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キャットフードの原材料:アンチョビ(anchovies)
カタクチイワシ
アンチョビとは、主にカタクチイワシを塩漬けし、熟成させて作られる加工食品です。スーパーやコンビニなどで缶詰や瓶詰のものが販売され、独特の風味が料理のアクセントとして人気です。
カタクチイワシは体長10~15cmほどの小型の青魚で、世界中の温暖な海域に生息し、日本では主に太平洋沿岸で漁獲されます。栄養面では良質なタンパク質やオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)、カルシウムなどが豊富で、健康維持や生活習慣病の予防につながります。
キャットフードの原材料としても使用され、猫に必要な栄養素を補える一方、塩分や加工方法の管理が重要とされています。
キャットフードに使用されるのは缶詰ではない
無塩または低塩、乾燥、冷凍されたもの
アンチョビと聞くと缶詰のものをイメージしやすいですが、キャットフードの原材料として使用されるアンチョビは通常、塩漬けされた缶詰の形ではありません。
キャットフードの原材料として使用されるアンチョビは無塩または低塩で加工されたものや、乾燥・冷凍された状態のものが一般的です。
なぜ「アンチョビ」と記載?
では、なぜキャットフードの原材料欄には「アンチョビ」と記載されるのでしょうか?
キャットフードの製造過程では、塩分や添加物を除去した状態のカタクチイワシが使用されています。ただし、ペットフード業界では「アンチョビ」という表記がそのまま使われることが多く、これは原料の元になっている魚種をわかりやすく伝えるための慣習ではないかと考えられます。
また、「アンチョビ」と記載することで風味や嗜好性を高める効果があることをアピールすることができます。実際には塩分が調整されているため安全ですが、「アンチョビ」という言葉には猫が好む魚の香りや味を強調するイメージ効果があります。
メーカーによっては、HPなどで「アンチョビは塩漬けされた加工品ではありません」と記載されています。
アンチョビが原材料のキャットフード例
メインというよりは補助役
アンチョビはさまざまなドッグフードの原材料で使用されていますが、その多くは他の原材料の補助役として使用されることが多くみられます。
アンチョビは漁獲量や加工コストの影響でチキンやサーモンと比較して価格が高くなる傾向にあるため、他の肉や魚を主要なタンパク源としてアンチョビは補助役として使用されます。
そんな中でも、エルモの「ビーワイルドアンチョビ」はアンチョビをメインの原材料している珍しいメーカーです。
アンチョビが原材料のキャットフード例
原材料欄にはアンチョビ、アンチョビミール、アンチョビオイルなどと表記されています。
- エルモ ビーワイルドアンチョビ
- ボナシーボ 成猫用ドライフード チキン・アンチョビ&ライス
- kit cat キットキャット ツナ&アンチョビ
- FORZA10 メンテナンス缶 マグロ&アンチョビ
- フィッシュ4キャット キャットフード サバ&アンチョビ
アンチョビをキャットフードに配合するメリット
缶詰/アンチョビ100gあたりの栄養素 | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 157 | kcal | |
タンパク質 | 24.2 | g | |
脂質 | 6.8 | g | |
食塩相当量 | 13.1 | g | |
ミネラル | カリウム | 140 | mg |
カルシウム | 150 | mg | |
リン | 180 | mg | |
不飽和脂肪酸 | α-リノレン酸 | 32.0 | mg |
EPA | 140.0 | mg | |
DHA | 580.0 | mg | |
必須アミノ酸 | イソロイシン | 1300 | mg |
ロイシン | 2100 | mg | |
リジン | 2100 | mg | |
メリオニン | 810 | mg | |
フェニルアラニン | 1200 | mg | |
トレオニン | 1300 | mg | |
トリプトファン | 400 | mg | |
バリン | 1500 | mg | |
ヒスチジン | 850 | mg | |
アルギニン | 1400 | mg |
必須アミノ酸がバランスよく含まれている
アンチョビは良質な動物性タンパク質を豊富に含む食品で、とくに必須アミノ酸がバランスよく含まれています。そのため効率的に筋肉や臓器の修復・成長に役立ちます。また消化吸収が良いのも特徴です。
とくに猫は完全肉食動物であるため、必須アミノ酸がバランスよくそろった高品質な動物性タンパク質が必要不可欠です。
運動量が多い成猫や、運動や遊びが好きな猫には理想的といえます。
オメガ3脂肪酸が豊富
アンチョビには、魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸の一種であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。
DHAは脳や神経系の発達に重要で、視覚機能の向上や認知機能の維持に寄与します。EPAは抗炎症作用があり、関節炎の緩和、心血管系の健康促進、免疫機能の改善に役立ちます。
DHAやEPAは猫の体内で十分に生成されないため、食事から摂取が必要です。
嗜好性の向上
猫は魚特有の香りを好む傾向にあるため、強い旨味と塩味を持つアンチョビは猫の食欲を刺激し、食いつきを良くする効果が期待されます。
またチキンやビーフをメインの原材料のキャットフードとは異なる味わいが加わり、猫の食事への興味を引き出します。
アンチョビを使用する際の注意点
重金属汚染のリスク
アンチョビは小型の魚であるため、マグロやサバのように重金属(とくに水銀)の蓄積が少ないとされていますが、完全にリスクがないわけではありません。品質管理を徹底し、安全な原材料を選ぶことが重要です。
市販のアンチョビは与えない
市販のアンチョビは通常、保存や味付けのために塩漬けされています。この高い塩分量は猫にとって有害となり、過剰な塩分摂取によって塩中毒や高血圧、腎疾患のリスクを高めてしまいます。
また市販のアンチョビには塩分以外にも、にんにくやタマネギなどのスパイスが含まれている場合があります。これらは猫にとって有害で、とくににんにくや玉ねぎは中毒症状を引き起こす原因となります。
まとめ
- キャットフードに配合されるアンチョビは缶詰ではない
- アンチョビは必須アミノ酸がバランスよく含まれている
- オメガ3脂肪酸が豊富で、あらゆる健康効果が高い
- 市販のアンチョビは与えてはいけない