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ロイヤルカナンは獣医師が在籍する有名ペットフードメーカーですが、キャットフードにBHAを使用していると知って、避ける飼い主さんも沢山いますね。
では、BHAは猫にとって本当に危険なのか、猫の発がん性のリスクに関する研究、見解などもご紹介していきたいと思います。
キャットフードの酸化防止剤:BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
魚介製品やラード、バター等に使われる合成酸化防止剤
BHAはキャットフードに使用される合成酸化防止剤の一つです。正式名称を「ブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole)」と言います。
食品添加物では「指定添加物」に登録され、魚介類やラード、バター、魚介冷凍品、魚介乾製品など、様々な動物性食品に使用されています。
キャットフードでは最も警戒される酸化防止剤のひとつ
BHAは少量で非常に高い抗酸化作用が期待できる添加物ですが、キャットフードでは危険だと認識される添加物です。平成21年施行の「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」の基準規格等でも、BHA含有量はBTH、エトキシキシンの合計量がキャットフード1gあたり150μg以下に制限されています。
キャットフードではBHTとよく併用されますが、なるべくならどちらも猫に与えたくないと考える飼い主さんが多いです。
猫にとってBHAは危険?発がん性の可能性がある
BHA入りの餌を食べたラットの前胃に発がん性が認められた
ラットによる動物実験ではBHAを2%使用した餌を食べたラットの前胃に発がん性が認められました。
ただ、ラットによる実験では使用したBHAの使用量が2%と極端に多く、また他の哺乳動物(猿や豚、犬)への実験では、BHAによる発がん性は認められていません。
このことから、猫含め、前胃を持たない動物へのBHAの影響は少ないと考えられています。
人間への発がん性の可能性がある(IARC)
しかし、IARC(国際がん研究機関)が発表している発がん性分類(発がん性に関する5段階評価)で、BHAは「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」に分類され、前胃のない人間に対しても発がん性の可能性があると評価されています。
同じ哺乳類で体の大きな人間に対して癌のリスクの可能性があるのであれば、毎日同じキャットフードを食べる体の小さな猫には、より強い発がん性や悪影響が出るのではないかという意見が出るのもうなずけます。
低容量のBHAは発がん性物質の抑制効果があるという見解も
ここで、BHAには発がん性の可能性があると言われる一方、むしろ低容量の使用であれば、BHAはすでに存在する発がん性物質の抑制効果があるという報告もされています。つまり、BHAは摂取量に気をつけることで、癌の発生原因にも、予防にもなるという考え方もあるようです。ただ猫や動物に対しても同様かについては分かりません。
また、始めにもお話した大手ロイヤルカナンでも、キャットフードやドッグフードにBHAを使用しています。ロイヤルカナンは自社で研究機関を所有しており、長年の販売実績とデータがあります。獣医師も多数在籍しており、ロイヤルカナンのキャットフードや療法食を勧める獣医師さんも多いです。このように信頼性の高いロイヤルカナンがBHAを配合しているということで、余計にBHAが安全なのか危険なのか、頭を抱えてしまう方が多いように思います。
まとめ:BHAはキャットフードに必要?不要?
当サイトの見解は「わざわざBHA使用のキャットフードを選ぶ必要はない」です
ただ、BHAが使用されているからといって、すぐに癌になれば大問題です。ですが、今のところ、BHA入りのキャットフードで、そのような報告や問題は起こっていません。少なくとも療法食のように一時的に与える分には心配はないと考えていいと思います。