。

キャットフードに必要なバリンの量・基準

キャットフード バリン画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインによると、ドライタイプのキャットフードのバリンの最低基準は、幼猫・成長期の猫用フードが0.64%、成猫期の猫用フードの最低基準が0.62%と定められています。

成長や筋肉の合成に関与する栄養素になるので、成長期の幼猫用フードでは0.02%ほど最低基準が高く設定されているようです。

最大値(上限値)の設定はありません。

バリンの欠乏/過剰摂取

欠乏症

  • 筋肉量減少
  • 体重減少
  • 被毛のパサつき
  • 皮膚の乾燥・ひび割れ

過剰摂取

過剰摂取による問題は報告されていません。

まとめ

  • 分岐鎖アミノ酸(BCAA)のひとつ
  • 筋肉の強化や維持に重要
  • アンモニアの解毒によって肝機能の向上作用

キャットフードのアミノ酸。必須アミノ酸の種類と働き、制限アミノ酸の摂取が重要!

2019年4月23日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。