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キャットフードの成分:マンガン(Mn)
マンガン(Manganese)は猫の体内で脳を含め全身の組織に分布する必須微量ミネラルの一つで、体内には約0.2~0.5mg/kgのマンガンが存在しています。
マンガンは原子番号25の銀白色の金属元素で、マンガン乾電池やアルカリ乾電池などの+極の原料として使われます。
- 全粒穀類
- 豆類
- ナッツ類
- 茶葉
マンガンは様々な食べ物に含まれますが、特に植物性の食べ物に多く含まれています。
キャットフードに配合されるマンガン
マンガンは川や天然の水を始め、水道水にも含まれていますが、キャットフードではマンガンの供給源として硫酸マンガン、マンガンアミノ酸キレートなどの化合物が添加されることが多いです。
硫酸マンガン
硫酸マンガンは安全なマンガンの供給源として、EUを始め海外で全動物種用飼料添加物として認められており、最大供給量を守れば安全性の懸念にはならないとされています。また流動食などの食品への利用が認められている国もあります。
マンガンアミノ酸キレート
マンガンアミノ酸キレートはマンガンとアミノ酸が結合した物質です。キレートは結合の仕方の呼び方で、キレートの形であることで物質から分離しにくいというメリットがあります。マンガンの吸収性も高く、全動物種にとって有効なマンガンの供給源として世界で認められています。
マンガンの働きと効果
栄養の消化吸収や抗酸化作用を高める
マンガンは様々な酵素を構成する成分として、体を動かすためのエネルギー源となるタンパク質、糖質、脂肪の消化吸収を活性化させる働きや、体の酸化を抑える働き(抗酸化作用)があります。
骨の形成を助ける
マンガンは猫の骨の発育に重要な成分で、関節や軟骨の形成、カルシウムを石灰化して骨の形成を促進する働きがあります。
正常な生殖機能の維持に関係
マンガンは正常な生殖機能を保つためにも必要な成分で、マンガンが不足した男性の生殖器への影響が報告されています。
活性酸素対策に効果あり?
体内には細胞に損傷を与える活性酸素、フリーラジカルなどが存在しますが、マンガンは有害な活性酸素から細胞を守る働きがあると言われています。
キャットフードのマンガンの必要量
マンガンの必要量は他のミネラルと比較しても非常に少ないです。AAFCOが2016年に公表した栄養基準では、キャットフードに必要なマンガン量は7.6mg/kgです。1kgは1000gなので、キャットフードの成分分析値の基準になる100gあたりの値になおすと必要量は0.76mgになります。成長期も成猫期以降も同じ値で上限値はありません。
マンガンの過剰摂取による毒性
マンガンは金属元素で重金属に分類されるので、猫が過剰摂取するとマンガン中毒を引き起こしますが、普段の生活で食べるキャットフードや食品を食べたとしてもマンガン中毒になることはありません。
油絵の具やマンガンが多く含まれる乾電池等の食品ではない製品の誤食事故などがマンガン中毒の原因として挙げられますが、マンガン中毒になる猫は滅多にいませんので、基本的には心配いりません。
マンガン不足による欠乏症
マンガンが不足すると、マンガンが担っていた猫の成長に必要な骨の形成や生殖機能の低下を始め、様々な酵素が構成できなくなるため、猫の体調にも異常が現れます。
- 鉄欠乏を招く(慢性)
- 成長異常
- 発育遅延
- 平衡感覚異常
- 疲れやすい
- 骨の形成異常
- 傷の治癒が遅くなる
- 生殖機能の低下
マンガンを使用したキャットフード
まとめ
- マンガンはエネルギー源の栄養素の消化吸収を活性化
- 猫の骨の形成や成長を促す酵素を構成する
- 猫のマンガン中毒は基本的に心配なし