キャットフードの酸化防止剤:BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
食品から工業品まで幅広く利用された酸化防止剤
BHTは、キャットフードの合成酸化防止剤の一つで、正式名称を「ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene)」といいます。
化粧品やボディソープ、医薬品、ジェット燃料、ゴム、インク、石油製品など様々な工業製品に利用されていま。また、BHTにはフリーラジカル(活性酸素)と反応して食品の酸化を遅らせる働きがあり、1947年に特許を取得後、1954年にFDA(アメリカ食品医薬品局)によって食品添加物、保存料として許可され、シリアルやチューインガム、脂質の多い食品やポテトチップスやショートニングなどのスナックやお菓子にも使用されてきました。
1970年代には食品への利用はほとんどなくなった
しかし1970年代、BHTの危険性が指摘され、アメリカでは乳幼児用食品への使用が禁止されました。自主的にBHTを控える食品会社も増え、現在ではBHTが食品に使用されることはほとんどなくなりました。
BHTが使用されなくなった分、BHTは構造が似ているBHAで代用されるようになり、キャットフードでもBHTを使った製品は非常に少なくなりました。ペットフード安全法でも、エトキシキン、BHA、BHTの合計量がペットフード1g中150μgまでと上限値が定められており、法律でもBHTの使用量が規制されています。
ただ使用量に制限が設けられているだけで配合自体は違法ではなく市販のキャットフードにもBHTは利用されることがあります。たとえばカルカンやアイムスなどのキャットフードではBHTが酸化防止剤として使用されています。
猫にBHT入りキャットフードは危険?発がん性、変異原性、催奇形性のリスク
使用料を守れば発がん性の心配はない
BHTの発がん性は、発がん性の評価を行うIARC(国際がん研究機関)を始め、ACGIH(アメリカ産業衛生専門家会議)やNTP(米国国家毒性プログラム)、日本産業衛生学会、DFG(ドイツ研究振興協会)では認められていません。このことから現時点では、キャットフードへの上限値、使用量を守っていればBHTに発がん性の心配はないと言えます。
変異原性や生殖能、胎児への悪影響
BHTの変異原性や胎児への影響については、マウス及びラットのいずれの試験でも陰性が報告されていますが、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験では、細胞毒性濃度において陽性知見が認められており、染色体異常試験でも一部に陽性知見が示されているため、生殖能または胎児への悪影響を与える疑いが考えられます。
BHTの神経系、肺や肝臓の障害のおそれ
BHTの長期にわたる摂取は、肺や肝臓などの臓器への障害のおそれがあると報告されています。
また、神経系の障害やアレルギー体質の猫への影響も警戒されており、まだ明らかになっていないリスクや危険性も可能性として挙げられるようです。
まとめ
BHTは発がん性以外にも変異原性や遺伝子異常、肺や肝臓、神経の障害、様々な危険やリスクがあると考えられているため、同じ合成酸化防止剤でも、BHAよりさらに避けたい添加物と言えるでしょう。
- キャットフードの合成酸化防止剤の一つ
- BHTはBHAやエトキシキンとの合計量がキャットフード1g中150μgまでと制限がある
- 発がん性や変異原性、臓器や神経系障害、胎児への悪影響が疑われる
猫の健康を第一に考えるなら、わざわざBHTを使った激安フードではなく、天然由来の酸化防止剤を利用したキャットフードがおすすめです。愛猫のために、懸念される原材料や添加物を避け、健康に近づける成分を選んでいけるようになりましょう。