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韓国の動物愛護やペットフードに関する法律
韓国では犬の飼育率が非常に高い傾向にありますが、近年は猫カフェや猫グッズなどが増え、猫の人気が急上昇しています。飼育率も今後高くなっていくことが予想されます。
韓国のペットフードに関する法律
韓国ではペットフード専用の法律はありませんが、食品衛生法、動物用飼料の両方の法律で、ペットフードが食品と飼料の一部として法規制の対象となっています。
- 動物用飼料の管理に関する法律(The Act on the Management of Animal Feed)
- 動物用飼料添加物の使用制限等に関する法律(The Act on the Limitation of Use of Feed Additives for Animals)
- 食品衛生法(Food Sanitation Act)
韓国の動物愛護に関する法律
- 動物保護法(The Animal Protection Act)
- 動物実験の倫理と手順に関する法律(The Act on the Management and Welfare of Animals Used for Experimental and Other Scientific Purposes)
- 飼育動物管理法(The Act on the Management and Use of Livestock and Their Products)
韓国のペットフードが避けられる理由
衛生管理状況の問題と細菌汚染の心配
韓国において、製造環境や衛生面を心配される声が多く聞かれます。厚生労働省が公表している日本に輸入された韓国産製品の違反事例を見ても、韓国は大腸菌、細菌数における成分規格不適合による違反例が最も多くなっています。2022年2月には、キムチを製造する韓国政府指定の食品企業で衛生管理状況が問題となりました。
このことから、韓国ではペットフードが食品の一部として規制はされているものの、食品もペットフードも衛生管理は同等にそこまで高くない水準と考えられています。
中国産・北朝鮮産の原材料が使用される心配
また、韓国は中国や北朝鮮と隣り合っているため、北朝鮮産・中国産の原材料を輸入して韓国でペットフードに加工し販売されるリスクを考える方もいるかもしれません。
ペットフードには最終加工の国の表示が義務づけられていますが、原材料一つ一つの原産国の記載は必要なく、キャットフードの原材料はどこで生産されたのか確かめることはできません。
原材料の生産国がわからないのはどのキャットフードにも言えることですが、韓国の位置を考えると、陸続きの隣国からの輸入が最も低コストで効率の良い調達方法となります。
韓国では犬肉を食べる文化が現在も残っている
韓国では犬の肉を食べる文化があり2007年時点で韓国で飼育されている犬全体の77%が食用犬という事実があります。食肉となった犬の中にはかつて人間のペットだった犬もいると報告されています。
下記は忠清大学食品栄養学部 安龍根氏によって書かれ、2010年に韓国食品栄養学会誌で発表されたものです。
引用元:犬肉を食べることが衛生環境と食品廃棄物の消費に及ぼす影響
2007年時点で韓国で飼育されている犬の総数は1,917,709匹であり、そのうち77%に当たる1,476,776匹が食用犬でした。犬肉は、朝鮮王朝、大韓帝国時代、日本統治時代から現在の韓国において食用として合法化されてきました。犬は家畜及びその製品の処理及び廃棄の規則施行令第2条に含まれていましたが、1979年1月末までに農林水産部長官の第3,005号通知(1979年2月1日発効)によって削除され、その結果、犬は屠畜場で屠殺されるべき義務が無効になりました。したがって、犬の乱獲が促進されました。実際には、犬の屠殺を禁止するための新法は合法化されていませんでした。屠殺された食用犬の廃棄量は年間7,282トンであり、乱獲された犬の廃棄物の大部分は適切な管理や監督なしに不法に投棄されています。
近年は犬を食用ではなく愛玩動物・ペットとして大切に育てる世帯が増え、特に若い世代からの犬肉消費に対する否定的な意見が高まったことから、犬肉の消費を禁止する動きも出ていますが、韓国での犬食の歴史は長く、肯定的な意見もあるようです。
韓国政府では食用犬の飼育場や屠殺場、処理場の閉鎖などをの政策を推進し、犬肉の消費量も徐々に減ってはいるものの、完全に規制され、なくなったとは言えません。
<2023年8月2日付 ニュース>韓国で鳥インフルエンザ抗原が検出されたキャットフードへ回収命令
引用元:高病原性鳥インフルエンザ H5抗原が検出されたキャットフードの回収情報-韓国・情報提供-|FAMIC(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)
8月2日、農林畜産食品部はソウル市冠岳区所在の猫高病原性鳥インフルエンザ発生施設内で採取したキャットフード(7月5日製造製品:ウェットタイプ)試料検査で鳥インフルエンザ(H5型)抗原が確認されたと発表しました。ペットフードの製造業者(ネイチャースロウ、京畿道金浦市所在)は、2023年5月25日から殺菌等の工程を十分に行わずに製品を製造していたとのことから、当局の指示に従い該当製品の回収を行っています。なお、対象製品の日本国内での流通は確認されていませんが、念のため、ペットフードの輸入や国内流通の際には当該情報にご留意くださいますようお願いいたします。
農林水産省から韓国農林畜産食品部の令和5年8月2日付け公表の回収命令が発表されました。
7月5日に製造されたウェットフードの試料検査で、鳥インフルエンザ抗原が確認されたことを受け、殺菌などが十分に行われていなかった5月25日~8月1日までに製造された「トシルレストラン」のバランスドダック、バランスドチキンの2製品を回収・廃棄しています。
上記のネイチャースロウの製品は日本での販売はありませんが、上記商品を口にして猫が高病原性鳥インフルエンザに罹患した場合、発熱、食欲不振、呼吸器症状(呼吸困難、咳)などの症状を引き起こす可能性があります。
大手メーカーによる自社工場での管理体制なら原産国は問題はない?
韓国が問題視される理由や最新ニュース等を紹介しましたが、ロイヤルカナンの新しい韓国工場は世界で15番目の工場であり、他国の工場と同じレベルの厳しい品質管理体制の中で製造され、工場内は訪問者が製造工程を見学できるガラス張りの回廊を設けられています。このことから、衛生管理や製造環境に関する心配は払拭されるかもしれません。
韓国企業への委託製造ではなく、自社工場をいくつも保有するロイヤルカナンのような大手企業が現地に自社工場を建設し、衛生面や製造環境を管理する体制が整っているのであれば、問題が起こる可能性は限りなく少ないと言えるかもしれません。
まとめ
- 韓国ではペットフードが食品や飼料の一部として規制対象
- 衛生環境、原材料の生産国、犬食文化、政治などの要因から
韓国産ペットフードは避けられる傾向(日本でほとんど流通していない) - 大手ロイヤルカナンの韓国工場が話題、変更を検討する人も多いが、管理体制は徹底している