キャットフードの魚油とは?オメガ3(DHA・EPA)の効果や重金属の可能性

キャットフードの油脂とは?オメガ3(DHA・EPA)の効果や重金属の可能性

キャットフードの原材料:魚油(フィッシュオイル)

魚油(フィッシュオイル)は、不特定の魚原料から抽出される油です。魚油は猫に必要な栄養素を補うためにキャットフードやサプリメント等に利用されています。

魚油に使用される魚原料は、日本では小型サイズの大量捕獲されるイワシやサンマ等が多いですが、魚油の原産国や漁獲海域によって使用される魚の種類は様々です。

魚油には下記のような市場には出回らない魚や不可食部位が使用されます。

  • 傷がある魚
  • 規格外の小さい魚
  • 加工時に出るアラ(頭やヒレ等)

魚油の製造方法

上記のような魚原料は、よく混ぜられながらある程度水気を飛ばして、じっくりと煮詰められます。煮詰められた魚原料は圧搾され、遠心分離などで油とそれ以外(魚粉、フィッシュミール)に分けられて精製されます。

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魚油の栄養と役割

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA等)が豊富

魚油には、DHA、EPA等のオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸ですが、動物の肉の脂肪にはあまり含まれていないので、オメガ3脂肪酸を補う目的でキャットフードに魚油を使用することが多いです。

栄養成分
脂質飽和脂肪酸29.892g
不飽和脂肪酸
(一価)
33.841g
オレイン酸14.752g
不飽和脂肪酸
(多価)
31.867g
EPA(エイコサペンタエン酸)10.137g
DHA(ドコサヘキサエン酸)10.656g
コレステロール 710 mg
カロリー902kcal/100g

ちなみに植物性油にもオメガ3脂肪酸が豊富に含まれるものがありますが、猫は植物性原料のオメガ3脂肪酸の利用性は高くないため、オメガ3脂肪酸を摂取させるには魚原料からがおすすめです。

オメガ3脂肪酸の働き、効果

オメガ3脂肪酸は炎症を抑える効果があります。炎症を引き起こすオメガ6脂肪酸とバランスよく摂取することで、皮膚や被毛の健康を維持します。

また、オメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)には、血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させる作用があり、血液の循環をよくして動脈硬化、心疾患、ガンなどの予防効果が期待されています。

さたにDHAには脳の細胞を活性化し、脳細胞の情報伝達を活発にする効果があるため、猫の認知症予防も期待されています。

魚油の注意点と危険性

重金属(ヒ素や水銀)が多く含まれる?

魚にはヒ素や水銀、鉛などの重金属が含まれる可能性があり、魚油のように様々な魚を使用した原材料にも重金属がたくさん含まれてしまうのではないかと心配される方もいるかもしれません。

まずペットフード安全法の成分規格で、ヒ素などの重金属には上限値が定められているため、キャットフードの魚油によるヒ素の過剰摂取については心配いらないかと思います。

ペットフード安全法出典:ペットフード安全法 成分規格 環境省

次に水銀ですが、水銀濃度については法律で規制がないため、多く含まれてしまう可能性はありますが、水銀はマグロやカツオなど大型の魚に多く蓄積されるため、魚油によく使用される小型の魚に関して水銀の蓄積はそこまで心配ないと予測できます。

ただ国や地域によっては大型の魚のアラをメインに魚油を製造している業者もあるかもしれませんので、その点についてはわかりません。

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キャットフードの魚油まとめ

猫田

キャットフードに使用される魚油についてお話してきました。魚は猫のアレルゲンになりやすい原材料の一つですが、基本的にほぼ脂質でアレルギーの原因となるタンパク質はほとんど含まれていません。

ただしペットフード(飼料用)の魚油の製造については、しっかり精製が行われているか微妙なところなので、魚アレルギーがある猫は一応注意した方がいいかもしれません。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。