キャットフードのBSE問題。狂牛病の原因と感染経路、現在も牛肉や肉骨粉は危険?

BSE キャットフード 狂牛病

BSE(狂牛病)とは

牛の脳組織を破壊する伝染病

狂牛病(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)とは「プリオン病」とも呼ばれる牛の伝染病で、異常に構造変化したタンパク質によって引き起こされます。

1986年にイギリスでBSE(狂牛病)が発見され、翌年にはヨーロッパ全土で、2001年には日本、2003年にはアメリカでBSE感染牛が確認され、2000年代初頭からBSE(狂牛病)は世界的に社会問題として認識され、食品を始め、ペットフードや家畜用肥料などで対策がとられるようになりました。

BSEの症状と潜伏期間

BSEに感染すると、牛の脳は正常な組織が破壊され小さな空洞ができ、スポンジ状のようなスカスカの状態になります。

感染してすぐは目立った症状はありませんが、発症すると痙攣や体重減少、運動失調、脳の退行など中枢神経系の関連症状を引き起こします。BSE(狂牛病)は感染してから発症までに2年~8年の期間がありますが、有効な治療方法はなく、一度発症すると2週間~半年ほどで死に至ります。

BSE(狂牛病)の原因

原因物質は「異常プリオン蛋白質」

BSE(狂牛病)の原因物質は「異常プリオンタンパク質」という異常に構造が変化したタンパク質が原因で、プリオン病に感染した生体の脳や脊髄に存在します。

正常なプリオンタンパク質は健康な動物の体内にも存在し毒性はありませんが、異常プリオンタンパク質が体内に入り込むと脳に蓄積され正常なプリオンタンパク質を異常プリオンタンパク質に変えながら脳組織を破壊していきます。

BSE(狂牛病)の感染経路

感染動物の脳や脊髄入り飼料から

BSE(狂牛病)の感染源は、海綿状脳症に感染した動物の脳や脊髄を使用した飼料からだと言われています。イギリスで感染した家畜牛の飼料も、海綿状脳症に感染したヒツジの脳や脊髄の肉骨粉が使用されていたため、これが原因でBSE感染したというのが有力な説です。

異常プリオンタンパク質は体内では特定部位(頭部・脊髄・脊柱・扁桃・回腸遠位部)にたまるため、この部位を食べることでBSEに感染します。家畜用飼料には、人が食べる部分を除いた脳、脊髄、骨、内臓、神経組織など特定部位が多く含まれる部分が利用されているため、感染拡大が広がったと考えられます。

空気感染や通常の接触による感染はしない

異常プリオンタンパク質を含んだ飼料やフードが原因なので、ウイルスや細菌が原因の感染症のように空気感染や接触感染はしないとされています。

BSE(狂牛病)感染牛の肉入りキャットフードの危険性

猫も海綿状脳症(FSE)を発症する

BSE感染牛の脳や脊髄が肉骨粉や副産物に加工された原材料を含んだキャットフードを与えると、猫がネコ海綿状脳症に感染します。2000年代に狂牛病が社会問題になった時にも、BSE感染牛が使用されたキャットフードが原因と推測されるネコ海綿状脳症(FSE)感染の報告が数十例ありました。

当時は一時的に日本のペットフードで肉骨粉(動物性タンパク質)や動物性油脂などの使用が全面的に停止され、その後、輸入規制や検査態勢、輸入条件などが見直され、2003年より国内でのBSE感染牛は確認されてはいません。

停止されていた動物由来タンパク質と動物性油脂の使用も現在は農水省により許可されているので、キャットフードへの使用も認められています。

BSE(狂牛病)は高温加熱しても死滅しない

BSEの恐ろしいのは、高温の加熱処理などを行っても死滅しない点です。通常キャットフードは高温で長時間加熱するため細菌やウイルスが含まれていても死滅して安全な状態になりますが、BSEの原因物質はタンパク質なので、加熱してもウイルスや細菌のように死滅しません。

また、異常タンパク質の構造的に非常に安定しているため、体内に入ったりキャットフードの製造過程の中で、様々な加工をされても構造を変化させず、様々な動物に伝達されてしまう手強さがあります。

現在、輸入規制や検査などが強化されたこともあり、キャットフードにBSEに感染した動物の組織が入り込む可能性は限りなく低いですが、異常プリオンタンパク質を始め、危険性のある物質が紛れ込む危険のある曖昧な動物組織を利用した原材料(肉骨粉、副産物、ミートミールなど)については今も警戒されています。

BSE(狂牛病)発生例が報告されている国

以下の国では国産牛にBSEの発生例が確認されています。

  • イギリス
  • アイルランド
  • ポルトガル
  • フラン ス
  • スペイン
  • スイス
  • ドイツ
  • イタリア
  • ベルギー
  • オランダ
  • ポーランド
  • チェコ
  • スロバキア
  • デンマーク
  • カナダ
  • スロベニア
  • オーストリア
  • ルクセンブルグ
  • アメリカ
  • リヒテンシュタイン
  • フィンランド
  • ギリシャ
  • イスラエル
  • スウェーデン
  • ブラジル
  • ルーマニア
  • ノルウェー
  • 日本

また、オマーン、フォークランド諸島、デンマーク、カナダ、イタリア、アゾレスではイギリスから、アメリカではカナダから輸入された牛でのBSEが発生しています。

BSE未発生国のオーストラリアやニュージーランドは、安全性を考える上でポイントの高い原産国かと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。