キャットフードのアーティチョーク。ビタミンCや食物繊維が豊富!アレルギーの危険性は?

キャットフードのアーティチョーク。ビタミンCや食物繊維が豊富!アレルギーの危険性は?

キャットフードの原材料:アーティチョーク(artichoke

アーティチョークとはキク科の多年草で、チョウセンアザミともよばれます。開花すると紫色の美しい花を咲かせますが、私たちが食用としているのは開花前のつぼみ(花蕾)です。

キャットフードのアーティチョーク。ビタミンCや食物繊維が豊富!アレルギーの危険性は?

主に地中海沿岸を原産とし、ヨーロッパやアメリカでは古くから食材や薬草として利用され、一般的に消費されています。日本ではあまり馴染みがありませんが、健康志向や輸入食材への関心が高まる中でスーパーマーケットや通販で手に入るようになり、少しずつ認知度が上がっています。

アーティチョークは栄養価が高く、食物繊維や抗酸化物質、ビタミンC、カリウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含みます。また、低カロリーでありながら満腹感を与える特性があり、体重管理にも適しています。

アーティチョークが原材料のキャットフード例

抽出物やエキスとの違いは?

アーティチョークはその栄養価の高さから、さまざまなキャットフードの原材料に使用されています。原材料欄にはアーティチョーク、乾燥アーティチョーク、アーティチョーク抽出物、アーティチョークエキス、アンティチョークなどさまざまな表記がされます。

アーティーチョーク抽出物アーティーチョークエキスとは、アーティチョークの栄養や有効成分を濃縮したものを指します。主にシナリンイヌリンフラボノイドルテオリンシリマリン)とよばれる成分で、これらは主にアーティチョークの葉や茎、つぼみ(花蕾)から抽出され、健康補助食品やサプリメントとして広く使用されています。

キャットフードにはアーティーチョークそのものを原材料に使用したり、抽出物やエキスとして配合している場合もあります。

ちなみにアーティチョークとアンティチョークは同じものです。日本語ではアーティチョークが一般的な呼び名として定着していますが、発音の揺れや表記の違いからアンティチョークと記載されることもあります。

また、似た名前でエルサレムアーティチョークがありますが、こちらはキク科ヒマワリ属の植物で、別名「キクイモ(菊芋)」として知られています。名前に「アーティチョーク」とありますが、一般的なアーティチョークとは異なる植物です。

アーティチョークが原材料のキャットフード例

アーティチョークの栄養や猫における健康効果

アーティチョーク/花らい/生の栄養素(100gあたり)
エネルギー39kcal
水分85.1g
タンパク質2.3g
脂質0.2g
ミネラルナトリウム21mg
カリウム430mg
カルシウム52mg
マグネシウム50mg
リン61mg
ビタミン葉酸81μg
パントテン酸0.51mg
ビタミンC15mg
食物繊維水溶性食物繊維6.1g
不溶性食物繊維2.6g

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

コレステロール値を低下させる

参考、引用元画像:Beneficial effects of artichoke leaf extract supplementation on increasing HDL-cholesterol in subjects with primary mild hypercholesterolaemia

高コレステロール血症を持つ患者を対象とした⼆重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アーティーチョークの葉の抽出物を摂取させたところ、総コレステロール、低密度リポタンパク質 (LDL) コレステロール、総コレステロール/HDL 比、および LDL/HDL 比の平均変化の低下がみられたことが分かりました。

腸内環境を改善する食物繊維

◆水溶性食物繊維

アーティチョークは水溶性食物繊維が豊富でありながら不溶性食物繊維も含まれています。

アーティチョークに含まれる水溶性食物繊維の代表成分はイヌリンです。イヌリンは水に溶けてゲル状になる特性があり、腸内で善玉菌(とくにビフィズス菌)のエサとなって腸内フローラを整える働きをします。その結果、腸内の環境が改善され、便秘の解消や免疫機能の向上が期待できます。

◆不溶性食物繊維

アーティチョークには不溶性食物繊維も多く含まれており、腸内で水分を吸収して膨らむことで腸を刺激し、排便を促進します。同時に腸内の老廃物を絡め取る作用もあり、腸のデトックス効果が期待できます。また血糖値の急激な上昇を抑え、糖尿病予防に役立ちます。

強い抗酸化物質のビタミンC

猫は体内でビタミンCを合成する能力を持っていますが、病気や加齢などによって合成能力は落ちていきます。そのため、食べ物から抗酸化物質を摂取することが重要となります。

ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、アスコルビン酸ともよばれます。主に抗酸化作用を持ち、体内のフリーラジカル(活性酸素)を中和して細胞の酸化ダメージを防ぐ働きがあります。この作用により老化防止や免疫力の向上、生活習慣病の予防が期待されています。

さらに、ビタミンCはコラーゲン合成に必要不可欠です。コラーゲンは皮膚や血管、骨、筋肉などの結合組織を構成するたんぱく質で、ビタミンCが不足するとこれらの組織が弱くなり、傷の治癒が遅れたり、肌が乾燥しやすくなったりします。

また、ビタミンCは鉄の吸収を助け、貧血の予防にも役立ちます。食事中の植物性食品からの鉄分は吸収されにくいですが、ビタミンCを共に摂取することで吸収率が向上します。

シナリン

シナリンとはアーティチョークに含まれるカフェ酸誘導体の一種で、主に葉や花蕾に多く含まれるポリフェノール成分です。とくに肝臓の機能をサポートすることで知られ、古くから肝臓保護作用や消化促進作用が期待されてきました。

シナリンの主な働きとしては、胆汁の分泌促進が挙げられます。胆汁は脂肪の消化に不可欠な物質であり、シナリンはその分泌を助けることで食後の脂肪の消化をスムーズにし、胃もたれや消化不良を軽減します。

さらにシナリンは肝臓に対する解毒作用があり、アルコールや有害物質の代謝をサポートすることで肝機能を保護する効果が期待されています。

フラボノイド

フラボノイドとは抗酸化作用を持つ植物由来のポリフェノール化合物で、健康にさまざまな効果をもたらします。主なフラボノイドにはルテオリンアピゲニンが含まれています。

◆ルテオリン

ルテオリンは強力な抗酸化作用を持ち、体内のフリーラジカルを除去して細胞の酸化ダメージを防ぎます。さらに、抗炎症作用や抗アレルギー作用もあり、免疫機能の調整や炎症性疾患の緩和に寄与するとされています。

◆アピゲニン

アピゲニンは神経を保護する働きがあり、ストレスや不安を軽減する効果が期待されています。また抗がん作用も注目されており、腫瘍細胞の増殖を抑制する可能性が研究されています。

低カロリー

アーティチョークのカロリーは100gあたり39kcalと低く、体重管理が必要な猫や肥満傾向の猫に適していますまた食物繊維を多く含むため、満腹感を得ることができ、過剰な食事摂取を抑えることができます。

アーティーチョークを与える注意点

過剰摂取のリスク

キャットフードに記載の給与量以上を日常的に与えると、食物繊維が多いために下痢やガスの原因となる恐れがあります。給与量はきちんと守ることが大切です。

アレルギーの確認

アーティチョークはアレルギーを発症しにくい食材ですが、キク科の多年草なので、キクやブタクサ、マリーゴールドなどのキク科の植物にアレルギーを持っている猫は注意が必要です。

アーティーチョークを初めて与える際にはアレルギー反応が起きないかを観察し、皮膚の発疹や嘔吐、下痢などの症状がみられた場合は中止し、獣医師さんに相談しましょう。

まとめ

  • アーティチョークそのものや、抽出物・エキスとして配合される
  • コレステロール値を下げる効果がある
  • 食物繊維やビタミンCが豊富

参考:健康食品・サプリ[成分]のすべて

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。