キャットフードのビオチン(ビタミンB7・H)卵白や抗生物質でビオチン欠乏を起こす

キャットフード ビオチン biotin ビタミンB7

キャットフードの栄養素:ビオチン(ビタミンB7・ビタミンH)

猫はビオチン推奨量が定められている

ビオチン(biotin)はビタミンB群の一種で、糖質・脂質・アミノ酸などエネルギー源となる栄養素の代謝に関わっています

ビタミンB7・ビタミンHと呼ばれることもありますが、健康な動物の場合、必要なビオチンの約半分以上は消化管内の細菌が合成する微生物由来のビオチンでまかなうことができるため、単に「ビオチン」と呼ばれることが多いです(ビタミン=生理機能の調節作用がある体内で合成できない必須栄養素のため)。

人や犬のビオチン欠乏症は稀ですが、猫に精製飼料で試験を実施したところ、ビオチン欠乏症として皮膚病、精神異常、無気力、成長低下が確認されたため、猫用フードではビオチンの推奨量が定められています

ただ、生の卵白にはビオチンの吸収を抑制するアビジンが含まれているので、生卵によって猫がビオチン欠乏を引き起こす場合があります。また抗生物質の服用によって、消化管内でのビオチン合成を抑制されると、ビオチンが欠乏することがあります。

ビオチン(ビタミンB7)が豊富な食材

猫におけるビオチン(ビタミンB7)の働き

脂肪酸合成・アミノ酸代謝・糖新生に関わっている

ビオチンは4種類のカルボキラーゼという酵素の補酵素として酵素反応を助ける働きがあり、猫の脂肪酸の合成やアミノ酸代謝、糖新生に関わっています。

脂肪酸の合成

ビオチンは脂肪酸合成に必要なアセチルCoAカルボキシラーゼの補酵素として作用します。

アミノ酸代謝

ビオチンは、アミノ酸の代謝に必要な3-メチルクロトノイルCoAカルボキシラーゼの補酵素として作用し、猫が生きるために必要なエネルギーを作り出す助けとなります。

糖新生

ビオチンは、糖代謝に必要なピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素として作用し、ブドウ糖を作っています。

エネルギーを作る時、筋肉細胞内では筋グリコーゲンを分解してATP(エネルギー通過)を作り出しますが、その際に副産物として「乳酸」が生み出されます。

乳酸はビオチンが補酵素となるピルビン酸カルボキシラーゼによって、肝臓や腎臓でブドウ糖に生産され、エネルギーとして再利用することができます(糖新生)

乳酸は疲労感のもととなる物質でもあるので、この働きによって猫の疲労回復も期待できます。

アトピー性皮膚炎や髪や爪への効果

ビオチンはアミノ酸から細胞を再合成するために重要な栄養素で、正常な皮膚や被毛を維持する働きがあります。

ビオチンが不足すると皮膚や被毛などに問題が生じるので、医薬品としてアトピー性皮膚炎などの治療に用いられることもあります。

糖尿病

キャットフード ビオチン画像引用元:膵β細胞と視床下部を標的としたビオチンのエピゲノム制御による2型糖尿病の発症予防|新潟県立大学教授 研究代表者 曽根英行

ビオチンは、高脂肪食負荷の早期の段階から摂食抑制と顕著な体重増加抑制を示し、高脂肪食負荷による肥満と高血糖状態への進展を抑制した。その機序としてビオチンはglucokinaseの遺伝子発現量を増加し、膵島ではIRS-2経路を介した膵島細胞増殖、視床下部ではグルコース応答性ニューロンを介した摂食抑制が示唆された。加えて、ビオチンは、高脂肪食誘導性肥満マウスにおいても脂質代謝を亢進し、顕著な体重増加抑制を示した。以上の結果から、ビオチンは膵島及び視床下部に作用して膵島機能維持、摂食抑制及び脂質代謝亢進を介して肥満を予防・改善し、2型糖尿病への進展を予防することが示唆された。

新潟県立大学教授のの研究によると、ビオチンは高脂肪食による脂質代謝を促して肥満を予防・改善し、2型糖尿病を予防すると報告しています。人の研究ですが、猫は人と同じ2型糖尿病がほとんどなので、共通している可能性は高いです(犬は先天性の1型糖尿病が多い)。

また、他の研究でも、糖尿病患者にビオチンを投与したところ、血糖値の正常化が見られ、ビオチンの投与で糖代謝が活発になり、血糖値が低下したことが報告されています。

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2018年4月10日

キャットフードに必要なビオチンの量・基準

キャットフード ビオチン画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインによると、ドライタイプのキャットフードのビオチンの最低基準は、幼猫用・成猫用とも0.07mg/kgと定められています。

最大値(上限値)の設定はありません。

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2016年11月29日

ビオチン(ビタミンB7)の欠乏/過剰摂取

欠乏症

  • 皮膚炎
  • 成長阻害
  • 奇形
  • 皮膚病
  • 精神病
  • 精神異常
  • 無気力
  • 成長低下

ビオチンの欠乏によって、猫では皮膚炎や脱毛症、口周囲の乾燥などの症状が見られ、また奇形や精神病なども発症します。

過剰摂取

  • 中毒性は低い

ビオチンの毒性は極めて低いと考えられており、猫で中毒症は知られていません。

まとめ

  • 脂質・糖質・アミノ酸代謝
  • 皮膚や被毛の健康維持
  • 糖尿病の予防と改善
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鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。