目次
キャットフードの原材料:卵
にわとりの卵がほとんど
基本的にキャットフードで使用される卵は「鶏卵」がほとんどです。
他の鳥類の卵が混ざってしまっている可能性も0とは言えませんが、他の鳥類の卵はにわとりの卵よりも高くつくため、卵の名前が記載されていなければ基本的に使用されているのはにわとりの卵だと言えます。
日本の卵ブランド「ヨード卵」
キャットフードの中には「ヨード卵」という日本のブランドの卵を使用したキャットフードもあります。
ヨード卵とは海藻を与えて育てられた鶏が産む卵で、ヨウ素が豊富に含まれている等の特徴があります。日本ブランドの卵なので、海外産のキャットフードではほとんど見られません(見たことありません)。国産キャットフードに配合されていることが多いです。
キャットフードの全卵、卵黄、卵白
キャットフードの原材料として使用される卵は、
- 全卵(卵黄+卵白)
- 卵黄
- 卵白
黄身と白身の両方が入った全卵の他に、卵黄(黄身)のみ、卵白(白身)のみで配合されることもあります。
ドライフードでは全卵使用のものが多く、卵黄や卵白のみで使用しているのは、ウェットフードや特定の猫に向けたキャットフードが多い印象です。
キャットフードの卵の栄養成分
全卵・卵黄・卵白の栄養比較表
乾燥卵黄 | 乾燥卵白 | 乾燥全卵 | |
---|---|---|---|
タンパク質 | 30g | 87g | 49g |
脂質 | 63g | 0.4g | 42g |
炭水化物 | 0.2g | 0.2g | 0.3g |
ナトリウム | 80mg | 1,300mg | 490mg |
カリウム | 190mg | 1,300mg | 560mg |
コレステロール | 2,300mg | 25mg | 1,500mg |
カロリー | 724kcal | 378kcal | 608kcal |
キャットフードに使用される卵を全卵、卵黄、卵白でそれぞれわけて見てみると、卵黄と卵白と全卵では豊富な栄養素や量が大きく変わってきます。
卵黄は高脂肪・高カロリー
卵黄は卵全体の中での量は少ないですが、脂質量が42g、コレステロールが2,300mgと100gあたりで非常に多く含まれます。
カロリーも卵白の2倍くらいあるので非常に高カロリーな部分となっています。
卵白は高タンパク質でミネラル豊富、低脂質
卵黄に対して、卵白は非常に高タンパクでありながら低脂質、低コレステロールでカロリーも低く、卵黄の半分くらいの値になっています。
脂質量は非常に低くなっていますが、ヘルシーと言えるほどカロリーが低いわけではありません。またナトリウムやカリウム、ミネラルが豊富に含まれています。
87gと非常にタンパク質を多く配合していますが、卵のアレルゲンが多く含まれてしまうという意味合いも含まれるので、デメリットで解説したいと思います。
全卵は両方の栄養素を摂取
全卵は卵黄と卵白の両方が合わさるので、タンパク質、脂質、ミネラルなど卵黄と卵白それぞれで豊富な栄養素をどちらも摂取することができます。
卵の表記:乾燥(dried egg)と粉末(egg powder)
工場にきた時点で食材か、製品か
キャットフードによって「乾燥全卵」「全卵粉末」など同じ全卵でも表現のされ方が違うことがありますが、これはどういう意味なのでしょうか。
乾燥卵は工場に来た時点ではまだ食材の「卵」の状態です。卵が運ばれキャットフード製造のために調理過程で細かく粉砕し乾燥させられます。
卵粉末は工場に来た時点ですでに製品となっています。「卵白粉」「エッグパウダー」などの商品が工場に運ばれて、他の材料と混ぜ合わせて使用します。
キャットフードとして成型されてしまえばばなんら違いはないように見えますが、工場にある時点で加工品の粉末卵なのか、食材としての卵の状態であるかという点が違います。
卵を使用したキャットフードのメリット
栄養価が高い「完全栄養食」
卵には、様々な栄養素を幅広く摂取することができる非常に栄養価の高い食材です。
猫に限らず人や様々な動物に必要なタンパク質(アミノ酸)や脂質、ミネラル等さまざまな栄養素が詰まっています。
原材料として手に入れやすい
にわとりや卵は育てやすく世界で広く流通していることから、原材料としても手に入りやすいので、キャットフードの原材料としても安定的な供給が可能となります。
また流通数が多いので、もしある農場で卵が供給できなくなったとしても、代わりに原材料を供給してもらう農場を見つけやすい点もメリットになります。
特にアミノ酸が豊富
栄養が豊富と言いましたが、卵には特に猫に重要なアミノ酸が豊富に含まれています。
メチオニンは皮膚の主成分となったり、尿を酸性に傾け尿路結石の回復サポートを行う効果も期待されています。
卵を使用したキャットフードのデメリット
卵黄は高脂肪・高コレステロール
卵黄単体(乾燥卵黄・卵黄粉末)の配合の場合、配合量が多いと高脂肪・高コレステロール・高カロリーになるので、肥満傾向の猫や体重管理を始めようとしている猫にはおすすめではありません。
他の原材料より費用が高い
卵は他の原材料に比べて費用が高いため、キャットフードの価格も安くしにくくなります。
肉原料と同様、猫に必要な動物性タンパク質を豊富に含むため、猫の健康を考えるなら卵はぜひおすすめしたい食材ですが、製造の側から考えるなら卵のコストはデメリットになるかもしれません。
食物アレルギーになりやすい
また卵は肉や魚と同様、猫がアレルギー反応を起こしやすい食材でもあります。タンパク質の構造がアレルギーを引き起こす原因なので、実は穀物よりも肉・魚・卵のような高タンパクな食材ほどアレルギーを引き起こしやすいのです。
そのため卵に限らずタンパク質が多い食べ物はアレルゲンのリスクが高くなってしまいますが、猫にとって沢山必要な成分でもあるので、難しいところです。
生卵はビオチン欠乏症を引き起こす
生の卵白にはビオチン結合性タンパク質の「アビジン」が含まれています。
アビジンはビオチンと結合しやすく吸収を抑制するため、生卵の過剰摂取でビオチン欠乏を引き起こす場合があります。
アビジンは加熱すれば不活性化するので、加熱すれば与えても問題ありません。
卵を使用したキャットフード例
全卵 | 卵黄 | 卵白 | |
---|---|---|---|
特徴・傾向 | ドライフード・総合栄養食に多い | シニア猫・子猫用キャットフードに多い | ウェットフード・子猫用フードに多い |
キャットフード | ・ロニーキャットフード ・カナガンキャットフード ・キャッツプロダクツ ・オリジンキャット&キトゥン ・ハローキャットフード ・ザナベレ キャットフード ・アカナキャットフード | ・プロステージ ル・シャット ・プロフェッショナル・バランス ・メディプロサポート pHサポート ・MiawMiawジューシー | ・マザーニャンキャットフード ・カルカン ウェットフード ・ナチュラルバランス ウェットフード ・カントリーロードウェットフード ・ロイヤルカナンウェットフード |
卵を使用したキャットフードまとめ
- 豊富な栄養な原材料
- 動物性タンパク質やアミノ酸が豊富
- 乾燥と粉末は食材か製品かで違いがある
- 安定した供給が可能な原材料
- アレルゲンが多い
- 卵は原材料費としては高い
- 全卵・卵黄・卵白などでも違いがある