キャットフードのクランベリー。キナ酸やプロアントシアニジンの尿路結石への効果と働き

クランベリー キャットフード
鈴木さん
クランベリーが配合されたキャットフードを見かけますが、猫にとってクランベリーってそんなに良いんですか?
猫田
クランベリーは猫がなりやすい尿路結石(ストルバイト結石)への効果が期待できるので、キャットフードでは特に注目されていますね。

キャットフードの原材料:クランベリー

クランベリーは、ベリー類の中でも特に酸味が強い果物で日本では「ツルコケモモ」といいます。赤く鮮やかな実が特徴で熟していくと深い赤に実の色が変化していきます。

北半球の寒い地域でよく見られ日本では生の状態で販売されていることは稀です。そのまま食べると酸っぱいため、甘く煮てジャムやお菓子にしたり、砂糖などを加えてジュースなど加工品が流通しています。

キャットフードでもクランベリーが使われることは多いですが、尿路結石対策のサプリメントにも配合されています。

猫におけるクランベリーの栄養素とメリット

キナ酸やプロアントシアニジン、アントシアニンが豊富

クランベリーにはアントシアニンやキナ酸、アルブチンなどが豊富に含まれています。

クランベリーの栄養素として特に注目されているのが、キナ酸とプロアントシアニジンです。

タンパク質0.46g
脂質0.13g
食物繊維3.6g
灰分全体0.12g
カリウム80mg
ビタミンビタミンA38μg
ビタミンC14mg
ビタミンE1.32mg
ビタミンB60.057mg

尿のpHコントロール

キナ酸は体内に入り代謝されると、安息香酸、そして馬尿酸に変化します。馬尿酸は尿pH値を弱酸性に保つpHコントロールの働きがあり、下部尿路の健康維持や尿路結石・膀胱炎予防への効果が期待されています。

ストルバイト結石は、猫の尿pHがアルカリ性に傾くと形成されるため、クランベリーを摂取し尿pHを弱酸性に保つことで結石の形成を予防し、すでにある結石を溶かすことができます。

細菌生育阻害と尿路上皮の細菌定着の抑制

キナ酸は尿酸性化することで細菌が生育しにくい環境を作ります。また、ポリフェノールのプロアントシアニジンには尿路上皮への細菌定着を抑制する働きが確認されています。この2つの要素から、クランベリーを食べることで細菌が原因の尿路結石や膀胱炎の予防効果が期待されています。

利尿作用

クランベリーには利尿作用があります。

結石症は、尿が尿管や膀胱、尿道に長く停滞していることが大きな原因なので、利尿作用によって尿の排出頻度が増えることで、物理的に結石が形成されにくい状態を維持することができます。

抗酸化作用

クランベリーを鮮やかな赤い色にしているアントシアニンはは抗酸化作用が強く、老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を抑制する働きがあります。

クランベリーを配合するデメリット

アスピリンアレルギー

猫によってはクランベリーに含まれるアスピリンにアレルギー反応を示す場合があります。

数は多くありませんが、果物でもアレルギー反応を示すことがあるので、サプリメントなど与える際は始めは少なめに与えることを心がけるといいでしょう。

シュウ酸カルシウムの尿路結石はNG

シュウ酸カルシウム結石症になった猫にはクランベリーはNGです。

シュウ酸カルシウム結石は、尿のpHが酸性に傾き過ぎることで形成されやすくなります。食事療法で溶かすことができるストルバイト結石とは違い、シュウ酸カルシウム結石症は一度できてしまうと手術でしか取り出せません。

クランベリーによって尿pHが酸性に傾きすぎると、シュウ酸カルシウム結石症の猫の場合、悪化させてしまうので避けましょう。

キャットフードのクランベリーまとめ

猫田
以上今回はキャットフードのクランベリーについてご紹介してきました。
鈴木さん
なるほど!クランベリーは猫がかかりやすい尿路疾患の予防や対策に役立つ食材なんですね!
猫田
そうですね。ただ最近はシュウ酸カルシウム結石も非常に多くなってきているので、一概に尿路疾患にはクランベリーが良いとは判断しない方がいいでしょう。
鈴木さん
まずは尿のpH値を定期検診やpH紙で確認してから判断するべきですね!

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。