

そうですね。実は猫の腸内にも人と同じように善玉菌と悪玉菌がいて、そのバランスが崩れると便通や免疫に影響が出ることがあるんです。
今回はプロバイオティクスの働きや健康効果、注意点を解説します。
プロバイオティクスとは?
腸内のバランスを整える“生きた菌”
プロバイオティクス(probiotics)とは、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されています。
有名なのが乳酸菌、ビフィズス菌、フェカリス菌です。この他にプロバイオティクスとして考えられているのは以下の条件を満たしたものです。
- 安全性が保証されている
- もともと宿主の腸内フローラの一員である
- 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
- 下部消化管で増殖可能である
- 宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる
- 食品などの形態で有効な菌数が維持できる
- 安価かつ容易に取り扱える
参考:用語集 プロバイオティクス|公益財団法人 腸内細菌学会
プレバイオティクスとの違いとは?
似たような言葉に「プレバイオティクス」がありますが、こちらは腸内の善玉菌のエサになる栄養素を指します。代表的なものにはオリゴ糖やイヌリン、フラクトオリゴ糖(FOS)などがあります。
つまり、
- プロバイオティクス=菌そのもの
- プレバイオティクス=菌を育てるエサ
という関係で、両者を合わせた「シンバイオティクス」という考え方もあります。
よく使われる菌の例
キャットフードやペット用サプリメントでは主に整腸作用や免疫サポートを目的として配合され、よく見られるプロバイオティクスには以下のようなものがあります。
-
Enterococcus faecium(エンテロコッカス・フェシウム)
消化吸収や便通サポート、腸内のバリア機能強化に期待 -
Lactobacillus acidophilus(ラクトバチルス・アシドフィルス)
酸に強く、胃酸に負けず腸まで届く特徴がある -
Bacillus subtilis(バチルス・サブチルス)
胞子形成菌で加熱に強く、製造工程で死滅しにくい
猫にとってプロバイオティクスは必要?
肉食動物の猫でも腸内ケアは重要
「猫は肉食動物だから腸のケアは不要」と考える飼い主も少なくありません。
確かに猫の腸は短く、発酵による栄養吸収には向いていない構造ですが、それでも腸内には善玉菌と悪玉菌が共存しており、そのバランスが健康維持に深く関わっていることが分かっています。
腸内環境の乱れは、便秘や下痢といった排便トラブルだけでなく、免疫力の低下、食欲不振、被毛の状態悪化などにもつながることがあり、近年では猫においても「腸から整えるケア」が注目されるようになっています。
プロバイオティクスの目的は、「治療」よりも「健康な状態を保つこと(予防)」です。腸内細菌のバランスが乱れる前に整えておくことで、ストレスや環境変化、季節の変わり目にも負けない強い体づくりが期待できます。
とくにプロバイオティクスが有効な猫は?
とくに、以下のような猫にはプロバイオティクスの働きが有効です。
- ストレスを感じやすい性格の猫
- 食事が変わったときに体調を崩しやすい猫
- 慢性的に便がゆるい・便秘気味
- 嘔吐しやすい
- 食欲にムラがある
- 高齢や病気による体調不安がある
健康な猫にとっても予防的な役割を果たすため、日常のキャットフード選びの選択肢として検討する価値は十分にあるでしょう。
プロバイオティクスの働き
プロバイオティクスには多くの健康効果があります。
- 腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整える
- 便秘や下痢などの排便トラブルを緩和・予防
- 有害な悪玉菌の繁殖を抑え、消化管の健康を保つ
- 腸管免疫を活性化させて、全身の免疫力をサポート
- ストレスや環境変化による消化器不調を軽減
- 抗生物質によって乱れた腸内細菌の再建を促す
- 老猫や病後の猫の体力・回復力維持を助ける
- 被毛のツヤや肌の調子を整え、皮膚の健康維持に寄与
免疫機能のサポート
腸には免疫細胞の約7割が集まっているといわれ、腸内環境の良し悪しが全身の免疫状態に影響します。プロバイオティクスを与えることで、自然免疫を活性化し、病気への抵抗力を高める効果が期待できます。
また、「腸内フローラ×健康」に関する調査によると、犬の腸内環境の多様性が高いほど健康度が高いことが分かりました。これは犬による研究ですが、猫にも同様の健康効果があると考えられます。
引用画像:犬の腸内環境が多様なほど、健康度が高いことが明らかに!|アニコムのデータをもとに作成
まとめ
- プロバイオティクスは、猫の腸内環境を整える善玉菌のこと
- プロバイオティクスは便通や免疫機能のサポートに有効
- 菌の種類や明記された配合量を確認することが重要