キャットフードの赤色3号(エリスロシン)。発がん性や遺伝毒性、甲状腺腫瘍や機能亢進について

キャットフードの赤色3号(エリスロシン)。発がん性や遺伝毒性、甲状腺腫瘍や機能亢進について

キャットフードの着色料:食用赤色3号(エリスロシン)

一部の国では使用が禁止

食用赤色3号(エリスロシン)は、お菓子やかまぼこ、ケチャップ、ピスタチオの殻の着色などにも使用されている合成着色料(タール色素)です。

EUやアメリカ、韓国、台湾、アジアなど日本以外の国も幅広く使用が認められていますが、ドイツやポーランドなどの一部の国では使用が禁止されています。

名前が似ているものとして、「エリスロマイシン」という抗菌薬があります。日本ではエリスロマイシンは「エリスロシン」という商品名で販売されていますが、赤色着色料のエリスロシンとは全く別物です。

赤色3号(エリスロシン)配合のキャットフード例

食用赤色3号(エリスロシン)は、一部のキャットフードでも他着色料と併用で配合されることがあります。原材料欄には、赤色3号食用赤色3号などと表記されます。

  • ペットライン キャラットミックス まぐろ仕立ての味わいブレンド
  • ペットライン 懐石 zeppin キャットフード

など

猫はキャットフードの色よりも匂いで食べ物を判断するため、合成着色料を使用しないキャットフードを選ぶことが重要となります。

食用赤色3号(エリスロシン)の猫への副作用や危険性

遺伝毒性、変異原性、DNA構造に損傷の危険性

キャットフードの赤色3号(エリスロシン)。発がん性や遺伝毒性、甲状腺腫瘍や機能亢進について引用元:HepG2 細胞に対するキサンテン系食品色素エリスロシン B の遺伝毒性および変異原性効果|国立衛生研究所

(翻訳)エリスロシン (ErB) はキサンテンの一種で、食品、医薬品、化粧品に使用される染料として米国食品医薬品局に承認されています。ErBの利用は許可されていますが、ErBは酵素およびタンパク質間相互作用の阻害剤として記載されており、下垂体および精子形成プロセスに対して有毒です。しかし、ErB の遺伝毒性と変異原性は文献的に決定的なものではありません。この研究は、アルカリ彗星アッセイを使用してこの色素の遺伝毒性を分析することを目的とし、HepG2細胞における細胞質分裂ブロック小核サイトーム (CBMN-Cyt) アッセイを使用してErB 変異原性を評価する最初の研究です。これらの細胞が選択されたのは、インビボの代謝を模倣できるフェーズ I およびフェーズ II 酵素を産生するためです。細胞を7つの濃度(0.1~70.0μg・mL(-1))のErBで処理した。その結果、最高2つの濃度で遺伝毒性が示され、6つの濃度で変異原性が示されました。さらに、小核は染色異常誘発性および異数性のプロセスによって生じるため、コメットアッセイはより感度が高く、DNA単一株の切断を検出すると考えられることが多いため、観察された損傷の原因は異数性であると考えられます。ErBは食品、化粧品、製薬業界での使用が承認されていますが、DNA構造に損傷を与えるため、慎重に使用する必要があります。

2012年10月に掲載された赤色3号(エリスロシン)に関する研究によると、赤色3号(エリスロシン)は遺伝毒性と変異原性が示され、染色体異常の誘発性DNA構造に損傷を与える可能性があると報告されています。

赤色3号(エリスロシン)はタンパク質と結合しやすい性質があることから、タンパク質である酵素やタンパク質との間の相互作用の阻害が確認されています

甲状腺機能亢進、過形成、甲状腺腫瘍の発生率の上昇

キャットフードの赤色3号(エリスロシン)。発がん性や遺伝毒性、甲状腺腫瘍や機能亢進について引用元:食用赤色3号|一般社団法人 日本医薬品添加剤協会

(一部抜粋)
【ラット 27週間反復投与毒性試験】

ラットに4.0%本色素を長期間混餌投与したときに認められる甲状腺腫瘍は、過剰なヨウ素(本色素の不純物あるいは本色素からのヨウ素代謝物質のいずれか)によって発生したのか、あるいは本色素が有する非ヨウ素関連の別の性質により発生したのかについて調べるため、試験を実施した。試験は後述のCharles River CDラット70匹(雌雄各35匹)の6投与群で行い、投与は27週間続けた。

市販本色素の4%混餌投与は甲状腺機能亢進を引き起こした。TSHおよびT4は上昇したが、T3濃度は低下した。臨床化学検査パラメータ、体重、摂餌量の変化も甲状腺機能亢進を示した。市販本色素製剤をさらに精製して遊離ヨウ素を除いても、このような作用に変化はなかった。NaIのみを含有する飼料を投与した場合には、このような反応は認められなかった。本試験では、本試験および過去の試験で認められた甲状腺の変化はTSH濃度の増加によるものであることが裏付けられた。

反復投与毒性について行われた試験では、赤色3号(エリスロシン)の投与によって、甲状腺ホルモンのうち、TSH(甲陽線刺激ホルモン)とFT4が上昇し、甲状腺機能が過剰になることが示され、甲状腺機能亢進症を引き起こすことが確認されています。

また、上記の他の試験から、ホルモン作用により甲状腺腫瘍の発生率の上昇甲状腺過形成による重量増加などが報告されています(甲状腺腫瘍については良性のみの増加)。

甲状腺機能亢進症の原因はバセドウ病?症状と治療方法

2018年9月16日

2025年アメリカが赤色3号の使用禁止を発表

2025年1月15日、米国FDAより、食品添加物「食用赤色3号」の食品への使用許可を取り消す旨の決定が行われたことが公表されました。この決定は、雄ラットの試験において発がん性が認められた報告があったことから、デラニー条項に基づく法的な措置として行われたとされています。米国における食用赤色3号が使用された食品の切り替えについては、2027年1月15日まで経過措置期間が設けられています。

引用元:食用赤色3号のQ&A|消費者庁

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、動物実験において赤色3号が甲状腺腫瘍を引き起こす可能性が指摘されたことから、食品における食用赤色3号(エリスロシン)の使用を禁止すると発表しました

日本や欧州では依然として使用が認められていることから、安全性を巡る国際的な基準の違いが浮き彫りになっています。

まとめ

  • 赤色合成着色料
  • お菓子やかまぼこ、ケチャップ、またピスタチオの殻の着色などにも使用
  • 甲状腺腫瘍や過形成、機能亢進などが確認されている
  • 遺伝毒性や変異原性も報告
  • 2025年1月アメリカ食品医薬品局が食品への赤色3号の使用禁止を発表

キャットフードの合成着色料とは?発がん性や遺伝毒性、猫への危険性を解説

2016年12月5日

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。