キャットフードの原材料:ライ麦(Rye)
ライ麦(Rye)は非常に生命力が強く丈夫な穀物で、見た目が小麦によく似ています。
劣悪な環境や生育条件の悪い場所でも丈夫に育つため、栽培されている小麦の畑の近くで雑草として生えたライ麦は、小麦と似ていたことから除去されずに育つことができました。小麦が全滅してしまった畑でもライ麦が生き残ったことをきっかけに穀物として利用されるようになったという経緯があります。
現在のライ麦の生産はドイツやロシア、ポーランドが占めています。日本ではあまり馴染みがありませんが、ドイツなどの寒冷な国でも育つことから生産量も消費量も北欧が多くなっています。
ライ麦を使用したキャットフードブランドはいくつかありますが、そこまで多くありません。
特にグレインフリーやグルテンフリーのキャットフードが増えていているため、小麦と同様にグルテンを含むライ麦は不使用にするなど避けられやすい傾向があります。
ライ麦を使用しているブランドは、ライ麦の生産量が多い国(ドイツやカナダなど)原産のキャットフードが多く、その国で馴染みやすい穀物は受け入れられやすいようです。パスタやピザが有名なイタリアでは小麦入りのフードが多く見られますし、米が主食の日本ではグレインフリーが浸透してきた今でも米を使った国産キャットフードはよく見かけます。
ライ麦の栄養素とメリット
食物繊維やビタミンB類、ミネラルが豊富
ライ麦は炭水化物源ですが、糖質以外の食物繊維やビタミンB類、ミネラルなども豊富に含まれているため、小麦に比べてヘルシーで健康的と言われています。
特に水溶性食物繊維が豊富なので、善玉菌の餌になって増殖を助け、猫の腸内環境を整える働きがあります。
グルテンはほとんど含まれない
ライ麦は小麦と似ているため、小麦と同じようにグルテンが豊富かと思われがちですが、ライ麦にグルテンはほとんど含まれません。
グルテンは、そもそもタンパク質のグルテニンやグリアジンに水が加わることで形成される成分です。小麦にはこのタンパク質が多く含まれるため、グルテンによってふっくらとした食感のパンを作ることができます。
一方、ライ麦にはグルテニンやグリアジンが含まれていないため、グルテンは形成されません。このためライ麦でつくったパンはやや硬くてしっかりした食感になります。
ただ食品やキャットフードでは、グルテンフリーと言われるものは基本的に麦とつく穀物(小麦、大麦、ライ麦など)全般を不使用にしている印象です。
ライ麦の注意点
ライ麦の交差反応
ライ麦にはグルテンこそ含まれませんが、小麦、大麦、オート麦と交差反応性があるとされているため、小麦などで不調になる場合、ライ麦でも同じような反応が出てしまうことがあります。
小麦とライ麦は見た目だけでなく、タンパク質の構造(型)も似ているため、小麦でアレルギーが発症した場合、ライ麦を食べたときにも交差反応で症状が出てしまう可能性があります。このため、小麦アレルギー、グルテン不耐症の猫にはライ麦も与えないようにしましょう。
まとめ
- 小麦に見た目やタンパク質の構造がよく似ている
- 非常に丈夫な穀物
- ドイツや北欧のフードに多い
- 食物繊維やビタミンB類、ミネラルが豊富
- グルテンはほとんど含まれていない
- ただし小麦や大麦と交差反応が出る可能性がある