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猫にベジタリアンやヴィーガンを強いる危険とは
菜食フードや手作りごはん
ここ最近、話題に上がっているのが、ベジタリアン・ヴィーガンの飼い主さんが、自分の食事と同じような菜食の手作りフードを飼い猫に対して与えているという話。
またヴィーガン用の肉や魚が不使用のキャットフードも販売されています。
人の場合、雑食ですし主なエネルギーも穀物(植物)から摂取できますし、体内で合成できる成分も多いため、大きな問題はありませんが、猫にとっては、菜食生活は健康を脅かす危険があります。
なぜ猫にベジタリアンやヴィーガンは危険?
肉食の猫は”動物性”タンパク質が必要
ライオンなどの肉食獣と同じで動物の肉を食べてきた猫にとって、動物性のタンパク質は必要不可欠です。
タンパク質は犬や人間にとっても体を作るために必要な栄養素ですが、体を動かすために必要なエネルギー源は、米や小麦などの「穀物」から消化吸収することができます。
猫はエネルギー源もタンパク質
しかし猫の場合、エネルギー源は穀物からではなく動物性のタンパク質から得ています。そのため猫にとってタンパク質は、体を作るためというのはもちろんですが、エネルギー源としても大変重要な成分です。
そのため動物の肉が入っていないキャットフードは猫にとっては大問題になります。
植物性タンパク質で補えないのか?
植物性タンパク質はアンモニアを生成
そもそも菜食主義な猫はそうそういません。植物にも「植物性タンパク質」は含まれていますが、動物性タンパク質に比べて吸収率は若干劣ります。
また植物性タンパク質のデメリットとして大きいのが、分解される際に猫の体内で作り出される「アンモニア」。アンモニアは有害物質のため、無毒化するために猫の肝臓に負担がかかります。
そのため消化吸収しやすく肝臓に負担がない動物性タンパク質をメインに摂取するのが望ましいと言われています。
ベジタリアンとヴィーガンの違い
ベジタリアンとヴィーガンという言葉が出ていましたが、この二つの違い、それぞれの特徴や考え方はどうなんでしょう。
ベジタリアン(菜食主義者)
ベジタリアンとは日本語では菜食主義者と良い、植物性の食べ物のみを食べることを言います。
ただ時代の流れでベジタリアンの傾向が変わってきているところもあり、日本ベジタリアン協会の記載を見ると、現在英国では「畜肉を食べない人」をベジタリアンだと広く定義しているようです。
ベジタリアンになった人の理由の多くは、
- 健康のため
- 道徳的なことを考えた結果
- 宗教の戒律などで
このような理由で菜食生活を続けています。
ヴィーガン(完全菜食主義者)
ヴィーガンは日本語では完全菜食主義者と言われ、ベジタリアンよりも菜食生活が徹底しています。
ヴィーガニズムを忠実に守るヴィーガンは、野菜や穀物だけを食べて生活し、肉だけでなく「酪農製品」も食べません。
つまり家畜からとれる下記のような食材は口にはせず、豆乳やナッツなどで代用して生活しています。
- 牛乳
- 卵
- はちみつ
- チーズ
- バター
また蚕により作られる絹などを使わない服を選ぶ、など食べ物だけでなく身につける物にまでこだわることもあります。
ヴィーガンはベジタリアンに比べると、道徳的・倫理的な考えと意思で行っている人が多く、動物や生き物を苦しめたり殺したりする食品や物を徹底して排除する生活を目指しているようです。
穀物は少量でないと消化できない
穀物は猫の体の負担に
そしてそもそも猫は、人間や犬のように穀物を食べても沢山は消化吸収できません。
少量であれば腸の働きを活性化させる効果があるため猫が食べることに問題はありませんが、人間や犬のように主食やメインの原材料として穀物を多く与えると猫の体に負担をかけます。
猫に与えられない野菜を使ってしまう危険
猫に与えられない野菜は意外に多くあります。
食主義者の飼い主菜さんと同じような生活をすると、猫が食べられない野菜を混入させて猫の体調を悪くしたり病気にさせてしまったりする可能性もあります。
猫に与えてはいけない野菜には、
- タマネギ、ネギ(貧血)
- アボカド(痙攣、呼吸困難、嘔吐)
- ほうれん草(結石の原因)
などがあり、これらを与えると猫に()内のような症状が現れ、とても危険です。
手作りフードも与え続けるのは良いとは言えない
また菜食のキャットフードは少ないので、食事を手作りする飼い主さんも多いですが、手作りキャットフードを与え続けること自体、あまり良いとは言えません。
手作りフードで飼い主さんの愛情は猫に伝わると思いますし、猫の味覚を熟知しているなら、もしかしたら猫にとっても飼い主さんのごはんが一番美味しいと感じているかもしれません。
問題は猫に合わせた栄養バランス
しかし問題なのは、猫の体に合わせた栄養バランスをきちんと手作りフードで補えているかという点です。
猫は人間や犬などの動物に比べて、自分の体内で必要な成分を作り出すことが苦手な動物です。
ですので猫の場合は、必要な栄養素を食事の中でしっかり補う必要があるのです。
手作りフードで毎日の栄養カバーは困難
手作りフードでは猫に必要な栄養素を全てカバーするのは非常に難しく、栄養分を補おうとすると食事量もかなり多くなってしまう傾向があります。
以上のことから猫の体や健康を考えるなら、猫の本来の食生活にあった肉メインの食事を与えるべきだと言えます。