癌の猫に与えるべきキャットフードと栄養。体の味方になる成分、癌の味方になる成分を解説。

猫 ガン キャットフード
鈴木さん
癌になった時の療法食ってあまり聞かないですよね。
猫田
そうですね。尿路結石や糖尿病、アレルギーの療法食はよく聞きますが、癌用の療法食は他の療法食に比べて少ないです。
鈴木さん
では猫が癌になってしまったら、どんな食事を与えればいいんでしょうか…?

猫が癌になったら栄養治療が重要

癌に負けない体を維持

猫が癌になってしまった場合、癌によって引き起こされる栄養失調や衰弱(癌性悪液質)への対策が重要だと言われています。

悪液質が進行すると、食欲不振や栄養吸収量の低下によって栄養失調に陥り、筋肉も減って免疫力や体力も低下します。そのため癌が進行していなくても、癌性悪液質によって猫の体の衰弱が進んだ場合、回復できないまま亡くなることもあります。

つまり癌の治療には、癌そのものの治療よりも癌に負けないための栄養治療が大切ということです。

癌の猫の食事は低糖質・高脂質・タンパク質が適度に含まれたキャットフード

癌の猫に適した食事

この点においてキャットフードの栄養素を考える時に特に重要になるのが、エネルギー源となるタンパク質・脂質・炭水化物の栄養素です。

癌になった場合、この中で体の味方になる栄養素と、反対に癌細胞の味方になってしまう栄養素を勉強しましょう。

糖質(炭水化物)は癌細胞のエサになる

炭水化物の摂取は避けたい

糖質は癌細胞が大好物の栄養素です。癌(悪性腫瘍)と診断された猫には糖質が少ないキャットフードを与えましょう。

糖質は癌細胞にとって利用しやすい栄養素ですが、猫にとって利用性は高くありません。そのため癌になった猫に対して炭水化物や糖質は、癌細胞にエサをやっているようなものとも言えます。

炭水化物の中でも特に単糖(ブドウ糖など)は癌細胞に利用されやすいので、すでに分解されて利用されやすい形になっている糖質は避けましょう。

人の場合、末期ガン患者の8割が改善した

「がん細胞は炭水化物から合成されるブドウ糖を栄養源としています。しかも正常細胞の3~8倍のブドウ糖が必要。ならば、それを断つことでがんの進行を抑制できないかと考え、2015年1月に研究を開始しました。

19人の末期がん患者に抗がん剤などの既存の治療と、糖質制限による食事療法を3か月続けたところ、予想以上の効果が出た。がんの症状が消失した完全寛解が5人、がんが30%以上消失した部分奏効が2人、進行を制御した例が8人、一方で病状が悪化した例は3人という結果でした。完全寛解率28%、部分奏効や進行制御も含めた病勢コントロール率(治療効果のあった患者割合)は実に83%に達しました。

引用元:糖質制限 – NEWSポストセブン

猫ではありませんが、多摩南部地域病院外科医の古川健司氏(医学博士)が人の患者に対して糖質制限の食事療法を行ったところ、8割の患者に改善が見られたという研究結果も発表されています。

脂質は癌細胞のエサになりにくい

脂質は積極的に摂取したい

エネルギー源となる栄養素の中で、脂質だけは癌細胞のエサになりにくい栄養素です。そのため癌になった猫は脂質を主なエネルギー源とするのが良いと言われています。

脂質は癌細胞を利用することが苦手なので、猫のエネルギー源を脂質でまかなうことができれば、理屈では癌細胞を兵糧攻めにすることができます。

癌の転移や成長を促進する脂肪酸もある

ですが脂質にも体の味方となる脂肪酸と、癌細胞の味方となる脂肪酸があるので、一概に脂質のすべてが癌に良いとは言えません。

たとえば、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA等)は、抗腫瘍作用や抗転移作用、抗炎症作用など体の味方となる働きがありますが、オメガ6脂肪酸に分類されるリノール酸やγリノレン酸は癌細胞の成長や転移を促進してしまう作用があります。

このように脂質に含まれる成分でも、その種類によって体と癌細胞どっちの味方になるのか変わってくるので、オメガ脂肪酸の%も確認しておくといいでしょう。

脂質は酸化して発がん性物質を発生させる

また大前提として脂質は酸化しやすく酸化することで発がん性物質がつくられてしまうことも忘れてはいけません。

そのため単に脂質だけが多ければいいというわけではなく、脂質が多ければその分、酸化を防止するためのビタミンEや酸化防止剤が配合されている必要があります。

タンパク質は体に必要だが癌細胞のエサにもなる

体にも癌細胞にも必要な栄養素

タンパク質もまた糖質と同じで癌細胞のエサとして好まれる栄養素です。

ただタンパク質を炭水化物のようにガツンと減らせばいいというわけではありません。摂取するタンパク質が少なくなれば、癌細胞は猫の体からアミノ酸を奪い取っていきます

すると体内のアミノ酸は癌細胞にどんどん奪われ、さらにタンパク質量も少なくなれば、どんどん猫の体は消耗し抵抗力や治癒力が低下していきます。

多すぎるタンパク質も問題

ですが、多すぎるタンパク質もそれはそれで問題です。過剰なタンパク質は癌細胞の成長を推し進めてしまいます。

そのためタンパク質は適度な中程度の量を目標に摂取することが大切と言われます。

癌になった猫のキャットフード選びのまとめ

猫田

今回は癌になった猫のキャットフード選びについてまとめてきました。今一度復習してみましょう。

  • 糖質(炭水化物)は癌細胞のエサになる
  • 脂質は癌細胞が苦手な栄養素
  • タンパク質は体に必要だが癌細胞のエサにもなる
  • オメガ3は体の味方
  • オメガ6は癌細胞の味方
鈴木さん
癌細胞が好む栄養素と苦手な栄養素をおされることが大切なんですね。
猫田
そうですね。獣医さんが進める特別療法食などがあれば、それを与えるのが一番かと思いますが、自分でも調べて確かめたいという方は参考に成分や原材料をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。