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キャットフードの成分:マグネシウム(Mg)
マグネシウム(magnesium)とは
マグネシウム(magnesium、Mg)とは、原子番号12の金属元素で、猫の必須多量ミネラルの一つです。マグネシウムは大豆製品や魚介類、海藻、木の実に多く、特に煮干しや海苔に豊富なので、普段から煮干しや海苔などを食べている猫はマグネシウムが過剰にならないよう注意が必要です。
マグネシウムが多く含まれる食べ物
猫の体内でのマグネシウムの働きと作用
歯や骨の構成成分
マグネシウムは体内ではカルシウムとリンの次に多く存在し、マグネシウムの約70%がカルシウムやリンと一緒に歯や骨を構成しています。
様々な栄養の代謝に関与
骨や歯を構成するだけでなく、マグネシウムは炭水化物、タンパク質、脂質、核酸、リンパ球の増殖など数百の酵素反応(代謝)に関与しています。
キャットフードのマグネシウム必要量
AAFCOの栄養基準で定められているキャットフードに必要なマグネシウム量は、子猫や成長期の猫で0.08%以上、成猫以降の猫で0.04%以上です。
全年齢対応のキャットフードの場合は、子猫や成長期の猫の栄養基準も満たす必要があるので、0.08%以上はマグネシウムが含まれています。
マグネシウム量と猫の尿路結石症の関係
ストルバイト結石を構成する
マグネシウムは多く摂取したり、カルシウムやリンとバランス良く摂取しないと、ストルバイト結石症を引き起こす原因になります。
ストルバイト結石は正式には「リン酸アンモニウムマグネシウム結晶」といい、マグネシウムはストルバイト結石の構成成分なので、マグネシウムが多くなるとストルバイト結石が形成されやすくなります。
少な過ぎるとシュウ酸カルシウム結石の原因に?
しかし反対にマグネシウム量が少なすぎると、シュウ酸カルシウム結石という別の結石症のリスクが高くなるとされています。近年のキャットフードは、ストルバイトに配慮してpHを低めに設定するキャットフードが増えてきているため、シュウ酸カルシウム結石になる猫の方が増えてきています。
ストルバイト結石は食事のpH値を下げて調整することで尿路内の結石を溶かすことができますが、シュウ酸カルシウム結石は一度形成されると溶解されないので、手術でしか取り除くことができません。
マグネシウムの推奨濃度は20mg/100kcal程度
カロリーベースの値となりますが、マグネシウムの推奨濃度は19~35mg/100kcal(20mg前後)が適切とされています。
マグネシウムが35mgより多いとストルバイト結石のリスクが上がり、19mgより少ない場合はシュウ酸カルシウム結石のリスクが上がります。
マグネシウムの極度の制限はシュウ酸カルシウムの原因となるので、高齢猫の場合、0.04%(ドライフード)以下にならないものがおすすめです。
カルシウムやリンとのバランスも重要
また、マグネシウム自体の量だけでなく、尿路結石に配慮したキャットフードを選ぶ時には、カルシウムとリンとマグネシウムの比率が「Ca:P:Mg=1.2~1.5:1:0.08~0.1」に近いかを見て選ぶことが大切です。
マグネシウム欠乏はあまり起こらない
マグネシウムは様々な食べ物に含まれており、総合栄養食でも最低基準が定められているので、通常の食事を与えていれば欠乏することは滅多にありませんが、マグネシウムが不足した場合、以下のような症状が現れます。
- 神経過敏症
- 筋肉の痙攣
- 体重減少
- 不整脈
- 骨粗鬆症
- 下痢・嘔吐
マグネシウムが少なくなると、骨に貯蔵されているマグネシウムから補われるので、骨がもろくなり、骨粗鬆症になりやすくなります。骨を壊してマグネシウムを取り出す際に、一緒にカルシウムやリンも溶け出してしまうので、カルシウム・リン・マグネシウムどれが不足してもよくありません。
まとめ
- 必須多量ミネラルの一つ
- カルシウム、リンの次に多くバランスが重要
- 骨を形成し酵素反応にも関わっている
- 不足することは少ないが過剰摂取に注意